独裁の世界史~フランス革命編
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ジロンド派からジャコバン派へ…なぜ革命は急進化するのか
独裁の世界史~フランス革命編(3)革命はなぜ急進的になるのか
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
ルイ16世のパリ脱出は、国民を失望させる。革命派は、諸外国の干渉をはねのけようと「革命戦争」を起こすが、失敗。この間にも王家と諸外国の内通が疑われ、王政廃止と国王夫妻の処刑が断行される。 革命プロセスが先鋭化するのは歴史が物語るように運命なのだろうか。(全7話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(10MTVオピニオン編集長)
時間:13分50秒
収録日:2020年1月10日
追加日:2020年9月25日
カテゴリー:
≪全文≫

●革命プロセスの先鋭化は、歴史的運命なのか


―― 歴史においては、いろいろと歯車のズレるところが出てくるものかと感じました。例えばフランスで暴動が起きた当時、もしも啓蒙思想がなかったとすれば、周りの諸外国からは単に「食糧暴動が起こった」と見られていたかもしれません。

 ところが、実際には周りが全て縁戚関係で固められていることもあるのでしょうが、すぐに「王政の危機が来る」と捉えられる。例えばオーストリア皇帝のレオポルト2世(神聖ローマ皇帝)とフリードリヒ・ヴィルヘルム2世(プロイセン王)がピルニッツ宣言を出し、「王に危害を加えたらフランスに干渉するぞ」と言ってきます。

 そのためにフランス国内のほうも構えてしまい、革命派の中で「外国と戦うか、恭順するか」の議論になります。結果は主戦派であるジロンド派が政権を取り、戦ったのはいいけれども負けてしまいます。これでますます危機が募り、どんどん悪い方向に進んでいくことになります。

 革命プロセスの歴史的な運命(さだめ)というのでしょうか。敵と味方が明確になり、どんどん先鋭になってしまう。このことは、歴史的にはどのように見ればよろしいのでしょうか。

本村 革命思想というか啓蒙思想がなければ、フランス革命は起こりようがないと思うので、それ(「もしも啓蒙思想がなかったら」ということ)を前提にするのは難しいとは思います。

 例えばフランス革命以前の時代ですが、ロシアには西欧化を進めていくツァーリとしてピョートル大帝が出てきます。ロシアから見ると、ヨーロッパはやはり教育の面でも組織化された軍隊制度の面でも、様々に先進的に映りました。ピョートル大帝は若い頃、使節団に紛れ込んでイギリスに留学したりして、その様をつぶさに見ました。

 このように、フランス以外の国でも、あの時代の王侯貴族たちは皆、啓蒙思想の洗礼を受けていたわけです。そうした中で、実際に王侯貴族に手を出すことは威嚇であり、脅しのしるしになります。ですから、単純に対立する形ではなく、もっと大きな構造で見たほうがいい。

 18世紀には、民衆ですら王権を否定するのではなく、王権すなわちトップに立つ人たちはかくあるべきだという思想を持っており、そういうものの見方が生まれていたということです。ただし、実際に王侯貴族の立場になれば、どこかの王族が殺されたときには自分たちも...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀
第二次世界大戦とソ連の真実(1)レーニンの思想的特徴
レーニン演説…革命のため帝国主義の3つの対立を利用せよ
福井義高
ローマ史に学ぶ戦略思考~ローマ史講座Ⅳ(1)古代の持つ意義と重み
一神教もアルファベットも貨幣も全て古代に生まれた
本村凌二
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩

人気の講義ランキングTOP10
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
平和の追求~哲学者たちの構想(3)サン=ピエールとモンテスキュー
「国連」の発想の源は?…一方、小共和国連合=連邦構想も
川出良枝
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
生成AI「Round 2」への向き合い方(2)ハードで動くCopilot
Microsoft Copilotの革新性…想像がつかない世界に
渡辺宣彦
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治