営業の勝敗、キリンの教訓
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精神論は不可。「理念が実現した状態」を具体的に定義せよ
営業の勝敗、キリンの教訓(3)理念は単なるきれいごと?
田村潤(元キリンビール株式会社代表取締役副社長/100年プランニング代表)
会社にとって重要な「利益追求」だが、しかし、「利益追求」だけでは、社員は動かない。かといって「理念」を唱えているだけでも、社員や組織は一歩も動けない。では、どうすればいいのか? それは具体的に、どのような行動に移すことなのか? キリンビール高知支店を例に、企業理念を具体化させ、成功へと導いていった手法に迫る。(全7話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分56秒
収録日:2020年9月25日
追加日:2021年2月8日
≪全文≫

●単なる「理念」だけでは組織は一歩も動けない


田村 では、どうしたら「誰かのために役に立っている」と思える環境ができるのか。その方法論ですが、これは「仕事の定義」を変えたのです。

―― 定義を変える、ですか。

田村 会社は「利益追求」ですよね。そうしなければ存続できませんから、当然です。ですが、「利益。利益」と言っても、なかなかうまくいきませんでした。「利益を生む一つ手前」と言ったらいいのか、あるいは「利益より上の概念」と言ったらいいのか、よくわからないのですが、「このような状態ができれば、楽をしても利益がどんどん出てく」という状態をつくる。これは「理念」なのです。

 企業には、理念的なものがあります。お客様のため、地域のため、日本のため、社会のため……。そこに向かえばいい。そこへ向かって一生懸命やっていると、お客様のためですから、お客様は支持してくれます。すると、会社の商品が売れるようになるわけです。無理な安売りをしたり、景品をたくさん付けたりしなくても、売れるようになってくる。その理念を実現するのです。

 利益を上げるために業務目標があり、組織がマネジメントされています。これはこれであるのですが、それはいったん脇に置いておいて、「自分たちの目標は、理念を実現することだ」とする。まずは、この体系をつくる必要がありわけです。会社の組織とは「約束事」ですから、理念といっても概念なので精神論になってしまいます。これでは組織は、一歩も動けません。

―― 多くの場合、会社に経営理念があったとしても、何かきれいごととして捉えられています。

田村 これでは、一歩も動けません。たんなる精神論ですから。

 一方で、利益目標から評価されるシステムがある。ですから、精神論ではなくて、「理念を実現された状態」を具体的に定義する必要あります。「こういう状態があれば地域の人に喜んでもらえる」「真っ先にこの会社のことを思い出される」「何かあったら真っ先に相談する」「真っ先に手を伸ばしてくれる」――このような理念が実現された状態を、具体的に定義する必要があるのです。

―― 例えば、キリンビールの高知支店の場合は、どのような定義だったのですか。

田村 ビールの場合は、わりと簡単なんです。「高知の全県民に、キリンビールが一番おいしいと思ってもらえる、すすんで手に取ってもらえる状態...

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