営業の勝敗、キリンの教訓
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
自分のためには頑張れないが、誰かのためには頑張れる
営業の勝敗、キリンの教訓(2)「自立性」こそがカギだ
経営ビジネス
田村潤(元キリンビール株式会社代表取締役副社長/100年プランニング代表)
日本のサラリーマンが「指示待ち」になってしまうのは、入社してからの習い性であり、「自立性」を身に着けるのは難しい。だが、「やる気のある社員をつくる」ためには、自立性を持つしかない。しかも、明治期の日本人を振り返れば、自立性はけっして日本人が不得手とするものではなかったことがわかる。ではキリンビール高知支店では、どのように社員の自立性を引き出していったのだろうか。その真相に迫る。 (全7話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分52秒
収録日:2020年9月25日
追加日:2021年2月1日
≪全文≫

●明治の日本人の「自主自立」の精神に帰れ!


―― 以下の流れでは、それ(日本の本当の良さや理念を、もう一度、企業の中で取り戻し、日本を変えていくこと)をいかに実現していくかという、各論に迫りたいと思います。まずは「やる気のある社員をつくるにはどうすればいいか」ということについてです。これは講演会でも、先生が多くの方から質問されるテーマだということでした。この「やる気」について、どのようにお考えですか?

田村 私はやはり、「自立性」だと思います。

―― 自立ですか。

田村 どうしても「指示待ち」ですよね。私もサラリーマンでしたから、よくわかるんです。入社したときに目標を与えられ、それを達成して評価される。そのシステムでずっとやってきているのです。ですから、「自立性を持て」とよく言われますが、普通は持てないと思います。そうなっていないのです。

 自立性を持つと、自分で考えてやらなければいけないので、多少リスクが発生します。失敗したら大変です。しかし言われたことをやっていれば、失敗しても言い訳が立ちます。だから「基本的に、自立性を持つのは非常に難しい」ということが私の経験ではあるのです。

 ですが、自立性はどうしても必要だと思います。主体的に考えて行動していくことから、さまざまなイノベーションやクリエイティブなことが生まれ、生産性が高まっていくわけなので。そのため、自立して主体性を持つ人を企業の中でつくり出すことが決定的に大事なのです。

 福澤諭吉の書いた『学問のすゝめ』は、明治5年に300万部売れています。当時の日本人の10人に1人が読んだことになる。当時、本は高価なものだったので、回し読みなどもされていたでしょうから、実際はもっと多くの人に読まれていたでしょう。また同時期に『西国立志編』という本が100万部売れています。

―― サミュエル・スマイルズの『自助論』(の翻訳)ですね。

田村 これは両方とも、「自主自立」を謳ったものです。この本が、それだけ売れてしまったということは当時、明治初期の日本人にはそれを受け入れる土壌があったのでしょう。いま、この精神にかえることが重要だと思います。

 本来、日本人が持っている「自立の精神」は、企業の力で取り戻すことができるはずです。実際、キリンビールの中でそれが起きたのです。

 これは、やはり「理念」に行ったからな...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
キャリア転換で人生を成功させる方法(1)2つの大きな潮流
なぜ40歳でキャリアについて一度考え直す必要があるのか
為末大
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
ストーリーとしての競争戦略(1)当たり前の重要さ
柳井正氏の年度方針「儲ける」は商売の本筋
楠木建
ウォーレン・バフェットの成功哲学(1)「世界一の投資家」の実像
世界一の投資家ウォーレン・バフェット…賢人と呼ばれる理由
桑原晃弥
イノベーションの本質を考える(1)イノベーションの定義
イノベーションの定義はパフォーマンスの次元が変わること
楠木建
会社人生「50代の壁」(1)“9の坂”とまさかの坂
サラリーマン人生「50代の壁」を乗り越える生き方
江上剛

人気の講義ランキングTOP10
クーデターの条件~台湾を事例に考える(4)クーデター後の民政移管とその方策
軍政から民政へ、なぜ李登輝はこの難業に成功したのか
上杉勇司
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
伊能忠敬に学ぶ「第二の人生」の生き方(1)少年時代
伊能忠敬に学ぶ、人生を高めて充実させる「工夫と覚悟」
童門冬二
世界のジョーク集で考える笑いの手法と精神(1)体制を笑うジョークと諷刺の精神
ジョークの精神…なぜ人は厳しいときほど笑いを磨くのか
早坂隆
編集部ラジオ2025(23)垂秀夫元中国大使が語る習近平中国
垂秀夫元中国大使に習近平中国と米中関係の実態を聞く
テンミニッツ・アカデミー編集部
プラトン『ソクラテスの弁明』を読む(1)真実の創作
プラトンの『ソクラテスの弁明』は謎多き作品
納富信留
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
人間はどうやって「理解する」のか?『学力喪失』から考える
今井むつみ
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤
松下幸之助の人づくり≪3≫理想の政治(2)日本を根本から検討し直す
常識を覆せ…「無税国家」「剰余金分配国家」は実行可能だ
松下幸之助
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(5)現代社会の問題点と親性脳のスイッチ
親も子もみんな幸せになる方法…鍵は親性脳のスイッチ
長谷川眞理子