国際秩序の変容~危機の予兆
この講義は登録不要で無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
“経済相互依存の武器化”が始まっている
第2話へ進む
今起こっている国際秩序の変容は「危機の20年」の再来か
国際秩序の変容~危機の予兆(1)「危機の20年」の再来か
今、国際秩序は変容の時代に入っている。第二次世界大戦の反省から、戦後「復讐のサイクル」をつくらないための国際的な信頼関係と和解が築き上げられてきた。しかし2010年代に入ってから、以前の信頼関係を切り崩す戦略を取る国々が増えたことで、国際秩序が大きく揺らいでいる。これは、ヴェルサイユ講話条約締結から第二次世界大戦勃発に至る「危機の20年」の再来なのか。(全7話中第1話)
※インタビュアー:神藏孝之(10MTVオピニオン論説主幹)
時間:12分34秒
収録日:2019年9月3日
追加日:2019年11月18日
カテゴリー:
≪全文≫

●戦後の国際秩序は「復讐のサイクル」を遮断するためにつくられた


―― よろしくお願いいたします。

船橋 よろしくお願いいたします。

―― ぜひともお伺いしたいのが、今、世界の秩序がものすごく変容しているというか、激変期に入ってきているということについてです。ぜひ、先生なりの見方を教えていだたければと思います。

船橋 なかなか難しいですね(笑)。世界の秩序は、アメリカが戦後つくってきたものです。特に大きかったのは、サンフランシスコ講和条約じゃないかと思います。1951年に49カ国、日本を除くと48カ国で講和をしたわけです。その時、アメリカ側のジョン・フォスター・ダレスをはじめとする人たちによってつくられたものは、第1次世界大戦後のヴェルサイユ講話条約に何らかの形で非常に関係しています。

 ヴェルサイユ講話条約は戦争の後、「平和をつくるんだ」という意気込みで取り組んだものだったのですが、結局その後ナチスが台頭して、「危機の20年」といわれるように、もう一度戦争を招いてしまいました。アメリカにとって、その慙愧(ざんき)の念というか、反省というのはやはりものすごくあって、それを教訓にすると、復讐のサイクルをつくっちゃいけない、ということになります

―― 「復讐のサイクルをつくっちゃけない」ですか。

船橋 それまでは勝ったか負けたかが全てでした。勝った方は負けた方から賠償金を取り立てる。お金が払えなかったら、その代わりに何か資源を確保したり、進駐軍を出して、その地をさらに確保する。そういうことをしたわけです。ラインラント進駐にしても同様です。しかしそうした結果、ドイツは結局、賠償金を払いきれなくなってハイパーインフレーションを起こし、中産階級が脱落してナチスが台頭しました。

 そのため、サンフランシスコ講和条約の際に、アメリカは日本に対し、「日本は確かにものすごく侵略したので、アジアの国々に対して賠償の義務はありますよ」ということを確認しつつ、「ことアメリカと日本の関連についていえば、われわれは賠償を取り立てないですよ」と言ったのです。「日本もいろいろ、アメリカとの戦争で損害を被っているから、日本の請求権だってあり得えるんだけど、それはお互いやめましょう」、ということです。こうして請求権を相互で放棄しようというのが、サンフランシスコ講和条約の一つの大きな発想、思想、...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
ロシアのハイブリッド戦争と旧ソ連諸国(1)ロシアの勢力圏構想とNATO拡大
「ハイブリッド戦争」の実像…ロシアが考えていることとは何か?
廣瀬陽子
政治思想史の古典『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ(1)二人の思想家
モンテスキューとルソー…二人の思想家の共通の敵とは?
川出良枝
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
アメリカの理念と本質とは?…まず「三つの建国」から原点に迫る
中西輝政
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
日本の財政の真実を検証する(1)膨らむ借金の知られざる実態
日本の財政の「真実」をデータで徹底検証…国際機関の分析は?
宮本弘曉

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(38)アメリカ中間選挙と民主主義
【10min解説】第2期のトランプ大統領と中間選挙を考える
テンミニッツ・アカデミー編集部
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(3)ヴァイキング招致説とキエフ・ルーシ
ロシアの起源はヴァイキング?…キエフ・ルーシの興亡と、ロシアとウクライナの決定的な「歴史的溝」
上月豊久
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
チームパフォーマンスを高める心理的安全性(1)心理的安全性が注目される理由
なぜ今「心理的安全性」なのか、注目を集める背景に迫る
青島未佳
宗教で読み解く「世界の文明」(3)一神教とイスラム教
イスラム教には民主主義や憲法といった考え方がない
橋爪大三郎