キリンでつかんだ「幸せになる」仕事術
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
1年分の営業予算が3カ月で枯渇…そこからどう逆転したか
キリンでつかんだ「幸せになる」仕事術(3)「打つ手が全部当たる」境地とは
田村潤(元キリンビール株式会社代表取締役副社長/100年プランニング代表)
お客様に聞きに行く…とひと言でいうが、実際には難しい。最初は、「何を尋ねればいいのか」からわからなかった。また、得意先の要望を聞いているうちに、1年分の予算を3カ月で使い果たしてしまった。これは大失敗で、本社からも怒られた。だが、だからこそ、チームの皆が、知恵と工夫を本気で出すようになった。正しい戦略よりも「実行力」が重要であり、「実行力」を高めるためには「個別の判断能力」が不可欠だが、間違いなく、それが高まった。かくして、「打つ手。打つ手が、全部当たる」という状況になっていくのである。(全8話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:13分33秒
収録日:2022年3月30日
追加日:2022年8月29日
≪全文≫

●最初は「何を尋ねればいいか」がわからなかった


―― 「幸せとは自分と他者の関係」という話に戻ると、先ほど「『みんなを幸せにする』という目標を立てる」という話がありました。「自分が自分が」という心ではなく、相手との関係性の中で、むしろ相手のことを考えようとなり、「どうすれば喜んでもらえるか」と相手側の立場に立ってものを見ることができるようになる。

田村 そうです。

―― ここもまた難しいと思うのは、まず「聞きに行く」ということです。「何にお困りですか?」「どうやればいいですか?」といったものがあると思いますが、多分100人なら100人いろいろな答えが来て、全部に応えようとすると、とてもじゃないけれどやりきれないということになりますよね。

田村 最初はもう失敗だけでした。打つ手、打つ手が、全部失敗です。(それまで)ほとんど回ったこともありませんでしたし、わからないことだらけだったので、「尋ねる」といっても「何を尋ねればいいか」がわからない。最初はお金を使い過ぎてしまったのです。

―― 営業予算をですか。

田村 そう。年間予算を3カ月ぐらいで使ってしまったのです。得意先に行くと、おっしゃるように要望を言われます。

―― 「グラスをくれ」とか。

田村 「グラスを持ってこい」とか「協賛金を出せ」とか。これ、(キリンとして聞きに行ったのが)初めてのことなので、断れないのです。断るとライバルメーカーに行ってしまうので。「はい、わかりました」と応じていたら、3カ月ぐらいで年度予算を使ってしまったのです。これは社内で大問題になりました。実績は最下位で、予算達成率は断トツでトップでしたから。

―― 一番怒られるパターンですね(笑)。

田村 そうです(笑)。ただこれがよかったのは、メンバーはみんな知っていますから、怒られている私を。次からは「お金を使わないで、でも得意先の言うことを聞かないといけない」(となった)。すると「どういう交渉をしたらいいのか」という議論が出てきたのです。これがよかったと思います。大変でしたが、自分たちで考えて「このやり方は、やっていられない」と。

 もう一つよかったのは、日々、いろいろな問題が起きます。「会社の使命を果たす」というのは、それは「きれいごと」です。言葉はきれいだけれど、実際の毎日で何が起きているかといえば、もう、しょうがないことが...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
プロティアン~最先端の自律的キャリア形成(1)変幻自在のキャリア論
なぜ第二の人生のためにキャリアの棚卸しが必要か~組織から自律へ
田中研之輔
認知バイアス~その仕組みと可能性(1)認知バイアス入門
誰もが陥る「認知バイアス」…その例とメカニズム
鈴木宏昭
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
野獣の経営、家畜の経営(1)経営センスが育つ土壌
ファーストリテイリングで経営者が育つ理由
楠木建
ストーリーとしての競争戦略(1)当たり前の重要さ
柳井正氏の年度方針「儲ける」は商売の本筋
楠木建
ハラスメント防止に向けた風土づくり(1)ハラスメントの概要
増え続けるハラスメント…その背景としての職場の特徴
青島未佳

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
編集部ラジオ2025(32)哲学者たちが考えた平和追求
反EU、反国連の時代に再考!「哲学者たちの平和追求」
テンミニッツ・アカデミー編集部
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(6)東條内閣で行われた行政改革
悲惨な末路につながった東條英機内閣での兼職と省庁再編
片山杜秀
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(3)秀吉出世譚の背景
武闘派・秀吉として出世…織田家中で一番の武略者の道
黒田基樹
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
平和の追求~哲学者たちの構想(5)カント『永遠平和のために』
カント『永遠平和のために』…国連やEUの起源とされる理由
川出良枝
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(4)葛飾応為の芸術と人生
親娘で進歩させた芸術…葛飾応為の絵の特徴と北斎との比較
堀口茉純
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾