プーチンのロシア―その思想と戦略―
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
突然のウクライナ侵攻…ロシア将兵を危険にさらす非合理性
プーチンのロシア―その思想と戦略―(5)侵攻の論理と情報戦略
山添博史(防衛研究所 地域研究部 米欧ロシア研究室長)
心理戦術を中心に行ってきたロシアの対ウクライナ軍事戦略だったが、それは突如として武力行使に変わった。世界から孤立し批判が強まるプーチンだが、感情的で非合理ともいえるこの戦争を続ける理由は何なのか。一種の情報戦である「社会言説空間作戦」と「西欧社会分断」作戦とあわせて解説する。(全6話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:12分46秒
収録日:2022年3月4日
追加日:2022年4月27日
カテゴリー:
≪全文≫

●突然のウクライナ侵攻と恐ろしいほどの非合理性


―― そうすると、これまでは比較的生かさぬように、殺さぬように、ウクライナ国内の内乱の要因を作って、従わせようとしていたということですね。プーチンの頭の中では、ウクライナへの侵攻は論理的に必然のことになっているのでしょうか。

 前回の話でいうと、今までは、ある意味で旧来的な、戦争には入らない範囲でいろいろとハイブリッド工作を仕掛けていって、何とかしたいと考えていたということです。それを一気に今回のような紛争状態に持っていったのは、プーチンの頭の中ではもうそういう局面が来たという認識なのでしょうか。

山添 そうなったと思いました。このハイブリッドの図を見てください。図の一番下の行に当たりますが、2021~2022年まではウクライナ心理戦をやってきたと考えていました。その右側に軍事力行使のオプションがありますが、そこに至る前に交渉を有利に進めていました。そして、その三つ上のドンバス紛争は継続しています。つまり、ロシアが動かせる武装勢力がウクライナ領内に入っているということです。そういう軍事力のテコもありながら、ウクライナを揺さぶっていくと思っていました。また、この軍事オプションも伝統的な敷居を越えないものをやると思っていました。

 つまり、ドンバス紛争の中で軍事力を拡大させ、圧力をかけて交渉のテーブルに着かせる。そういったことをやることによって、伝統的な敷居を越えずに交渉ができて、ロシアが払う代償もこの中に収めることができる。そうしたリスク回避、コスト重視の戦略をプーチンはずっと進めてきました。

 シリアであからさまな作戦をやりましたが、あれもコストは一定程度超えないように、管理しながらやってきました。そのように、プーチンのことをずっと見てきました。ですから、いろいろと悪いことをやってきたとはいえ、ロシア自身にすごいリスクが及ぶような通常戦争をいきなり始めるのは、これまでのパターンと全然違っていて、そこが一番のショックです。

 もう1つ、それよりもショックなのは、非常に大きな非合理性です。ウクライナを統一したいのは分かりますが、2022年2月24日の開戦時の演説も、「ウクライナ人、お前らにはナチスに協力した恥ずべき祖先がいる。その恥ずべき者たちの子孫であるお前らはネオナチの...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
独立と在野を支える中間団体(1)「中間団体」とは何か
国家の中で個人が楽しく生きるために、なぜ「中間団体」が重要か
片山杜秀
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
会計検査から見えてくる日本政治の実態(1)コロナ禍の会計検査
アベノマスク、ワクチン調達の決算は?驚きの会計検査結果
田中弥生
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
トランプ政権と過激化した米国…MAGA内戦、DSAの台頭
東秀敏

人気の講義ランキングTOP10
資本主義の再定義…哲学で考える(4)共感としての見えざる手
利とは、義の和である…なぜ道徳的なふるまいが企業活動に重要か
中島隆博
昭和の名将・根本博…内蒙古・終戦後の戦い(1)軍人の本義を貫いた根本博中将
ソ連軍から在留日本人4万人を守れ…内蒙古での「戦後」の激闘
門田隆将
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(1)シラス論と日本の政治
独裁ができない戦前日本…大日本帝国憲法とシラスの論理
片山杜秀
死と宗教~教養としての「死の講義」(5)仏教の死:日本編
極楽往生、坐禅、法華経…日本人はいかに死を乗り越えるか
橋爪大三郎
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
戦前派一日本人の憂鬱~太平洋戦争と敗戦後を顧みて…(1)
『きけわだつみのこえ』を読むと今でも涙が止まらない
野田一夫
ラフカディオ・ハーン『神国日本』を読む(1)なぜ『神国日本』なのか?
ラフカディオ・ハーンが解明した「美しい日本」の秘密と未来
賴住光子
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
編集部ラジオ2026(26)お盆とあの世を考える
【10min解説】特集で考える《お盆とあの世》の本質
テンミニッツ・アカデミー編集部
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保