国際秩序の変容~危機の予兆
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
中国の経済的躍進のなか、日韓関係をどう考えていくべきか
国際秩序の変容~危機の予兆(5)ナショナリズムと日韓関係
政治と経済
世界の分断を克服する手立てとして、ナショナリズムは有効だろうか。韓国の場合、日本に強硬な立場を取ることで、国内の支持率上昇に成功してきた。しかし、中国の台頭を考えれば、日韓はナショナリズムでつぶしあわず、大局的な戦略によって関係を構築していくべきである。(全7話中第5話)
※インタビュアー:神藏孝之(10MTVオピニオン論説主幹)
時間:10分11秒
収録日:2019年9月3日
追加日:2019年12月16日
カテゴリー:
≪全文≫

●ナショナリズムは分断の克服の「バネ」になるか


船橋 そうなると、今度は社会の分断を何とか克服しようとする必要がありますが、そのための1つの大きな「バネ」がナショナリズムですね。しかし、これがまた怖いわけです。

―― 1回火をつけると止まらなくなりますよね。

船橋 その両面がナショナリズムには出ていると思うのです。いろいろなイデオロギーが21世紀から生まれては死んでいったけれども、ナショナリズムは最強のイデオロギーだとつくづく感じます。


●韓国のナショナリズムは支持率上昇に一役買っていた


―― 確かにそうですね。例えば韓国などは、そういうイメージですか。

船橋 韓国のナショナリズムも、特に反日に流れるというか、そちらのほうに結局、傾斜しますね。私が非常に悲しいなと思ったのは、現在の文在寅政権にもそういうところがものすごくあるということです。朴槿恵政権の前の李明博政権は保守党ですけれども、その時に慰安婦の問題を日本との間でなかなか処理できなかった。それゆえ、日本に対する不満を非常に募らせたのです。

 それで、2012年の夏、日本にとっても韓国にとっても難しい8月に、李大統領が竹島に行ったわけです。行くにあたって彼は「日本には、かつてほど国際的な影響力がない」と言いました。これは真実だし、その通りです。李政権の末期で支持率がものすごく落ちていた時期でしたので、竹島に行くことにより支持率が一気に倍まで回復しました。あれは彼が最初だったからでしょう、戦後、韓国の大統領で竹島に上陸したのは。

 ですから、ナショナリズムは怖いなとあの時、思いましたし、日本も注意しなきゃいけないと思いました。日本のほうも、そういう兆しというのはありますから。だから、長期的な国益や国の安全保障、そして民生、Well-beingのために、ナショナリズムをいかに抑えていくかというのは、やはり政治の最も大きな要諦だと思います。


●グローバル化している韓国企業にとってナショナリズムはリスク


―― 確かに。しかし、文在寅大統領は先生が言われるのと逆の形のことをやってしまった。むしろ、韓国の人たちの心にナショナリズムの火を点けてしまった。それがもう、自動回転し始めて、今さら止めようと思っても、一回火が点くとなかなか止められなくなりますよね。

船橋 だから、何か気に入らないことがあると「チンイルパ」(...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプの動きを止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
クライン『ショック・ドクトリン』の真実(1)ショック・ドクトリンとは何か
100分de名著!?『ショック・ドクトリン』驚愕の印象操作
柿埜真吾
自民党総裁選~その真の意味と今後の展望
「マスコミ報道」では見えない自民党総裁選の深い意味
曽根泰教
独立と在野を支える中間団体(1)「中間団体」とは何か
なぜ中間団体が重要か…家族も企業も学校も自治会も政党も
片山杜秀
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(1)国際秩序の転換点と既存秩序の崩壊
経済秩序や普遍的価値観を破壊し、軍事力行使も辞さぬ米国
佐橋亮

人気の講義ランキングTOP10
数学と音楽の不思議な関係(4)STEAM教育でつくる喜びを全ての人に
世界で最もクリエイティブな国は? STEAM教育が広がる理由
中島さち子
続・日本人の「所得の謎」徹底分析(2)政府債務と預金残高の背景
なぜ日本の所得水準は低いのに預金残高は大きいのか
養田功一郎
経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力
米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長
松尾睦
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
片山杜秀
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
未来を知るための宇宙開発の歴史(9)宇宙開発を継続するための国際月探査
「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味
川口淳一郎
第2の人生を明るくする労働市場改革(1)日本の労働市場が抱える問題
シニアの雇用、正規・非正規の格差…日本の労働市場の問題
宮本弘曉
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(8)満州事変と世界大恐慌
「100年戦争」と考えて戦争に突入した日本の現実
片山杜秀
弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化(1)弥生時代はいつ始まったのか
なぜ弥生時代の始まりが600年も改まった?定説改訂の背景
藤尾慎一郎
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子