社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
眠れなくなるほど面白い身近な物理
少年少女のころ、毎日のように新しい発見があり、驚きの連続だったのではないでしょうか。そうしたことが大人になるにつれて、だんだんとなくなってしまったとすれば、残念なことです。
忙しい日々を送る現代人には仕方のないことかもしれませんが、そんな中、子どものころの好奇心をすこしばかり取り戻して、身近な生活を眺めてみませんか。たとえば、空はどうして青いのだろう。夕方の空はなぜ赤いのか。そもそもどうして色があるのか。今回のコラムでは、そうした身の回りのちょっとした謎について、『眠れなくなるほど面白い 図解 物理の話』(長澤光晴著、日本文芸社)をもとにして、いくつか考えてみたいと思います。
著者の長澤光晴氏は東京電機大学工学部自然科学系列・工学研究科物質工学専攻の教授で、長澤氏の研究室では「物質の性質と特徴を基礎的な立場から解明する研究」を行っています。
光は電磁波という波の一種です。それぞれの色には波長があって、一番長いのは赤、逆に短いのは青系の光です。そして、青色は波長が短い分、飛んでいきやすいという特徴があります。そのため、他の色より私たちのもとに届きやすく、それで空は青く見えるのです。
青は赤に比べて8倍もレイリー錯乱しやすいのだそうです。つまり、光が地面に届くまでの距離が長くなるほど青は私たちのもとに届きにくくなるということです。それは、逆に波長の一番長い赤は届きやすくなるということですので、夕方の空は真っ赤に染まるというわけです。
ゴルフ好きの方はご存知かもしれませんが、表面のくぼみは「ディンプル」といってボールをより遠くへ飛ばすための工夫です。ボールを打ち飛ばすと空気抵抗が生まれます。この空気抵抗を極力抑えるためには、できるだけボールに沿って空気が流線を描くように工夫する必要があります。
ディンプルをつくることで、空気はそのくぼみに吸われるようにしてボールの表面を通っていくようになります。つまり、ディンプルが空気の流れを整えてくれているわけです。それによって抵抗が減り、ボールは遠くまで飛ぶようになります。ちなみにこの技術は水泳ウェアの開発などさまざまなスポーツ分野で活用されています。
このように、物理の知はいたるところにひそんでいると言っていいでしょう。ふと不思議に思ったら面倒くさがらずに調べたり考えたりする癖をつけてみましょう。しくみが分かると世界の見え方がガラッと変わります。
忙しい日々を送る現代人には仕方のないことかもしれませんが、そんな中、子どものころの好奇心をすこしばかり取り戻して、身近な生活を眺めてみませんか。たとえば、空はどうして青いのだろう。夕方の空はなぜ赤いのか。そもそもどうして色があるのか。今回のコラムでは、そうした身の回りのちょっとした謎について、『眠れなくなるほど面白い 図解 物理の話』(長澤光晴著、日本文芸社)をもとにして、いくつか考えてみたいと思います。
著者の長澤光晴氏は東京電機大学工学部自然科学系列・工学研究科物質工学専攻の教授で、長澤氏の研究室では「物質の性質と特徴を基礎的な立場から解明する研究」を行っています。
空はどうして青いのだろう
まずは冒頭に挙げた謎から始めます。空はどうして青いのだろう。太陽の光は白色の光ですが、これは青や緑や赤色などが重なってできています。いろいろな色があることは7色の虹を思い出すとわかりやすいですね。光は電磁波という波の一種です。それぞれの色には波長があって、一番長いのは赤、逆に短いのは青系の光です。そして、青色は波長が短い分、飛んでいきやすいという特徴があります。そのため、他の色より私たちのもとに届きやすく、それで空は青く見えるのです。
夕方の空はなぜ赤いのか
夕方になるとなぜ赤くなるのかということも考えてみましょう。夕方は昼間にくらべて太陽の光が地面に届くまでの距離が長くなります。そのため、飛んでいきやすい青は地面に届く前に大気中の物質にぶつかってどこへ飛んで行ってしまうのです。この進路変更をレイリー錯乱といいます。青は赤に比べて8倍もレイリー錯乱しやすいのだそうです。つまり、光が地面に届くまでの距離が長くなるほど青は私たちのもとに届きにくくなるということです。それは、逆に波長の一番長い赤は届きやすくなるということですので、夕方の空は真っ赤に染まるというわけです。
ゴルフボールの表面のくぼみ
もうひとつ紹介します。今度は空の色の話とは打って変わって、ゴルフボールについてのお話です。皆さん、ゴルフボールの表面のくぼみのわけを知っていますか。これも物理で説明できます。ゴルフ好きの方はご存知かもしれませんが、表面のくぼみは「ディンプル」といってボールをより遠くへ飛ばすための工夫です。ボールを打ち飛ばすと空気抵抗が生まれます。この空気抵抗を極力抑えるためには、できるだけボールに沿って空気が流線を描くように工夫する必要があります。
ディンプルをつくることで、空気はそのくぼみに吸われるようにしてボールの表面を通っていくようになります。つまり、ディンプルが空気の流れを整えてくれているわけです。それによって抵抗が減り、ボールは遠くまで飛ぶようになります。ちなみにこの技術は水泳ウェアの開発などさまざまなスポーツ分野で活用されています。
このように、物理の知はいたるところにひそんでいると言っていいでしょう。ふと不思議に思ったら面倒くさがらずに調べたり考えたりする癖をつけてみましょう。しくみが分かると世界の見え方がガラッと変わります。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,500本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
世界で最もクリエイティブな国は? STEAM教育が広がる理由
数学と音楽の不思議な関係(4)STEAM教育でつくる喜びを全ての人に
世界では「創造性がどれくらい大事か」という問題意識が今、急激に高まっている。創造性とは全ての人にあり、偏差値などでは絶対に計れない、まさに無限軸の創造性のこと。そうした創造性を育む学びが「STEAM教育」である。最終...
収録日:2025/04/16
追加日:2025/09/18
国民に求められる外交感覚とは?陸奥宗光の臥薪嘗胆の意味
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(3)「内政と外交」と持つべき外交感覚
「内政と外交」――これはまさに切っても切れない大事な関係にある。外交とは、国際関係ばかりに気を遣っていればいいのではなく、海外の声をききながら国内の声にも耳を傾けることが重要だと小原氏は述べる。まさに内政が大事で...
収録日:2025/04/15
追加日:2025/09/19
トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン
アメリカのトランプ大統領は、2025年5月に訪れたサウジアラビアでの演説で「トランプ・ドクトリン」を表明した。それは外交政策の指針を民主主義の牽引からビジネスファーストへと転換することを意味していた。中東歴訪において...
収録日:2025/08/04
追加日:2025/09/13
日本と各国の比較…税負担は低いが社会保障の負担は高い
続・日本人の「所得の謎」徹底分析(1)各国の財政と国民負担
国民の税負担を増やすか、政府の財政支出を増やすか。前回の講義《日本人の「所得の謎」徹底分析》に続き、見解の分かれる日本の財政に関する議論を今一度整理し、見通しを与える当講義。まずは日本の財政と国民の負担の現在地...
収録日:2025/07/10
追加日:2025/09/17
米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長
経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力
人が成長していくために重要な経験学習。その学習サイクルを適切に回していくためには、「経験から学ぶ力」が必要になる。ではそこにはどのような要素があるのか。ストレッチ、リフレクション、エンジョイメントという3要素と、...
収録日:2025/06/27
追加日:2025/09/17