「満洲」から考える日本とアジア
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
日本が中国に出した「21カ条の要求」の罠と必然…不安定な満洲利権を手にした日本が直面した難題とは?
「満洲」から考える日本とアジア(6)21カ条の要求と第一次世界大戦
宮脇淳子(公益財団法人東洋文庫研究員)
日露戦争後、ロシアが日本に渡した満洲利権の租借期限は短いものであり、日本は巨額の投資を行なった「満洲」の権益確保に奔走せざるをえなくなる。しかも、辛亥革命によって中華民国が成立する中で、日本は条約の再締結を迫られた。第一次世界大戦でドイツに勝利してドイツの中国権益を手にした日本は、満洲の利権とそのドイツの利権の確保のため、中華民国へ「21カ条の要求」を行なう。しかし実はその「要求」という言葉も、中国側から頼まれて用いたものだった。それを後から中国側に暴露され、日本に批判の目が集まる形に仕向けられてしまうのだ。当時の日本外交は、善意や理想主義に突き動かされつつ、それを突き通す力が不足するという、政治的判断の拙さを露呈していた。挙句に、各国の思惑や国際情勢に翻弄されていくのである。第6話では、当時の日本が直面した現実と混迷に焦点を当て、後世の視点から安易に歴史を批判することの是非を問い直す。(全10話中第6話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツ・アカデミー編集長)
時間:10分04秒
収録日:2026年5月13日
追加日:2026年9月29日
≪全文≫

●辛勝の日露戦争で得た満洲に全力投球する日本の真面目さ


―― 日露戦争の結果、かなり脆弱な満洲のいわゆるロシアが持っていた権益、1923年で切れる租借権。(つまり)遼東半島の租借権と(※1898年の露清条約で、ロシアが清国から得ていた旅順・大連の租借権が25年間で1923年が期限。南満洲鉄道は36年後の1934年に清国が有償で買い戻せて、80年後には無償返還する規定になっていた)……。

宮脇 だいたい「租借権」ですからね。それで買い戻せるようになっているけれど、「どうせ清朝に金などないし」などと、ロシアもものすごい荒っぽいことをしていたから、そもそもが。

 だいたい、他人の国に鉄道を敷くということ自体がそもそも。

―― そうですね。

宮脇 でも、満洲だけではなくて、南方のほうはイギリスとかフランスとかドイツとか、みんな勝手に鉄道を敷いていたわけですよ。「お前ら、金無いだろうが」と。

―― そうですよね。あちらこちらで鉄道利権にはイギリスも含めて入ってきますからね。

宮脇 はい。当時のアジアは全部そうで、これは当時の習性で、でも日本は渋沢栄一さんが朝鮮半島に鉄道を敷いたから。

―― そうですね。

宮脇 でも、それはインフラを作ってやっている(ということで)、今から思えば、「他人の国に」とか言われるけれど、全部(日本が投資を)「していること」なのです。

 だから、私は満洲のことで言いたいのは、「日本がこれした、あれした」というけれど、「確かにしたよ」と。でも、「その時に、では中国がどうだったかとか、アメリカが何をしたとか、比較して」と思うわけです。

―― そうですね。

宮脇 日本がしたことだけを挙げて、「こんなに悪かった、あんなに悪かった」というけれど、「他はもっとすごくない?」と。(そこは)現代と比較するなと(言いたい)。今から遡って批判するのは易しいけれど、当時になってみたら、何が一番良かったかとか、比較の対象を同じ時代の違う土地にするとか、それによって見方が全然違ってくると思います。

―― そうですね。その時、その状況に直面した日本人なり、満洲人なり、漢人なり、朝鮮人なりがどう判断をしたのかと。

宮脇 どうすれば良かったのかと。だから、(日本は)日露戦争にまず勝つと思ってなくて、辛勝、なんとか勝ったと。

 そこで、ア...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
概説・縄文時代~その最新常識(1)縄文時代のイメージと新たな発見
高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
独裁の世界史~ギリシア編(1)世界史の始まり
「独裁政から始まる」という世界史の諸相に迫る
本村凌二
オスマン帝国とは何か~その繁栄と共生の秘密~
オスマン帝国とは何か?その繁栄の理由
山内昌之
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(1)シラス論と日本の政治
独裁ができない戦前日本…大日本帝国憲法とシラスの論理
片山杜秀
モンゴル帝国の世界史(1)日本の世界史教育の大問題
なぜ日本の「世界史」はいびつなのか…東洋史と西洋史の違い
宮脇淳子

人気の講義ランキングTOP10
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
「満洲」から考える日本とアジア(8)日貨排斥と満洲事変の原因
なぜ満洲事変が起きたか…激烈な日本排斥と朝鮮人迫害、さらに一方的な条約無効化に直面した日本人の決断と失敗
宮脇淳子
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
日本画を知る~その技法と見方(1)写実・写意・写生
日本画で大切な「写意」「写生」の深い意味とは?
川嶋渉
編集部ラジオ2026(34)『オデュッセイア』の秘密と愉しみ
【10min解説】大ヒット映画『オデュッセイア』がもっと楽しくなる神話講義
テンミニッツ・アカデミー編集部
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫