日本語と英語で味わう『源氏物語』
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
平安時代から続く伝統…『源氏物語』の最大の特色は口承性
第2話へ進む
謎多き紫式部の半生…教養深い「女房」の役割とその実像
日本語と英語で味わう『源氏物語』(1)紫式部の人物像と女房文学
日本を代表する古典文学『源氏物語』と、その著者である紫式部は、NHKの大河ドラマ『光る君へ』の放映をきっかけに注目が集まっている。紫式部の名前は誰もが知っているが、実はその半生や人となりには謎が多い。いったいどのような人物なのか。『源氏物語』における和歌の特徴や、教養深い「女房」として家庭内教育を担っていたことから、紫式部の人物像をひも解いていく。(2024年2月18日開催「大人の学びフェス」講演〈「源氏物語」の深い魅力〉より、全5話中第1話)
時間:11分46秒
収録日:2024年2月18日
追加日:2024年10月14日
≪全文≫

●謎多き紫式部の半生


キャンベル こんにちは。今日は大勢の方が来てくださいましたね。

林 ありがとうございます。

キャンベル 日曜日のよいお天気なのに、だからこそ、というべきでしょうか。みんな『源氏物語』の大河ドラマを見て、いろいろとお思いといいますか、紫式部はこういう人生で、こういう人だったのかというようなことで、興味がまたもう一度芽生えているような気がいたします。

林 今(2024年)、ちょうどNHKの大河ドラマで『光る君へ』というものが放送になっておりまして、おかげで私のところへもこういう話がしょっちゅうくるのですけれど、あれはべつに『源氏物語』の話ではなくて、それを書いた紫式部の話なのです。紫式部という人も実はあまりよく分かっていない人で、生没年もはっきりしないし、いつ『源氏物語』を書いたかということにもいろいろな説があって、学者の先生たちがいろいろなことをいっているのだけれど、これという決定案がないのです。

 そのぐらい曖昧模糊としているのですが、『源氏物語』という物語は厳然として存在しているわけで、今日おいでの方々は、皆さんきっとお読みになったのでしょうね。

キャンベル 林さんの『謹訳 源氏物語』は、私は最初から最後まで読破しているのですけれど、それをまずお薦めしたいです。

林 はい。

キャンベル 和歌がもちろんたくさんあるわけで、室町時代から江戸時代の人たちも、和歌を引き歌して、いちばん有名な歌をたどりながら、54帖を全部読むというのは、注釈を作る人は別にして、ほとんどしていないのです。『謹訳 源氏物語』という数年前に完成させたものは、歌そのものを味わえるように考えて、特に歌に対する思いというものが林さんにあったのではないかと思います。


●難解だった紫式部の和歌


林 私が大学院の学生で勉強しておりましたときに、佐藤信彦先生という、平安時代のご専門の先生がおられて、一般にはほとんどご存じないと思いますけれど、この先生は一生、本を書かなかった人なのです。でも、私どもは神様のように尊敬しておりました。

 この先生がずっと源氏物語を講じていて、私も『謹訳 源氏物語』を書くときに、その頃に佐藤信彦先生が講じた講義を、自分が持っていた『古典大系』の中に細大漏らさず筆記していたのです。その頃は、その偉さはあまり分かりませんでしたけれど、改めて...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「芸術と文化」でまず見るべき講義シリーズ
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
ピアノの歴史は江戸時代に始まった
野本由紀夫
クラシックで学ぶ世界史(1)時代を映す音楽とキリスト教
音楽はなぜ時代を映し出すのか?…音楽と人の歴史の関係
片山杜秀
日本画を知る~その技法と見方(1)写実・写意・写生
日本画で大切な「写意」「写生」の深い意味とは?
川嶋渉
和歌のレトリック~技法と鑑賞(1)枕詞:その1
ぬばたまの、あしひきの……不思議な「枕詞」の意味は?
渡部泰明
百人一首の和歌(1)謎の多い『百人一首』
『百人一首』の歌が選ばれた理由とは?今も残る3つの謎
渡部泰明
おみくじと和歌の歴史(1)おみくじは詩歌を読む
おみくじは「吉凶」だけでなく「和歌や漢詩」を読むのが本当
平野多恵

人気の講義ランキングTOP10
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
平和の追求~哲学者たちの構想(3)サン=ピエールとモンテスキュー
「国連」の発想の源は?…一方、小共和国連合=連邦構想も
川出良枝
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
生成AI「Round 2」への向き合い方(2)ハードで動くCopilot
Microsoft Copilotの革新性…想像がつかない世界に
渡辺宣彦
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治