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あるべき国家戦略…DX、半導体、再生可能エネルギー、食糧

日本を復活させる国家戦略(4)逆転戦略への具体的提言

島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツTV副座長
概要・テキスト
日本経済が息を吹き返すには、DXの環境を整備するため法律のレベルから根本的に見直し、最新技術を取り入れた成長戦略の構築が急務である。食糧、エネルギー、教育、人口(少子化)など、日本が抱えている問題も避けては通れない。最終話ではそのための具体策を提案し、日本経済復活への道筋を示す。(全4話中第4話)
時間:16:36
収録日:2022/07/07
追加日:2022/11/10
キーワード:
≪全文≫

●DX実現のための法整備が急務


 最後に、皆さんに私なりの提案を申し上げて締めくくりたいと思います。

 一つは、この凋落を逆転する戦略の構想と、それを策定することです。非常に大きいことが2つあるのです。まずDXの環境を整備しなければいけない。DXとは、デジタルトランスフォーメーションのことです。

 日本は、例えば国民に10万円を配るだけでも、うまくいかずに何カ月もかかったという恥ずかしい国です。ほとんどの国は1週間ぐらいでそれができているわけです。なぜできないかというと、役所の縦割りです。それから、システムが違う。システムを変えるとき、「ベンダーの契約が15年先まで埋まっているからできません」と言うと、その先を越えられない。これは、戦後の民主主義があまりに政治の力を削減してしまったということもあると思います。なので、戒厳令など敷けません。国家戦略も池田首相の時にはギリギリやりましたが、もっと強力にできるように変えなければいけません。

 ですから、黄金の3年間があるのなら、憲法から変えて、国家の危急のときには国家権力でいろいろなことができるようにしなければいけないのです。そうすると、本当はDXは2~3カ月でできなければいけません。(前首相の)菅義偉さんが一所懸命、デジタル庁をつくりましたが、全然動いていません。つまり、基本的な骨格になる法律や国家戦略で動かせるようになっていないのです。

 民間企業で見ると、例えば宅配や航空会社、交通産業でも、スマホ1つで全部分かります。航空機の予約もそうです。民間企業でそれができるのに、なぜ国家ができないのでしょうか。民間企業でやれるような指揮命令系統を、国家の中につくり変えられるような法律体系からつくらなければいけないのですが、それは、日本の今の「民主主義」では少し難しいのです。強力な法体系の整備が必要で、それができるかどうかです。

 それが韓国はできている。エストニアもできている。なので、日本も黄金の3年間でやればいいのです。


●適材適所で多様な労働力を生かす制度改革を


 (逆転戦略の構想・策定において、大きなポイントのもう一つは)適材適所です。官庁も民間大企業もそうですが、組織が硬直的で、多様で有能な労働力が活用できていないのです。既存の組織、人...
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