“アメリカとは何か”~米国論再考Vol.1
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1ドル紙幣のシンボルに秘められたアメリカの建国理念とは
“アメリカとは何か”~米国論再考Vol.1(2)国章に込められた意味
政治と経済
東秀敏(米国大統領制兼議会制研究所(CSPC)上級フェロー)
 アメリカの建国の高尚な精神を後世に残すために、建国の父たちは国章にその理念を余すところなく残した。平和を希求する市民による国家であることと自由を守るためなら暴力も構わないという強い意志を示す国章と、創造主によって見守られていることを示す国章の二つによって構成されており、1ドル札にも印刷されている。この意味を正確に理解する人は少なくなったが、アメリカを理解するためにこれを理解する価値がある。(全3話中第2話)
時間:11分26秒
収録日:2020年6月11日
追加日:2020年10月29日
カテゴリー:
≪全文≫

●平和を象徴し、自由を守るための強い意志を示す国章


 この建国の理念を理解するためには、究極的には独立宣言、米国憲法、そしてフェデラリスト・ペーパーなどの、当時の文献を読むことが必要ですが、一般の方にはなかなか理解しがたいと思います。この点は、建国の父が一番理解していました。

 そのため、彼らはアメリカの国章、つまり国のシンボルに、彼らの建国の理念を記号化して残したのです。アメリカの国章は二つあるのですが、両方とも1ドル札に印刷されています。まず表面について解説します。

 まずスライドの左からですが、白頭鷲は力と権力を象徴するものです。白頭鷲の視線の先には、平和を象徴するオリーブの枝があります。また、白頭鷲がくわえている紙のようなものには、「E Pluribus Unum」とラテン語で書いてあります。これは、「多数でできた一つ」という意味で、13独立州を束ねて一つの国になったという歴史を象徴しています。つまり、アメリカは、さまざまな要素の集合体だということです。実はこのラテン語句は、アメリカの正式なモットーなのです。連邦政府と州政府が対立しながら統合しているという、矛盾した関係を象徴しています。

 次に、オリーブの枝は、13の実と、13の葉から成っています。これらは独立13州を象徴しています。盾に目を転じると、白は純潔、無邪気さ、過去や常識に囚われない楽観的未来志向を象徴しています。アメリカ人の気質をうまく形容しています。赤は強固、頑固といっても良いかもしれません、そして勇猛さを指すもので、守るべきものは力で徹底的に守り抜くという強い意志を表しています。このように、幼稚さと勇猛さという逆説的で、相反するような性格が、アメリカを象徴しているという意味が、赤と白の対比に込められています。さらに、盾は勇猛さと徳を象徴し、13の線からなる縦の縞模様は米国13州を表しています。

 次に矢も13本あります。この矢は、自由を守るための暴力装置、軍隊を象徴しています。自由を守るためなら暴力も構わないという強い意志を表します。

 次に、一番上の星はダヴィデの星です。これも13の星が描かれています。この星は、表向きには世界史初めての、市民自治による国家を象徴しています。しかし、実は裏の背景があるといわれています。独立戦争時に、アメリカ側を金銭的にサポ...

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