営業の勝敗、キリンの教訓
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「自由」がないと「行動する勇気」はわいてこない
営業の勝敗、キリンの教訓(5)心に火がついた3つの要因
田村潤(元キリンビール株式会社代表取締役副社長/100年プランニング代表)
一致団結して、企業理念の実現へと行動し始めることができたキリンビール高知支店の社員たち。当時を振り返ると、自分たちの心に火がついた要因が「3つ」あったという。その内容と、組織のリーダーがなすべきことは、いったい何だったのか。 (全7話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分35秒
収録日:2020年9月25日
追加日:2021年3月1日
≪全文≫

●自分たちの心に火がついた3つの要因


田村 難しいのは、社内でそのような(理念を実現していくような)構造をつくることです。講演でよく「どうやったら部下にやる気を持たせられるのか」と聞かれますが、実は私は、部下にやる気を持たせようとしていなかったのです。それどころではなくなってしまったのです。あまりにもキリンビールが売れなくなったので。

 2年前に当時の(高知支店の)メンバーを集めて、「なぜ私たちは心に火がついたのか」を聞いたことがありました。東海地区のメンバーもそうだったのですが、皆が共通して、3つの点を挙げていました。

 1つは、自分たちで考え、自分たちで行動ができたこと。すなわち、自己決定権を完全に持つことができた。これは、当たり前の話です。

 2つ目は、リーダーがぶれなかった、組織がぶれなかったということです。組織の一貫性は大事で、これがぶれると非効率になってしまいます。

 組織の一貫性があった、リーダーがぶれずに済んだことと、自己決定権を持てたということの原因は同じです。理念と戦略、ビジョンが決まっていたからです。「四国のお客様に、とにかくキリンを飲んで喜んでもらう。そのためには、キリンビールがどこでもある状態をつくる」。決めたのは、これだけです。後は全部、社員が自分たちで決めて動いていったのです。なぜなら、市場が全部違うから、得意先が全部違うからです。そうすると、完全に自己決定権を持つことができるのです。

 それまでは本社の指示の奴隷でした。本社の指示はいろいろとあります。キャンペーンや商品など、いいものもたくさんありました。その奴隷になるのではなく、「本社の指示を活用して四国のお客様に喜んでもらい、幸せにするのだ」と考えた。これで、完全に自己決定権を持つことができたのです。上位概念が決まっていたからです。

 ぶれずに済んだのも、そのためです。活動内容は頻繁に変わっていました。ただし、変えた理由を説明ができます。「先週より今週のやり方のほうが、お客様は効率的に喜んでくれる。だから変えるのだ」と。これは、部下から見ると全くぶれていません。

 本社からいろいろな指示がくることに対しては、「これは徹底してやろう」「これは、そこそこやろう」といったように……。

―― その仕分けをするわけですね。新商品のAキャンペーン、Bキャンペーン、Cキャンペーン...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
東洋の叡智に学ぶ経営の真髄(1)経営とは何かをひと言で?
経営をひと言で?…松下幸之助曰く「2つじゃいけないか」
田口佳史
ストーリーとしての競争戦略(1)当たり前の重要さ
柳井正氏の年度方針「儲ける」は商売の本筋
楠木建
本質から考えるコンプライアンスと内部統制(1)「法令遵守」でリスクは管理できない
「コンプライアンス=法令遵守」ではない…実例が示す本質
國廣正
マザーテレサとの出会い
人生を変えたマザーテレサの言葉…あの人たちはキリストだ
上甲晃
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
運と歴史~人は運で決まるか(1)ソクラテスが見舞われた「運」
歴史における「運」とは?ソクラテスの「運」から考える
山内昌之

人気の講義ランキングTOP10
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
編集部ラジオ2025(30)西野精治先生に学ぶ「熟睡の習慣」
熟睡できる習慣や環境は?西野精治先生に学ぶ眠りの本質
テンミニッツ・アカデミー編集部
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
プロジェクトマネジメントの基本(4)スケジュール・マネジメント
スケジュール管理で重要な「クリティカル・パス法」とは
大塚有希子
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(2)量子論と空海密教の本質
脳内の量子的効果――ペンローズ=ハメロフ仮説とは
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦