営業の勝敗、キリンの教訓
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
精神論は不可。「理念が実現した状態」を具体的に定義せよ
営業の勝敗、キリンの教訓(3)理念は単なるきれいごと?
田村潤(元キリンビール株式会社代表取締役副社長/100年プランニング代表)
会社にとって重要な「利益追求」だが、しかし、「利益追求」だけでは、社員は動かない。かといって「理念」を唱えているだけでも、社員や組織は一歩も動けない。では、どうすればいいのか? それは具体的に、どのような行動に移すことなのか? キリンビール高知支店を例に、企業理念を具体化させ、成功へと導いていった手法に迫る。(全7話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分56秒
収録日:2020年9月25日
追加日:2021年2月8日
≪全文≫

●単なる「理念」だけでは組織は一歩も動けない


田村 では、どうしたら「誰かのために役に立っている」と思える環境ができるのか。その方法論ですが、これは「仕事の定義」を変えたのです。

―― 定義を変える、ですか。

田村 会社は「利益追求」ですよね。そうしなければ存続できませんから、当然です。ですが、「利益。利益」と言っても、なかなかうまくいきませんでした。「利益を生む一つ手前」と言ったらいいのか、あるいは「利益より上の概念」と言ったらいいのか、よくわからないのですが、「このような状態ができれば、楽をしても利益がどんどん出てく」という状態をつくる。これは「理念」なのです。

 企業には、理念的なものがあります。お客様のため、地域のため、日本のため、社会のため……。そこに向かえばいい。そこへ向かって一生懸命やっていると、お客様のためですから、お客様は支持してくれます。すると、会社の商品が売れるようになるわけです。無理な安売りをしたり、景品をたくさん付けたりしなくても、売れるようになってくる。その理念を実現するのです。

 利益を上げるために業務目標があり、組織がマネジメントされています。これはこれであるのですが、それはいったん脇に置いておいて、「自分たちの目標は、理念を実現することだ」とする。まずは、この体系をつくる必要がありわけです。会社の組織とは「約束事」ですから、理念といっても概念なので精神論になってしまいます。これでは組織は、一歩も動けません。

―― 多くの場合、会社に経営理念があったとしても、何かきれいごととして捉えられています。

田村 これでは、一歩も動けません。たんなる精神論ですから。

 一方で、利益目標から評価されるシステムがある。ですから、精神論ではなくて、「理念を実現された状態」を具体的に定義する必要あります。「こういう状態があれば地域の人に喜んでもらえる」「真っ先にこの会社のことを思い出される」「何かあったら真っ先に相談する」「真っ先に手を伸ばしてくれる」――このような理念が実現された状態を、具体的に定義する必要があるのです。

―― 例えば、キリンビールの高知支店の場合は、どのような定義だったのですか。

田村 ビールの場合は、わりと簡単なんです。「高知の全県民に、キリンビールが一番おいしいと思ってもらえる、すすんで手に取ってもらえる状態...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
ストーリーとしての競争戦略(1)当たり前の重要さ
柳井正氏の年度方針「儲ける」は商売の本筋
楠木建
キャリア転換で人生を成功させる方法(1)2つの大きな潮流
なぜ40歳でキャリアについて一度考え直す必要があるのか
為末大
認知バイアス~その仕組みと可能性(1)認知バイアス入門
誰もが陥る「認知バイアス」…その例とメカニズム
鈴木宏昭
会社人生「50代の壁」(1)“9の坂”とまさかの坂
サラリーマン人生「50代の壁」を乗り越える生き方
江上剛
ハラスメント防止に向けた風土づくり(1)ハラスメントの概要
増え続けるハラスメント…その背景としての職場の特徴
青島未佳
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環

人気の講義ランキングTOP10
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
平和の追求~哲学者たちの構想(3)サン=ピエールとモンテスキュー
「国連」の発想の源は?…一方、小共和国連合=連邦構想も
川出良枝
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
禅とは何か~禅と仏教の心(2)仏典漢訳から日本仏教へ
「ブッダに帰れ」――禅とは己事究明の道
藤田一照
大人の学び~発展しつづける人生のために(2)熟達と遊び~好奇心から始まる学び
好奇心はコントロールが効かない…遊びの重要な条件とは
為末大
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(2)量子論と空海密教の本質
脳内の量子的効果――ペンローズ=ハメロフ仮説とは
鎌田東二
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦