日本人とメンタルヘルス…心のあり方
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「頑張りすぎる人がうつになる」と言われるのは日本だけ!?
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(2)真面目な日本人と二宮尊徳の思想
中井久夫氏のいう「執着気質」は歴史的にどう作られてきたのか。執着気質はうつ病になりやすい性格を指すが、よく「真面目すぎて頑張ってしまう人」がうつになるといわれる。そういわれるのは日本の特殊性で、二宮尊徳と関係があるのではないかと中井氏は考えた。二宮尊徳は江戸時代の後期、疲弊した農村の立て直しに尽力した人物だが、彼の思想がどのように日本人に浸透していったのか。中国や韓国との相違点を挙げながら解説する。(2025年8月30日開催:早稲田大学Life Redesign College〈LRC〉講座より、全7話中第2話)
※司会者:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:9分39秒
収録日:2025年8月30日
追加日:2026年3月27日
≪全文≫

●「真面目で頑張ってしまう人がうつになる」といわれるのは日本の特殊性


與那覇 ではいったい中井さんがここで何を言っているかというと、「執着気質」というものが、歴史的にどう作られてきたかを解明している論文になります。この執着気質が何かというと、うつ病になりやすい性格です。私もうつで働けなくなって、結果として勤めていた大学を辞めています。その体験をこの本(『知性は死なない 平成の鬱をこえて 増補版』〈與那覇潤著、文春文庫〉)に書いたりもしています。

 日本では「こういう人がうつ病になるのではないか」「うつ病になりやすい性格があるのではないか」と言われて、それを「執着気質」と言ってきました。これは戦前の学説です。1930年代ぐらいから「うつ病にはなりやすい性格があるらしい」と言われてきたのです。

 これは、けっこう特殊な学説です。「メンタルの病気をしやすい性格があるのではないか」と考えるのは、特に日本とドイツです。他の国の学者や精神科医は、そういうことをあまり考えない。むしろ日本人とドイツ人だけが「この病気には、きっとなりやすい性格がある」と考えているのです。

 さらに、どういう人がうつ病になりやすいのかというと、日本でもひょっとしたら職場に勤めているときにご自身が体験されたり、「同僚にうつ病になって休職した人がいたなあ」みたいなことを覚えている方もいらっしゃるのではないかと思います。

 よく、「頑張りすぎる人がうつ病になりやすい」と日本では言ったり、聞いたりしたこともあるのではないかと思います。そうした「頑張りすぎるせいで、うつ病になる」という言い方の元祖が、下田光造という戦前に活躍した精神科医が述べた「執着気質を持っている人が、うつになる」という学説です。

 では執着気質とは何かというと、下田さんが言っているのが「確実人として信頼され、模範青年、模範社員、模範軍人」です。「この人は真面目一本で、仕事を任せれば確実にそれをやり遂げる」。そういう理想的な青年、理想的な社員、理想の兵士であり、軍人。こういう人が、うつになりやすいという学説が戦前からあるのです。

 ちなみにこれは中井久夫さん曰く、日本でしか言われないようです。ドイツにも「メランコリー型の人がうつになりやすい」という学説はありますが、「メランコリー型」は、あまりいい人格類型とは思われていません...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
「自分をコントロールする力」の仕組み(1)自制心と目標の達成
自制心の重要性…人間は1日4時間も何かを「欲求」している
森口佑介
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
「禅とは何か」藤田一照師が禅と仏教の心を説く…自発性を重んじる
藤田一照
神話の「世界観」~日本と世界(1)踊りと物語
世界の神話の中で異彩を放つ日本神話の世界観
鎌田東二
『タテ社会の人間関係』と文明論(1)誤解を招いた「タテ社会」の定義
誤解された『タテ社会の人間関係』…日本社会の本質に迫る
與那覇潤
キケロ『老年について』を読む(1)キケロの評価と「老年の心構え」
幸福な老年への智恵をキケロに学ぶ…惨めな老年の4つの理由とは
本村凌二

人気の講義ランキングTOP10
昭和の名将・根本博…内蒙古・終戦後の戦い(1)軍人の本義を貫いた根本博中将
ソ連軍から在留日本人4万人を守れ…内蒙古での「戦後」の激闘
門田隆将
昭和の名将・根本博…台湾での恩義の戦い(4)消された歴史を掘り起こす
根本博の功績は台湾では消されていた…取材でいかに正史を変えたか
門田隆将
編集部ラジオ2026(26)お盆とあの世を考える
【10min解説】特集で考える《お盆とあの世》の本質
テンミニッツ・アカデミー編集部
死と宗教~教養としての「死の講義」(5)仏教の死:日本編
極楽往生、坐禅、法華経…日本人はいかに死を乗り越えるか
橋爪大三郎
資本主義の再定義…哲学で考える(4)共感としての見えざる手
利とは、義の和である…なぜ道徳的なふるまいが企業活動に重要か
中島隆博
日本の財政の真実を検証する(7)AIと長寿化&質疑応答
AI時代にこそ「熟達者の経験」が生きる&現状の日本経済の実情は
宮本弘曉
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(1)シラス論と日本の政治
独裁ができない戦前日本…大日本帝国憲法とシラスの論理
片山杜秀
戦前派一日本人の憂鬱~太平洋戦争と敗戦後を顧みて…(1)
『きけわだつみのこえ』を読むと今でも涙が止まらない
野田一夫
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎