野鴨の哲学~安楽から離れ自分自身を生きる
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
スティーブ・ジョブズにも影響―『3900羽の野鴨たち』
野鴨の哲学~安楽から離れ自分自身を生きる(2)アメリカと日本で羽ばたいた野鴨たち
行徳哲男(日本BE研究所 所長)
キェルケゴールから始まった「野鴨の哲学」はその後、あるアメリカ人によってビジネスの世界に持ち込まれ、多くの実業家に影響を与えた。アメリカで、そして日本でも羽ばたいた野生の鴨の物語とは? (全3話中第2話目)
時間:5分00秒
収録日:2014年2月26日
追加日:2015年1月7日
≪全文≫

●アメリカで羽ばたいた3900羽の野鴨たち


行徳 この野鴨の哲学は、実は今から70数年ほど前に、一人のアメリカ人によっていわゆるビジネスの世界に持ち込まれました。それは、IBMの初代社長トーマス・ワトソンです。その当時は、確かトーマス・ワトソンは商人で、ミシンやカメラを車に乗せて売り歩く行商人でした。しかし、彼はこの野生の鴨の哲学に大変な衝撃を覚えて、わずかな社員たちと作った合言葉が、「野鴨たれ」です。

 そして、この社員たちが3900人になったときに、トーマス・ワトソンの息子によって書かれたのが、『3900羽の野鴨たち』です。これは、アメリカでベストセラーになったことがあります。これを読んでいたのが、あのスティーブ・ジョブズです。

 ジョブズというのは、もともと大変東洋的な思想に影響を受けた人で、彼は17歳のときに、インドを旅しています。大変にゼン・ブディズム(禅)に関心が強かったのです。その彼に、大きな影響を与えたのは、乙川弘文さんという禅宗のお坊さんです。ジョブズもその『3900羽の野鴨たち』に触発されて、そしてAppleをつくっていく。1回は大変な挫折を味わいながら、またよみがえっていくわけです。

 そして、3900羽の野生の鴨たちがさらに羽ばたいて、今や世界的な企業、おそらく世界で最も魅力的な会社、IBMの創業の哲学となったわけです。これは私事になりますけれど、私の娘がIBMに行っておりまして、入社式で配られた冊子の表紙は野生の鴨でした。


●アサヒビールが示した「野生の鴨の教え」


行徳 この野生の鴨の教えというのは、日本にもあるわけです。これは、アサヒビールの中興の祖と言われた、ご存知の中條高徳会長(現・名誉顧問)に関連しております。

 実は、戦前のビール業界は、大日本麦酒という会社がもう圧倒的な強さを持っていました。確か日本のシェアの7割近くを持っていたのですが、集中排除法を食らいました。やはり占領軍というのは、日本の帝国主義が再び力を持つことを大変に恐れまして、結果、片や武装解除、片や財閥解体です。私もその財閥系の会社におりましたから、その解体のすさまじさと言ったら相当なものがありました。三菱商事など、確か200社ぐらいに分断されたのですから。

 大日本麦酒は真っ二つに割られました。それが、アサヒビールとサッポロビールです。...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
キリスト教とは何か~愛と赦しといのち(1)「イエス」とは一体誰なのか
「イエス・キリスト」という名前の本当の意味は?
竹内修一
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
道徳と多様性~道徳のメカニズム(1)既存の道徳の問題点
多様性の時代に必要な道徳とは…科学的アプローチで考える
鄭雄一
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
「なぜ人は部屋を片付けられないか」を行動分析学で考える
島宗理

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2025(30)西野精治先生に学ぶ「熟睡の習慣」
熟睡できる習慣や環境は?西野精治先生に学ぶ眠りの本質
テンミニッツ・アカデミー編集部
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
プロジェクトマネジメントの基本(3)プロジェクトのすすめ方
PDCAサイクルを回すための5つのプロセスとそのすすめ方
大塚有希子
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二