天皇のあり方と近代日本
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
皇室財産や旧宮家の復帰について大胆に議論してよい時期だ
天皇のあり方と近代日本(6)皇室財産と旧宮家の復帰
片山杜秀(慶應義塾大学法学部教授/音楽評論家)
第二次世界大戦後、皇室財産はすべて国に属すこととされ、皇室費用も国会の議決が必要になってしまった。その結果、「皇室は国民の税金で食べている」などという批判まで現われるようになった。だが、そのような姿で良いのか。福澤諭吉の「帝室論」のあり方を現代に生かす可能性はないのか。今こそ、戦後民主主義的な皇室像を大胆に変えていくことを、国民的に議論してもよいタイミングである。(全7話中第6話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13分28秒
収録日:2021年11月2日
追加日:2022年1月20日
≪全文≫

●なぜ、戦後に「皇室財産」が奪われてしまったのか?


片山 (「帝室論」は)棚上げされたけれども、戦後の天皇や皇室のありようを考えた場合には、先取りしているところがあります。それから、戦後民主主義のなかで天皇(皇室)が国民から敬愛されるシチュエーションをつくっていくというのであれば、「皇室財産がたくさんあって、文化や芸術にお金を出す皇室像」というのはありえた話だと思います。

 ところが、おかしなことに、「戦後民主主義だというのに天皇(皇室)がたくさん財産を持っているのはけしからん」という話になってしまう。あくまでも民主主義の下の象徴天皇は、国家の仕掛けであって、皇室の予算なども国会でコントロールされるべきものだという意見が、戦後は通ってしまったわけです。

 だから、皇室財産は戦前・戦中まではあったけれども、(戦後は)なくなってしまった。天皇が自らのパフォーマンスによって国民から尊敬されるというようなときには、多分自分のお金を使えたほうがよかったと思います。それが、戦後民主主義の初期の原理主義的な「皇室が、自分たちが貴族的な暮らしをするためにたくさん財産を持っているというのは、戦後民主主義の精神に反していてけしからん」「皇室財産など、とんでもない」などという議論のほうが勝ってしまった。今では「警備費にいくらかけるのだ」といってくる人間ばかりになってしまったのです。

 皇室が財産を持っていれば、「自分たちの財産でやります」といって、「ああ、そうなのか」という価値観の形成もありえたはずなのですが。そこが、オールド・リベラリストの設計も、ある意味で失敗しているわけです。

 皇室財産を持っていない戦後の皇族は、全部税金でやっていて、「儀式も税金でやるのですか」という話になってしまった。むしろ、全部国家の予算でやって当たり前の皇室のありようになっていて、天皇主権・天皇中心で、天皇が建前としては政治・権力・権威の全部の頂点にいることになっていて、「朕は即国家である」というような考え方で国家のお金はすべて天皇のお金といってもいいような価値観でもまかり通るような論法を通していたはずの明治国家体制においては、別に皇室財産があった。ところが、そうでないほうが望ましいというふうにも考えられる戦後においては、皇室財産はない。このねじれも非常に尾を引いている気がします。

――...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(1)会ってみたプーチン…その実像
ロシア人の見る「ロシアの歴史」を知るとロシアがよくわかる・・・実際に会ってみたプーチンの印象とは?
上月豊久
概説・縄文時代~その最新常識(1)縄文時代のイメージと新たな発見
高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘
『江戸名所図会』で歩く東京~日本橋 (1)日本橋に見る徳川家康の手腕
徳川家康と江戸の町づくりー江戸時代の「日本橋」の姿とは
堀口茉純
「三国志」の世界とその魅力(1)二つの三国志
三国志の舞台、三国時代はいつの・どんな時代だったのか?
渡邉義浩
本当のことがわかる昭和史《5》満洲事変と石原莞爾の蹉跌(1)なぜ満洲が重要だったのか
放っておけば朝鮮はロシア領になりかねなかった
渡部昇一
古代中国の「日常史」(1)日常史研究とは何か
『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
柿沼陽平

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(38)アメリカ中間選挙と民主主義
【10min解説】第2期のトランプ大統領と中間選挙を考える
テンミニッツ・アカデミー編集部
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(4)アレクサンドル・ネフスキーの英雄化
ロシアの英雄「アレクサンドル・ネフスキー」はなぜ英雄か…ドイツ騎士団と戦った歴史がどう利用されたか
上月豊久
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
今後の技術革新と企業経営(6)仮想通貨とフィンテック
仮想通貨が本当の「通貨」にならない理由
柳川範之
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
日本企業の弱点と人材不足の克服へ(3)「デジタル人材」に対する誤解
「デジタル人材の不足」は知識ではなく「気づき」の問題
西山圭太
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(4)郡家の発掘と新田山を詠んだ東歌
「東歌」に刻印された奈良時代の真実とは?…地方に気をつかい地方のパワーを取り込んで中央政権はできていた
上野誠