プーチンのロシア―その思想と戦略―
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ロシアと中国が軍事協力…日本が見るべきポイントとは
プーチンのロシア―その思想と戦略―(6)中露関係と日本の対策
山添博史(防衛研究所 地域研究部 米欧ロシア研究室長)
SNSが軍事戦略でも活用されている現在、適切な情報の取捨選択が求められている。他国の情報戦略に振り回されないために日本がすべきこととは何か。また、ウクライナ情勢が緊迫する中で、ロシアと中国の関係にも注目が集まっている。日本は両者の関係をどう見ていくべきなのか。(全6話中第6話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分56秒
収録日:2022年3月4日
追加日:2022年5月4日
カテゴリー:
≪全文≫

●情報に惑わされすぎないこと、それを憎しみに変えないこと


―― そうすると、当然、日本もその工作の対象国になると思います。こういうときは何に気をつければいいのでしょうか。

山添 今はこういう社会の分断を煽る言説には気をつけたほうがいいですね。現在の戦時でも、やはりロシア側の極端な論理を支持してしまう人がいます。インターネット空間上では、そういう人と、ウクライナをきちんと支持する人との分断や混乱が見られます。この分断は日本ではそれほど大きくはならないと思っています。というのも、日本では活字(メディア)や住所がきちんとある放送局から情報を得ている人が多いので、陰謀論的な情報に簡単に流される人は少ないといわれています。

 しかし、もし仮にそうしたことによる意見の分断が物理的なところに現れてくる、すなわち乱闘になるとか、あるいは選挙に現れてくるなどということになってくれば、それを利用する人も次に現れるはずです。ですから、われわれの言説空間が変なものに惑わされないように今の段階でしっかりとやっておくべきです。

―― 歴史を振り返って、伝統的なロシアというと語弊があるかもしれませんが、例えば昔のボリシェヴィキなども、あえて議会政治を混乱させて、議員が汚い、議会政治などもうダメだという言説を出すことによって、議会の外での勢力を強めていき、革命に結びつけるという戦略を取ってきました。ある意味では、そういう伝統がロシアにはあって、今度はSNSなどを使って言論空間自体を壊しているということですね。

山添 そうですね。そういう手法でもあります。ただし、それをロシアだけがやっているわけではありません。アメリカのトランプ陣営がそういうものを活用していたので、もともとそこにある分断を煽ることもありますし、選挙でどちらが勝つか分からないといった状況にロシアが少し肩入れをして、崩していくこともあります。それに対する最も有効なものとして欧米で言われているのは、分断されにくい社会自体の強靱性です。分断はあるにしても、それがひどくならないように統一感、一体感を保っていく、それが一番大事なことだといわれています。

―― あとは、受け手の教養レベルというと怒られてしまいますが、正しい判断基準や判断の軸をどこに持つかも問われていますね。

山添 それについては、そういうことがあるということで、日...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(4)信長の直臣、秀吉の与力としての秀長
最初は信長の直臣として活躍――武闘派・秀長の前半生は?
黒田基樹
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(4)葛飾応為の芸術と人生
親娘で進歩させた芸術…葛飾応為の絵の特徴と北斎との比較
堀口茉純
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
平和の追求~哲学者たちの構想(5)カント『永遠平和のために』
カント『永遠平和のために』…国連やEUの起源とされる理由
川出良枝
医療から考える国家安全保障上の脅威(1)「非対称兵器」という新たな脅威
フェンタニルの麻薬中毒も意図的な戦略?非対称兵器の脅威
山口芳裕
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
「なぜ人は部屋を片付けられないか」を行動分析学で考える
島宗理
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治