西洋文明の起源から見るグローバル化
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
西洋の考え方の根本はギリシア哲学…西周が気づいたこと
第2話へ進む
古典を学び、教養ある人間を目指すことがヨーロッパの理想
西洋文明の起源から見るグローバル化(1)グローバル化
納富信留(東京大学大学院人文社会系研究科教授)
世界のグローバル化は、文化的にはヨーロッパが拡大して、人類全体に拡大する流れといえる。では、当のヨーロッパとは何を指すのか。それは地理的名称というより文化的な概念であり、「ギリシア・ローマの古典+キリスト教」=ヨーロッパの定義が成立する。現代の日本人は、このことを理解する必要がある。(全6話中第1話)
時間:11分18秒
収録日:2019年5月29日
追加日:2019年8月1日
≪全文≫

●グローバル化について根本から考え直してみる


 それでは、これから西洋文明とグローバル化の問題についてお話しいたします。私の専門は古代ギリシア哲学と西洋古典学ですが、今回はその枠から離れて、現代の社会について自由に考えてみたいと思います。

 まず、「グローバル化・グローバリゼーション」という単語が普通に使われていますが、「グローブ(globe)」はもともと地球という意味です。つまり、グローバル化は国境や地域を超えて地球全体で広まるような流れです。

 これは近年になって使われるようになった単語で、おそらく地球の環境問題や国際政治を考える場面が増えたからでしょう。ただ実際には、地域や国の限定がなくなり、世界中が同じになったということで済むのかというと、そうでもないのではないか。そのことを、今回考えていきたいと思います。

 その場合、「地球化している」といわれるものは、少し極端な言い方をすると、これまで「西洋」といわれてきたものが拡張して、地球全体に西洋的なものの考え方や見方が広まったと捉えることもできると思います。

 その点を根本から考えてみるのが、今回の趣旨です。グローバルは、最近では批判的な意味でも使われ、「反グローバル」の流れも生じています。そのあたりの問題の根も合わせて考えてみたいのです。


●直面しているのはグローバル化なのか、西洋化なのか


 実際にグローバル化ではどんなことが進んでいるのか、反省してみましょう。例えば、インターネットの世界では、通信機器を通じて世界中で即時に情報が共有されています。そこで使われる言語は英語が中心です。通貨ではEUROなどが出てきて、以前と比べるとかなり統一化が図られています。

 世界全体の流れとしては、もちろん国際的な政治の場面もありますが、例えば「民主主義」、経済の分野では「自由主義経済(資本主義)」、さらに都市空間や私たちの生活スタイルもかなりグローバル化して、以前のようなその土地独特の伝統というボーダーがやや薄れてきているのが現状だと思います。

 とりわけ哲学的な分野では、「個人主義」のものの考え方、あるいは「人権」「自由」「プライヴァシー」といったものがグローバルのスタンダードとなっています。でも、これらはもともと西洋の文明の中で培われてきたものを、私たちが共有する段階に入っているのです。その問題を考...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
「50歳からの勉強法」を学ぶ(1)大人の学びの心得三箇条
大人の学び・3つの心得=自由、世間が教科書、孤独を覚悟
童門冬二
楽観は強い意志であり、悲観は人間の本性である
これからの時代をつくるのは、間違いなく「楽観主義」な人
小宮山宏
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
ムハンマドを知る(1)その役割と人物像
ムハンマドは神の啓示を受けた預言者で共同体の最高指導者
山内昌之
「心から幸せになるためのメカニズム」を学ぶ(1)心理学研究と日本の幸福度
実は今、「幸せにも気をつける」べき時代になっている
前野隆司
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(9)「トランプ大統領」の視点・論点
【テンミニッツで考える】「トランプ大統領」をどう見るか?
テンミニッツ・アカデミー編集部
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(7)若者の引きこもりと日本の教育問題
日本の引きこもりの深い根源…「核家族」構造の問題とは?
與那覇潤
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
なぜ働いていると本が読めなくなるのか問答(2)ノイズと半身社会の処方箋
ノイズを楽しむ――半身社会の「読書と教養のすすめ」
三宅香帆
「同盟の真髄」と日米関係の行方(7)トランプ氏の評価とその実像
こりごり?アイ・ラブ・トランプ?…トランプ陣営の実状は
杉山晋輔
『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(1)定年制は要らない
仕事をするのに「年齢」は関係ない…不幸を招く定年型思考
出口治明
ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む(7)日本の倫理こそ未来の理想
他人の幸福実現に喜びを見出す日本の道徳こそ未来の理想だ
賴住光子
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(14)ポリスと魂の堕落過程〈下〉僭主の末路
僭主制は欲望の奴隷…過度の自由が過度の隷属に転換する
納富信留
新撰組と幕末日本の「真実」(6)新撰組結成と清河八郎、芹沢鴨
清河八郎と芹沢鴨…乱闘事件や大和屋焼討事件の真相とは?
堀口茉純