日本人とメンタルヘルス…心のあり方
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「既読」への不安…SNS社会にみる日本社会の混乱の要因
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(5)SNS社会と「二宮尊徳的」時代の終り
かつて狩猟採集社会では「先読み」の才能を重宝された統合失調症的気質(S親和者)は、定住農耕社会ではマイノリティにされてしまう。一方、その定住農耕社会で「立て直し」というメンテナンスを美徳とされた「二宮尊徳的」な道徳、価値観は今、機能不全を起こしているという。そして、SNS社会による情報の断片化が進む中、LINEなどの「既読」の問題を例に挙げてメンタルへの影響を指摘する與那覇氏。ではそうした「正解のない不安」と私たちはどう向き合えばいいのだろうか。(2025年8月30日開催:早稲田大学Life Redesign College〈LRC〉講座より、全7話中第5話)
※司会者:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:13分46秒
収録日:2025年8月30日
追加日:2026年4月4日
≪全文≫

●SNS社会はどうしても「統合失調症的な方向」に寄っていく


與那覇 中井久夫さんが言っているのは、言い方を変えると「定住農耕社会をわれわれは社会の前提にしているけれど、いつまでも世の中がそうとは限らない」ということです。常に同じことをやれば、基本食べていける。食べていけなくなったら、メンテナンスして元に戻せばいい。立て直せばいい。これは定住農耕社会に限られた、かつ日本のような(社会です)。

 日本人がどこでも四角の水田をつくるのは、明らかに自然に起きることではない。人工的に、ものすごいメンテナンスをし続けることをやっているわけであり、これはある意味で、非常に特殊な文明ではないか。そう中井さんも示唆をしているのです。

 とにかく同じことを繰り返し続けなければならない。繰り返せなくなったら、それはメンテナンスの不足であり、努力不足である。甘えずに頑張らねばならない。このような農耕社会が強く成立した。

 人類全体がそうでしたが、特に日本の稲作社会は、よりそれが強烈に成立したことで分裂病的な人、未来を先取りしようとする気持ちを持つ人が少数者、マイノリティにされてしまったのではないか。

 ここから後も非常に面白いのです。このときからS親和者――Sとは分裂病や統合失調症をいう「Schizophrenia(スキゾフレニア)」の頭文字です――つまり統合失調症的な、昔からやってきたことを繰り返すよりも「先読みをしよう」という気質を持つ人は、狩猟採集時代には「おまえ、才能あるなあ」となる。

 「何で今の『ザワッ』で『ちょっとヤバい。熊が来ている』って分かるんだよ」とすごくほめられたのに、農耕社会になると、うまく行かない人にされてしまう。マイノリティになってしまう。

 結果として、そういう人は農耕社会になった後、どう生きていったかというと、上へ向かうより他は生きていきにくい。例えば王様とか雨乞いをする人になると、「やっぱおまえ、才能あるな」と言ってもらえます。

 未来を先読みして、稲作をみんなで作っているときに、「僕の考えでは夏に台風が来る気がするから、今補修をしても無駄だと思う」などと述べても、「ごちゃごちゃ言ってないで、ちゃんとやれよ」などと言われて終わりです。それが王様や雨乞いする人になると、「おおっ」となって、「未来が見えるぞー」と言うと、「ははーっ、さすがでございます」とな...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
「怒り」の仕組みと感情のコントロール(1)「キレる高齢者」の正体
「キレやすい」の正体とは?…ヒトの「怒り」の本質に迫る
川合伸幸
プラトンの哲学を読む(1)対話篇という形式の哲学
ヨーロッパ哲学の伝統はプラトン哲学の脚注だ
納富信留
老子の神髄(1)「絶対自由の境地」を求めて
『老子』が求める「絶対自由の境地」とは?…そして創造長寿へ
田口佳史
世界の語り方、日本の語り方(1)なぜ「語り方」なのか
今後身に付けるべき知性として「新しい語り方」を考える
中島隆博
小林秀雄と吉本隆明―「断絶」を乗り越える(1)「断絶」を乗り越えるという主題
小林秀雄と吉本隆明の営為とプラグマティズムの格率
浜崎洋介
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
三日坊主、部屋が片付かない…なぜできないか行動分析学で考える
島宗理

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(21)中西輝政先生:アメリカの本質
【10min解説】独立250年、アメリカの理念と本質とは?
テンミニッツ・アカデミー編集部
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
アメリカの理念と本質とは?…まず「三つの建国」から原点に迫る
中西輝政
老子の神髄(4)生成化育と突破力
生成化育――「自ずと然り」のメッセージと「突破する力」の歓喜
田口佳史
日本の財政の真実を検証する(2)なぜ財政危機は起きていないか
なぜ財政危機は起きていないのか…国債の金利のトリックを読み解く
宮本弘曉
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
知られざる「脳」の仕組み~脳研究の最前線(1)脳科学と「ミクロのマクロの隔たり」
脳が生きている、死んでいるとは?最新研究で迫る脳の秘密
毛内拡
ラカンの精神分析~心の謎を解き明かす(1)精神分析の概念とその起源
なぜ心の病にかかるのか?ラカンの精神分析とその起源
斎藤環
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(4)情報と教養の違い
教養がおろそかな人の限界…「教養は頭の中に、情報は頭の外に」
橋爪大三郎
「集権と分権」から考える日本の核心(4)荘園発生から武家の時代、王政復古へ
武士が推進した“私”の増殖…中央集権はいかに崩れたか
片山杜秀