国際秩序の変容~危機の予兆
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
国際秩序においてパワーの裏付けなければモラリティはない
国際秩序の変容~危機の予兆(6)パワーとモラリティ
香港の民主化問題は、ますます深刻化しており、中国や台湾が関与することで、長期化が予想される。こうした、世界中で生じている危機の性質を考える際には、パワーとモラリティのバランスによって成立する、国際秩序の仕組みを理解する必要がある。(全7話中第6話)
※インタビュアー:神藏孝之(10MTVオピニオン論説主幹)
時間:6分33秒
収録日:2019年9月3日
追加日:2019年12月23日
カテゴリー:
≪全文≫

●香港の問題は社会全体に及んでおり、収束が容易でない


―― 次に、香港の問題についてです。今、ものすごく難しくなっていますけれども、香港はどんな感じでご覧になっていますか?

船橋 「夏が終われば、学生が結局またキャンパスに戻るだろう。そうなれば、街に出たり空港を占拠したりということはなくなるだろうから、自然に終わりますよ」という人がいますが、そう簡単じゃないですね。

 「簡単じゃない」と言い方はおかしいですけど、今回のはそんなものじゃない。例えば40~50代の弁護士といった人たちまで街に出て、デモをしています。ビジネスの中でも、ビジネスのど真ん中の人も「ちょっと行ってきます」と言って、デモに出ていきますよ。ですから、彼らは1997年の7月1日に中国に返還されて、一国二制度で20年ちょっとやってきたわけですが、大体、真実を見たということだと思います。「ここで声上げなきゃいつ上げるんだ、自分たちがやらなきゃ誰もやらない」ということだと思います。

―― 20年で真実を見たんですね。

船橋 ようやくというか、見たと思います。

―― 誰も助けてくれない。自分たちでやるしかない、と。

船橋 それはやはりトランプのアメリカやイギリスを見ていて、旧宗主国も超大国も、いざというときにはやってくれないなということがあると思います。実際、旗を掲げたりしていますよね。そういう意味では、心の中では非常に、絶望とは言わないまでも、デスペラードという言葉に表されるような感情を感じます。


●台湾や中国の関与によって、ますます状況は困難になる


船橋 だから、台湾でも蔡英文政権が、香港で逃げてくる人があれば、台湾に来ていいですよと言い始めていますね。そうして、もう30数人が香港から台湾に、一種の政治亡命みたいな形で移りました。こういう動きがこれから出てくると思うんです。また、そうすればするほど、中国の方も台湾に対して、さらに敵対的になるでしょう。ということで、この状況は続いていくでしょう。10月1日の国慶節までに片付けなければ、中国の政治指導部はメンツが丸つぶれだという見方もありますが、彼らがそこで武装警察を入れ、実弾は発射しないにしても蹴散らかして綺麗にしたとしても、これはまた続くでしょう。

―― これは、すごく根が深い問題ですね。

船橋 構造化したと思いますし、長期化するでしょう。


●国...


スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
日本のエネルギー&デジタル戦略の未来像(1)電動化で起こる「カンブリア爆発」
日本のエネルギー政策を「デジタル戦略」で大転換しよう
岡本浩

人気の講義ランキングTOP10
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
鎌田東二
編集部ラジオ2025(28)内側から見た日米社会の実状とは
島田晴雄先生の体験談から浮かびあがるアメリカと日本
テンミニッツ・アカデミー編集部
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
今井むつみ
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
デカルトの感情論に学ぶ(1)愛に現れる身体のメカニズム
デカルトが注目した心と体の条件づけのメカニズム
津崎良典
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(4)トランプ大統領VS.中国
トランプ政権は実は与しやすい?…ディールで「時間稼ぎ」
垂秀夫