日本を復活させる国家戦略
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輸出立国から輸入依存型の中進国に衰退した日本経済
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「所得倍増」はなぜ成功したか…日本経済の回復のヒント
日本を復活させる国家戦略(1)戦後の復興戦略と日本経済の凋落
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
国民が幸福にそれぞれの生活を謳歌できる経済をつくりあげることは、政治指導者の最大の使命であろう。国家戦略を考えるうえでも、そのことはぜひとも実現しなくてはならない。かつて池田勇人は「所得倍増計画」を実現させたが、池田や、さらに大平正芳などの先人たちは、いかにして日本経済を興隆させたのだろうか。その歴史的プロセスから、今、学ぶべきものはなんだろうか。(全4話中第1話)
時間:9分12秒
収録日:2022年7月7日
追加日:2022年10月20日
≪全文≫

●理論に裏打ちされた日本の戦後復興政策


 岸田文雄さんは(2022年10月現在)宏池会の会長ですが、宏池会をつくったのは池田勇人という総理大臣でした。岸田首相の大先輩に、池田さんや大平正芳さんなど、立派な人がたくさんいらっしゃるのです。

 池田さんや大平さんに共通することは、時代の最大課題が何かということをよく承知されて、それにチャレンジされていることです。

 池田さんは、第二次大戦後の惨憺たる破壊と貧困の中から、いかに日本を復興させて成長を達成するかということを最大命題として、全力を尽くされたと思います。

 大平さんの頃は、日本が輸出立国として世界で羽ばたいて、対米黒字を積み重ね、それによってアメリカをはじめ世界中から批判を受けました。このようなやり方で土砂降り輸出のようなことをするのは良くないということで、もうちょっとバランスの取れた成長モデルを追求するのだと「田園都市構想」が出てきているのです。

 もう少し池田さんと大平さんの考え方を説明したいと思います。日本は、太平洋戦争敗戦後の焼け野原の中から立ち上がって、さらに朝鮮戦争の特需の追い風があり、戦後復興の手がかりをつかみました。池田さんはこの状況を踏まえて「所得倍増計画」を打ち出しているのです。これは単なる思いつきではなく、二つの面できっちりした理論があると思います。一つは、産業連関を踏まえた産業政策です。もう一つは金融の大戦略です。

 産業連関では、まず石炭、鉄鋼、造船、機械。これは産業構造の高度化の順序です。そして段々と、造船、機械、自動車という流れになっていき、輸出立国を目指す戦略が描かれてくるわけです。さらに、日本は資金が足りなかったのですが、どうやって国民の持っている資金を輸出産業に集中するかという戦略をつくりました。

 当時、日本は農業人口が半分以上もいたので、農協が農業者たちのお金をたくさん持っていたわけですが、農協は(他に)使い道を知らないので預かっているだけです。このお金を協同組合に入れて、信用金庫に移し、さらに信用金庫から地方銀行に移して、地方銀行も運用は下手ですから都市銀行へ移し、最後は政策銀行です。これらの政策を趣旨として、日本興業銀行などがつくられているわけですが、そこまでいけば、多額な資金を...

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