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DATE/ 2017.11.26

共働きの家事分担事情の「理想」と「現実」

 育児を積極的にする男性、「イクメン」というフレーズもかなり定着し、最近では家事をする男性のことを「家事メン」なんて呼ぶそうです。少しずつ男性の家事参加が広まってきている兆しはあるが、それでも奥様方はまだまだ納得していない――調査会社のマクロミルが発表した「共働き夫婦の家事分担に関する調査」というレポートからはそんな実態が浮き彫りとなりました。理想と現実にはまだまだギャップがあるようです。

「家事メン」なんて空想の存在?

 同レポートでは、既婚で配偶者と同居しており、夫婦ともにフルタイムで働いている全国の男女1000人に調査を実施。「妻がほとんどの家事を担っている」「妻が主に家事を担っているが、夫も少し分担している」が合計で約66%。「妻と夫で分担している」のは約30%で、夫の方が妻より多く家事を行っているのは3%にも満たないという結果でした。

 また、具体的な家事分担の割合としては「夫10%、妻90%」が多数派の24%。次いで「夫20%、妻80%」(18.5%)、「夫30%、妻70%」(14.4%)と、「家事メン」はいったいどこにいるのか?と感じられるような惨憺たる数字が並びます。一方で理想の家事分担割合は「50%-50%」が36.7%で最大多数。現実と理想のギャップが数字ではっきりと示されています。

 別の調査になりますが、大手電機メーカーのパナソニックが行った「30・40代夫婦のライフスタイル調査」によると、夫が考える夫婦の家事分担は「43:57」であるのに対し、妻が考える比率は「20:80」。つまり夫は「半分弱はやっているかな、家事メンだ!」と密かに誇っていても、妻の方は「うちの夫は五分の一しかやってくれないわ…」と考えている、というのが平均的な家庭のようです。

家事をやったらやったで文句を言われる夫

 夫に対するプレッシャーはまだ続きます。夫が「家事の分担が理想に程遠いなら、たまには家事をやろうじゃないか」と皿洗いや掃除をし始めたとしましょう。ですが、マイナビニュースの調査によると、妻の41.5%は夫の家事に対し不満を抱いているとのこと。

「やっても適当で汚い」「作るごはんが塩辛すぎ、掃除が不十分」「やってほしい家事じゃない家事をする、寝た子どもを起こす」などなど、出るわ出るわ。妻の怒りは頂点に達する寸前です。

 ちなみに、家事に対して対価を払っているわけではないので目には見えにくいですが、様々な職種の年収をまとめているポータルサイト「平均年収.jp」の概算だと、主婦の労働は年収換算で子育てありなら480万円~、子育てなしなら240万円~、だそうです。

 家事をちゃんと半分(あるいはそれ以上)行っている旦那さんは胸を張って良いですが、それ以下の方々はもう少しずつ奥さんに協力していきましょう。

<参考サイト>
・マクロミル:共働き夫婦の家事分担に関する調査 
https://www.macromill.com/honote/20171024/report.html
・Panasonic:家事シェアー家事の分担割合、妻の理想は?
http://panasonic.jp/wash/kajishare/lifestyle03.html
・マイナビニュース:夫の家事に不満のある妻は41.5%
http://news.mynavi.jp/news/2014/12/19/009/
・平均年収.jp:専業主婦の年収は実際にはどのくらいなのか?
http://heikinnenshu.jp/tokushu/shufu.html

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今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授