生活支援ロボットと人の共生
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ロボットが全ての問題を解決してくれるわけではない
生活支援ロボットと人の共生(6)ロボットに人が歩み寄る
村田知之(神奈川県総合リハビリテーションセンター 研究部リハビリテーション工学研究室研究員)
ロボットを用いたリハビリの現場を見ると、それだけで全ての問題解決をしてくれるわけではないことが分かる。現実のロボットはドラえもんとは違って、1つの目的を達成するためのシステムにすぎない。車いすのようなローテク製品でまかなえる部分も多いことを見定めるのも、ロボット導入に大切な知恵である。(全9話中第6話)
※インタビュアー:谷口和弘氏(慶応義塾大学商学部教授)
時間:7分05秒
収録日:2018年12月6日
追加日:2019年7月24日
≪全文≫

●ロボットが全ての問題解決をしてくれるという思い込み


谷口 先ほど、いろいろな患者さんがロボットを使いながらリハビリテーションされる状況を見学させていただきました。歩行訓練を見ていると、結構若い人がRewalkを装着して、比較的速く立ち上がったのに驚きました。前回見学させていただいたときは、もう少し年配の方が対象で、立つのにかなり苦労されていた印象がありました。

 われわれが抱いているイメージは、ロボットが全ての問題解決をしてくれるのではないかという、どうしてもバラ色の未来になりがちだと思います。しかし、実際に先生のお話をうかがい、現場を見せていただくと、人間がロボットに近づかなければいけないと感じます。そのために専門家の力を借りたトレーニングやリハビリが必要になってくる。

 ロボットが社会にこれから普及していく上で、これらは越えるべき課題の1つだろうと考えるのですが、こういった課題については、どうやって解決していけばいいのでしょうか。

村田 難しい問題ですね。

谷口 難しいと思います。

村田 ロボットという言葉が、おっしゃるように「何でもしてくれる」というイメージになってしまっているのも1つの問題かと思います。そう捉えてしまうと、そのロボットが本来何をしてくれるものなのかがぼやけてしまう。そこにわれわれがいろいろなイメージを付けてしまうので、何でもできて、何でもしてくれるのではないかと思いがちなのですが、本来のロボットは、やはり目的があってつくられているものだと思います。ですから、やはりユーザー側もその目的をしっかり把握して使っていくのが重要ではないかと思いますね。

 目的がはっきりしていれば、必要な人がその目的に対して手を伸ばすかたちになり、需要と供給のバランスがしっかり取れると思います。ところが今は、何をしてくれるロボットか分からないけれど、「ロボット特区」だからロボットが幅広く出る。われわれがそれに対してどう向き合えばいいのか、非常に結びつけにくい状況なのかもしれないと感じています。


●現実のロボットと「ドラえもん」の違い


村田 何をしてくれるロボットなのかが明確になっても、われわれも当然歩み寄っていくことにはなると思います。でも、実際のロボットというのは、まだ100パーセント、ロボットだけでまかなえるものではありません。どちらかというと、...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
培養肉研究の現在地と未来図(1)フェイクミート市場とリアルミート研究
食肉3.0時代に突入、「培養肉」研究の今に迫る
竹内昌治
新しい循環文明への道(1)採掘文明から循環文明へ
2026年頭所感~循環文明の「三つの柱」…いよいよ実現へ
小宮山宏
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子
レアメタルの光と影(1)イントロ
イノベーションがレアメタルをコモンメタルにする
岡部徹

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2025(33)2025年を振り返る
2025年のテンミニッツ・アカデミーを振り返る
テンミニッツ・アカデミー編集部
折口信夫が語った日本文化の核心(1)「まれびと」と日本の「おもてなし」
「まれびと」とは何か?折口信夫が考えた日本文化の根源
上野誠
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(4)信長の直臣、秀吉の与力としての秀長
最初は信長の直臣として活躍――武闘派・秀長の前半生は?
黒田基樹
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(3)DSA化した民主党と今後の展望
DSAの民主党乗っ取り工作…世代交代で大躍進の可能性
東秀敏
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑
経験学習を促すリーダーシップ(4)成功を振り返り、強みを伸ばす
なぜ強みが大事なのか?ドラッカー、西田幾多郎の答えは
松尾睦
睡眠から考える健康リスクと社会的時差ボケ(5)シフトワークと健康問題
発がんリスク、心身の不調…シフトワークの悪影響に迫る
西多昌規