この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
「心から幸せになるためのメカニズム」を学ぶ
友だちの多様性が「レジリエンス」と「幸福度」を高める
「心から幸せになるためのメカニズム」を学ぶ(4)つながりと感謝の「ありがとう因子」
哲学と生き方
前野隆司(武蔵野大学ウェルビーイング学部、学部長)
幸せになるための2つ目の因子は、つながりと感謝の「ありがとう因子」である。他人に感謝できる人や、利他的な行動を取れる人は、幸福度が高い傾向がある。このような人は、友人が多く、さらに多様な友人を持っていることが多い。こうした友人関係を持つことで、心が折れそうになったときに立ち直る力を示す「レジリエンス」が強くなり、幸せな状態に戻ってくる可能性を高めることができる。(全7話中第4話)
時間:6分24秒
収録日:2020年7月1日
追加日:2020年8月25日
収録日:2020年7月1日
追加日:2020年8月25日
カテゴリー:
≪全文≫
●他人に感謝して利他的な心を持っている人は幸福度が高い
さて、2つ目は「つながりと感謝の因子」、「ありがとう因子」です。つながりと感謝のある会社は幸せです。会社だけではなく、私生活にも当てはまります。また、下に書いてあるとおり、利他性も重要です。
まず多くのことに感謝する人は幸せです。皆さん、感謝していますか。上司への感謝などしているでしょうか。おべっかのようなもので、あまりしたくないという人もいるかもしれません。家庭でパートナーや子どもに感謝していますか。もういまさらいえないという人もいますが、ぜひ感謝してください。そうすると、幸せになります。
本当に心から「ありがとう」と思うと、優しい気持ちになります。このようなときには、オキシトシンとセロトニンという脳内物質が出てきます。これらは「愛情ホルモン」と呼ばれています。先ほど指摘したドーパミンは、強い幸せを感じるときに出る物質でしたが、オキシトシンとセロトニンは優しい幸せを感じるときに出るのです。部下の皆さんの成長を、心から喜ぶような状態になると、「ありがとう、頑張ってくれたな」と自然と感謝できるようになります。そのような場合には、オキシトシンとセロトニンが分泌されるのです。
その結果、2つ目に挙げている通り、親切で利他的になります。他の人が頑張っているのだから、今度は自分がみんなに恩返ししようという、社会に貢献したいという気持ちが出てきます。そうなると幸せになります。この利他的な気持ちを、若いうちから強く持っている人もいます。看護師や介護士など、人のためになる仕事に就く人のなかには、子どもの頃からそうした仕事に就きたいと思っている人もいるのです。
一方で若い頃には、他の人のために行動することにあまり興味がなく、自分が立派になることや金持ちになることを目ざす人がいます。しかし実は、利他性は年齢とともに緩やかに上昇する傾向があるのです。やはり社会で恩恵を受けると、他の人のために生きなければならないという利他性に気づくように、人間は作られているようです。
もちろん個人差はあります。若いうちから利他的な人もいれば、残念ながら高齢になっても利他的にならずに、いつまでも自分が一番という人もいます。利己的な人は、幸福度が低いことは、データからも明らかです...
●他人に感謝して利他的な心を持っている人は幸福度が高い
さて、2つ目は「つながりと感謝の因子」、「ありがとう因子」です。つながりと感謝のある会社は幸せです。会社だけではなく、私生活にも当てはまります。また、下に書いてあるとおり、利他性も重要です。
まず多くのことに感謝する人は幸せです。皆さん、感謝していますか。上司への感謝などしているでしょうか。おべっかのようなもので、あまりしたくないという人もいるかもしれません。家庭でパートナーや子どもに感謝していますか。もういまさらいえないという人もいますが、ぜひ感謝してください。そうすると、幸せになります。
本当に心から「ありがとう」と思うと、優しい気持ちになります。このようなときには、オキシトシンとセロトニンという脳内物質が出てきます。これらは「愛情ホルモン」と呼ばれています。先ほど指摘したドーパミンは、強い幸せを感じるときに出る物質でしたが、オキシトシンとセロトニンは優しい幸せを感じるときに出るのです。部下の皆さんの成長を、心から喜ぶような状態になると、「ありがとう、頑張ってくれたな」と自然と感謝できるようになります。そのような場合には、オキシトシンとセロトニンが分泌されるのです。
その結果、2つ目に挙げている通り、親切で利他的になります。他の人が頑張っているのだから、今度は自分がみんなに恩返ししようという、社会に貢献したいという気持ちが出てきます。そうなると幸せになります。この利他的な気持ちを、若いうちから強く持っている人もいます。看護師や介護士など、人のためになる仕事に就く人のなかには、子どもの頃からそうした仕事に就きたいと思っている人もいるのです。
一方で若い頃には、他の人のために行動することにあまり興味がなく、自分が立派になることや金持ちになることを目ざす人がいます。しかし実は、利他性は年齢とともに緩やかに上昇する傾向があるのです。やはり社会で恩恵を受けると、他の人のために生きなければならないという利他性に気づくように、人間は作られているようです。
もちろん個人差はあります。若いうちから利他的な人もいれば、残念ながら高齢になっても利他的にならずに、いつまでも自分が一番という人もいます。利己的な人は、幸福度が低いことは、データからも明らかです...