営業の勝敗、キリンの教訓
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「自由」がないと「行動する勇気」はわいてこない
営業の勝敗、キリンの教訓(5)心に火がついた3つの要因
田村潤(元キリンビール株式会社代表取締役副社長/100年プランニング代表)
一致団結して、企業理念の実現へと行動し始めることができたキリンビール高知支店の社員たち。当時を振り返ると、自分たちの心に火がついた要因が「3つ」あったという。その内容と、組織のリーダーがなすべきことは、いったい何だったのか。 (全7話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:8分35秒
収録日:2020年9月25日
追加日:2021年3月1日
≪全文≫

●自分たちの心に火がついた3つの要因


田村 難しいのは、社内でそのような(理念を実現していくような)構造をつくることです。講演でよく「どうやったら部下にやる気を持たせられるのか」と聞かれますが、実は私は、部下にやる気を持たせようとしていなかったのです。それどころではなくなってしまったのです。あまりにもキリンビールが売れなくなったので。

 2年前に当時の(高知支店の)メンバーを集めて、「なぜ私たちは心に火がついたのか」を聞いたことがありました。東海地区のメンバーもそうだったのですが、皆が共通して、3つの点を挙げていました。

 1つは、自分たちで考え、自分たちで行動ができたこと。すなわち、自己決定権を完全に持つことができた。これは、当たり前の話です。

 2つ目は、リーダーがぶれなかった、組織がぶれなかったということです。組織の一貫性は大事で、これがぶれると非効率になってしまいます。

 組織の一貫性があった、リーダーがぶれずに済んだことと、自己決定権を持てたということの原因は同じです。理念と戦略、ビジョンが決まっていたからです。「四国のお客様に、とにかくキリンを飲んで喜んでもらう。そのためには、キリンビールがどこでもある状態をつくる」。決めたのは、これだけです。後は全部、社員が自分たちで決めて動いていったのです。なぜなら、市場が全部違うから、得意先が全部違うからです。そうすると、完全に自己決定権を持つことができるのです。

 それまでは本社の指示の奴隷でした。本社の指示はいろいろとあります。キャンペーンや商品など、いいものもたくさんありました。その奴隷になるのではなく、「本社の指示を活用して四国のお客様に喜んでもらい、幸せにするのだ」と考えた。これで、完全に自己決定権を持つことができたのです。上位概念が決まっていたからです。

 ぶれずに済んだのも、そのためです。活動内容は頻繁に変わっていました。ただし、変えた理由を説明ができます。「先週より今週のやり方のほうが、お客様は効率的に喜んでくれる。だから変えるのだ」と。これは、部下から見ると全くぶれていません。

 本社からいろいろな指示がくることに対しては、「これは徹底してやろう」「これは、そこそこやろう」といったように……。

―― その仕分けをするわけですね。新商品のAキャンペーン、Bキャンペーン、Cキャンペーン...

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