天皇のあり方と近代日本
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「人間天皇」を否定した三島由紀夫の思想が問うものとは
天皇のあり方と近代日本(4)三島由紀夫VS東大全共闘
片山杜秀(慶應義塾大学法学部教授/音楽評論家)
世界中で価値観の分断が進み、社会が大きく割れている。ここで想起されるのが、1969年の「三島由紀夫vs東大全共闘」の両極に割れた討論会である。この討論会で、東大全共闘は天皇を罵り嘲笑する一方、三島由紀夫は「この天皇は立派な方だから尽くす」というオールド・リベラリスト的な考え方を斬って捨てた。三島が見据えてみたものとは何だったのか。三島のメッセージが現代に突きつけるものとは何か。(全7話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分16秒
収録日:2021年11月2日
追加日:2022年1月6日
≪全文≫

●「人間として尊敬できない」天皇や皇族が出たときにどうするか


―― 特に、一つの思考実験的に考えると、今のアメリカなどが象徴的にそうですが、トランプ派と民主党の戦いのように完全に価値観が分断してしまっていて、国論を二分するような価値観の違いが生まれています。

 それはアメリカだけかというと決してそうでもなく、ヨーロッパも、「超保守派」のようなことをいわれることもありますが、やはりいろいろな価値観が相当先鋭的に衝突する社会が、とくに先進国のなかでは目立ってきています。

 そうなると、陛下が寄り添おうと思っても、どちらに寄り添っても、一方からは「何でそっちなんだ?」という批判を浴びてしまう。社会が割れてしまえば割れてしまうほど、難しくなってしまうところがあるのだろうと思います。

 それでいえば、参考として考えるべきことが幾つかあると思うのですが、そのうちの一つが「三島由紀夫vs全共闘」です。あれは、たしか昭和40年代だったでしょうか。

片山 そうでしたね。

―― あれは、あの時代の非常に象徴的な議論だったのだろうと思います。そこでは、当時学生であっただろう全共闘の方々は、ここでは憚られるような罵詈雑言を天皇に対して相当に浴びせ続けています。

 片や三島は三島で、まさに今の問題に通じるような問題提起をしています。「誰々天皇がご病気だった、誰々天皇が偉かったというなかで、今の天皇陛下が偉いから私は尊敬するという価値観は、小泉信三のようなオールド・リベラリストの議論であり、私はこれに与しない」。天皇というのは連綿と続く美しさなのだという議論を展開しているわけです。

 あのときの、対極に分かれた何か不思議な空間というものが、今になって改めて問題性を提起してくるような気もします。三島がいっていた「あれはオールド・リベラリストのあり方であって、自分の天皇像とは違うのだ」という問題提起については、片山先生はどのようにお考えになっていますか。

片山 三島由紀夫の指摘や問題設定のしかたというものが――彼も没後50年を超えたわけですが――、改めてじわじわと深く、「そこにポイントがあったな」と効いてきている感じはします。

 やはり、「人間として尊敬できる」天皇というものを追求していくと、「人間として尊敬できない」天皇や皇族が出たときにどうするのかという問題になる。

 代々の...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
概説・縄文時代~その最新常識(1)縄文時代のイメージと新たな発見
高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩

人気の講義ランキングTOP10
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(3)3つの一神教、それぞれの物語
信じる神は同じだが…ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の異同点
鶴見太郎
編集部ラジオ2026(9)「トランプ大統領」の視点・論点
【テンミニッツで考える】「トランプ大統領」をどう見るか?
テンミニッツ・アカデミー編集部
万葉集の秘密~日本文化と中国文化(1)万葉集の歌と中国の影響
『万葉集』はいかなる歌集か…日本のルーツと中国の影響
上野誠
これから必要な人材と人材教育とは?(1)人手の供給不足とマクロ経済への影響
ごく一部の人手不足が「致命的」になる…Oリング・セオリー
柳川範之
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
高市政権の進むべき道…可能性と課題(1)高市首相の特長と政治リスク
歴史的圧勝で仕事人・高市首相にのしかかるリスク要因
島田晴雄
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(6)日本人の当たり前と山本七平の違和感
日本の異様さ…フィリピンから復員した山本七平が驚いたこと
與那覇潤
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
性はなぜあるのか~進化生物学から見たLGBT(1)有性生殖と無性生殖
なぜ雄と雌の2つの性別があるのか…「性」の謎とLGBT
長谷川眞理子