“アメリカとは何か”~米国論再考Vol.1
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
1ドル紙幣のシンボルに秘められたアメリカの建国理念とは
“アメリカとは何か”~米国論再考Vol.1(2)国章に込められた意味
政治と経済
東秀敏(米国大統領制兼議会制研究所(CSPC)上級フェロー)
 アメリカの建国の高尚な精神を後世に残すために、建国の父たちは国章にその理念を余すところなく残した。平和を希求する市民による国家であることと自由を守るためなら暴力も構わないという強い意志を示す国章と、創造主によって見守られていることを示す国章の二つによって構成されており、1ドル札にも印刷されている。この意味を正確に理解する人は少なくなったが、アメリカを理解するためにこれを理解する価値がある。(全3話中第2話)
時間:11分26秒
収録日:2020年6月11日
追加日:2020年10月29日
カテゴリー:
≪全文≫

●平和を象徴し、自由を守るための強い意志を示す国章


 この建国の理念を理解するためには、究極的には独立宣言、米国憲法、そしてフェデラリスト・ペーパーなどの、当時の文献を読むことが必要ですが、一般の方にはなかなか理解しがたいと思います。この点は、建国の父が一番理解していました。

 そのため、彼らはアメリカの国章、つまり国のシンボルに、彼らの建国の理念を記号化して残したのです。アメリカの国章は二つあるのですが、両方とも1ドル札に印刷されています。まず表面について解説します。

 まずスライドの左からですが、白頭鷲は力と権力を象徴するものです。白頭鷲の視線の先には、平和を象徴するオリーブの枝があります。また、白頭鷲がくわえている紙のようなものには、「E Pluribus Unum」とラテン語で書いてあります。これは、「多数でできた一つ」という意味で、13独立州を束ねて一つの国になったという歴史を象徴しています。つまり、アメリカは、さまざまな要素の集合体だということです。実はこのラテン語句は、アメリカの正式なモットーなのです。連邦政府と州政府が対立しながら統合しているという、矛盾した関係を象徴しています。

 次に、オリーブの枝は、13の実と、13の葉から成っています。これらは独立13州を象徴しています。盾に目を転じると、白は純潔、無邪気さ、過去や常識に囚われない楽観的未来志向を象徴しています。アメリカ人の気質をうまく形容しています。赤は強固、頑固といっても良いかもしれません、そして勇猛さを指すもので、守るべきものは力で徹底的に守り抜くという強い意志を表しています。このように、幼稚さと勇猛さという逆説的で、相反するような性格が、アメリカを象徴しているという意味が、赤と白の対比に込められています。さらに、盾は勇猛さと徳を象徴し、13の線からなる縦の縞模様は米国13州を表しています。

 次に矢も13本あります。この矢は、自由を守るための暴力装置、軍隊を象徴しています。自由を守るためなら暴力も構わないという強い意志を表します。

 次に、一番上の星はダヴィデの星です。これも13の星が描かれています。この星は、表向きには世界史初めての、市民自治による国家を象徴しています。しかし、実は裏の背景があるといわれています。独立戦争時に、アメリカ側を金銭的にサポ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎
半導体から見る明日の世界(1)世界的な半導体不足と日本の可能性
なぜ世界の半導体不足は起きた?台湾TSMCと日本復活への鍵
島田晴雄
岸信介と日本の戦前・戦後(1)毀誉褒貶相半ばする政治家
「昭和の妖怪」岸信介の知られざる実像を検証する
井上正也
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(1)国際秩序の転換点と既存秩序の崩壊
経済秩序や普遍的価値観を破壊し、軍事力行使も辞さぬ米国
佐橋亮
アンチ・グローバリズムの行方を読む(1)世界情勢の転換
強まるアンチ・グローバリズムの動きをどう見ればいいか
岡本行夫

人気の講義ランキングTOP10
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
長谷川眞理子
未来を知るための宇宙開発の歴史(7)米ソとは異なる日本の宇宙開発
日本の弾道ミサイル開発禁止!?米ソとは異なる宇宙開拓の道
川口淳一郎
「集権と分権」から考える日本の核心(3)中央集権と六国史の時代の終焉
天平期の天然痘で国民の3割が死亡?…大仏と崩れる律令制
片山杜秀
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は数学と音楽でできている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
睡眠から考える健康リスクと社会的時差ボケ(5)シフトワークと健康問題
発がんリスク、心身の不調…シフトワークの悪影響に迫る
西多昌規
知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ(1)イノベーションと価値創造
価値創造において重要なのは未来から現在を見るという視点
遠山亮子
DEIの重要性と企業経営(4)人口統計的DEIと女性活躍推進の効果
日本的雇用慣行の課題…女性比率を高めても業績向上は難しい
山本勲
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(3)これからの世界と底線思考の重要性
同盟国よもっと働け…急激に進んでいる「負担のシフト」
佐橋亮
モンゴル帝国の世界史(2)チンギス・ハーンのカリスマ性
自由な多民族をモンゴルに統一したチンギス・ハーンの魅力
宮脇淳子
睡眠と健康~その驚きの影響(1)睡眠が担う5つのミッション
寝ないとよく食べる…睡眠不足が生活習慣病を招く理由
西野精治