国際秩序の変容~危機の予兆
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BREXITに向かって突っ走っているイギリスの悲劇性
国際秩序の変容~危機の予兆(4)イギリスの悲劇性とリーダーシップ
トランプ現象などを見ると、リーダーシップの質を維持する仕組みが世界中で壊れてきているように感じられる。注目すべきはイギリスで、しっかりと統治されていた国がなぜBREXITに向かって突っ走っているのか。その悲劇性について考えたい。(全7話中第4話)
※インタビュアー:神藏孝之(10MTVオピニオン論説主幹)
時間:7分13秒
収録日:2019年9月3日
追加日:2019年12月9日
カテゴリー:
≪全文≫

●イギリスの議会制民主主義とは何だったのか


―― 例えば、ギリシャの民主制は、ちょうど1人の天才がいる50年間くらいは持ったけど、その後は崩れますよね。プラトンやアリストテレスは民主制に対して、結構懐疑的でしたよね。むしろ、貴族制とかローマの元老院のような仕組みのほうが良いんだ、みたいな感じのことを言っています。

 世界中で同じような形のことが起きていて、イギリスにボリス・ジョンソンのような人が出てくると、イギリスの議会制民主主義とは何だったのかと思わされます。難しい時代ですよね。

船橋 トランプ現象みたいなものがあって、あのアメリカもこうなってしまうのか、と。だけど、アメリカの場合はそれでもまだ、トランプに対する反トランプの「バネ」が効いてくると思います。トランプ的なものはこれからも続くと思いますけども、しかし、ここはやっぱり「バネ」も効いてくると思います。


●ガバナンスを保ってきたイギリスがBREXITに突っ走っている悲劇性


船橋 それに対して、私が本当にショックなのはイギリスですね。イギリスは慣習法とかいろいろな形で知恵を出し合って、リーダーシップの質を維持しつつ、見事にガバナンスを保ってきた国です。つまりステイトクラフト(国政)、統治がしっかりしていたのです。そんな国が、自分の国の長期的な利益や戦略に全く逆らうようなBREXITに突っ走っているということの悲劇性です。

―― 悲劇性ですね。

船橋 これは民主主義を考えるときに、もっと深刻なものを感じます。だから、イングランドにとって、スコットランドやアイルランドとの関係が、ものすごく難しくなるでしょう。

―― そうでしょうね。独立してしまう可能性もありますよね。

船橋 だから下手すると、イングランドとウェールズだけになってしまいますね。そういう問題もあるし、ロンドンの金融機能だって、イギリスがこんな状況だったら失っていくかもしれません。「グローバル・ブリテン」といっていますけれども、EUほど、イギリスにとってありがたいマーケットやパートナーもないわけです。そこまで頭では分かっていても、心が離れていくという怖さですね。これがあります。そこは、ソーシャルネットワークも含めたメディアによる影響が大きいのではないかと思うのです。


●イギリスのリーダー育成構造は壊れてしまったのか


―― デーヴィッド・キャメロ...

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