キリンでつかんだ「幸せになる」仕事術
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1年分の営業予算が3カ月で枯渇…そこからどう逆転したか
キリンでつかんだ「幸せになる」仕事術(3)「打つ手が全部当たる」境地とは
田村潤(元キリンビール株式会社代表取締役副社長/100年プランニング代表)
お客様に聞きに行く…とひと言でいうが、実際には難しい。最初は、「何を尋ねればいいのか」からわからなかった。また、得意先の要望を聞いているうちに、1年分の予算を3カ月で使い果たしてしまった。これは大失敗で、本社からも怒られた。だが、だからこそ、チームの皆が、知恵と工夫を本気で出すようになった。正しい戦略よりも「実行力」が重要であり、「実行力」を高めるためには「個別の判断能力」が不可欠だが、間違いなく、それが高まった。かくして、「打つ手。打つ手が、全部当たる」という状況になっていくのである。(全8話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13分33秒
収録日:2022年3月30日
追加日:2022年8月29日
≪全文≫

●最初は「何を尋ねればいいか」がわからなかった


―― 「幸せとは自分と他者の関係」という話に戻ると、先ほど「『みんなを幸せにする』という目標を立てる」という話がありました。「自分が自分が」という心ではなく、相手との関係性の中で、むしろ相手のことを考えようとなり、「どうすれば喜んでもらえるか」と相手側の立場に立ってものを見ることができるようになる。

田村 そうです。

―― ここもまた難しいと思うのは、まず「聞きに行く」ということです。「何にお困りですか?」「どうやればいいですか?」といったものがあると思いますが、多分100人なら100人いろいろな答えが来て、全部に応えようとすると、とてもじゃないけれどやりきれないということになりますよね。

田村 最初はもう失敗だけでした。打つ手、打つ手が、全部失敗です。(それまで)ほとんど回ったこともありませんでしたし、わからないことだらけだったので、「尋ねる」といっても「何を尋ねればいいか」がわからない。最初はお金を使い過ぎてしまったのです。

―― 営業予算をですか。

田村 そう。年間予算を3カ月ぐらいで使ってしまったのです。得意先に行くと、おっしゃるように要望を言われます。

―― 「グラスをくれ」とか。

田村 「グラスを持ってこい」とか「協賛金を出せ」とか。これ、(キリンとして聞きに行ったのが)初めてのことなので、断れないのです。断るとライバルメーカーに行ってしまうので。「はい、わかりました」と応じていたら、3カ月ぐらいで年度予算を使ってしまったのです。これは社内で大問題になりました。実績は最下位で、予算達成率は断トツでトップでしたから。

―― 一番怒られるパターンですね(笑)。

田村 そうです(笑)。ただこれがよかったのは、メンバーはみんな知っていますから、怒られている私を。次からは「お金を使わないで、でも得意先の言うことを聞かないといけない」(となった)。すると「どういう交渉をしたらいいのか」という議論が出てきたのです。これがよかったと思います。大変でしたが、自分たちで考えて「このやり方は、やっていられない」と。

 もう一つよかったのは、日々、いろいろな問題が起きます。「会社の使命を果たす」というのは、それは「きれいごと」です。言葉はきれいだけれど、実際の毎日で何が起きているかといえば、もう、しょうがないことが...

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