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DATE/ 2018.09.12

【仕事と年収】タクシードライバー(34歳男性)

 今回は「タクシードライバー」の方に年収などのリアルなお金事情、その仕事の内容をうかがいました。

【年齢】34歳(男性)
【住まい】東京都
【独身or既婚】独身

経歴を教えてください。

 大学を卒業後、某自動車販売ディーラーへ就職しました。2年目に大きなミスをしてしまい逃げるように退職。それでも自動車と接客の双方を活かした仕事がしたいと思い、偶然見かけたタクシードライバーの求人案内を見て、東京四社と言われるタクシー会社へ就職しました。

年収/月収/賞与について教えてください。

 年収400~500万円、月収37~45万円、賞与はなし。基本給はあるが、ほぼ歩合制(売上の57%前後)。

貯蓄額はおいくらですか?

 150万円。

年間休日は?

 月に12日乗務(1乗務は約20時間勤務)の場合、仕事明けの日は「明休」という扱いです。この明休が年間140日前後、明休の次の日もお休みの「公休」が年間70日前後、合わせると年間200日以上お休みがあるという計算になります。ですが、明休は勤務後で疲れているので、慣れていないと1日何もできずに終わってしまいます。

仕事の内容は?残業はどれぐらい?

 お昼過ぎに出社・出庫。営業所からは都心へ向けて車を流します。午後~夕方はオフィス街でビジネスマンに対応します。夜~夜中にかけては接待利用店の対応や泥酔者や終電を逃したお客様や深夜残業のお客様の送迎対応。朝方はホテルからの空港や主要駅などへの送迎対応で1日が終わります。

 機械的に思えるかもしれませんが、道路の交通状況や鉄道などのアクシデントの情報、周囲のイベントの情報などリアルな情報を常に仕入れておかなければならないので意外と頭脳戦です。また、接客しながらの運転のため、周辺情報にアンテナを張る、道は確実に覚えるなどの知識の蓄積も重要です。

この仕事の良い点は?

 様々な業種のお客様が乗車されるので、雑談レベルですが、様々な話が聞けます。こちらから質問をしなくても、お客様から自然と話してくれます。そういう雰囲気が作れていての「ありがとう」は、まさに自分に向けられた言葉ですので、やりがいは感じます。

 給与面では、やればやった分だけ返ってくるので、その点は良いと思います。自己管理能力も高まります。また、現場では基本一人のため、危機管理能力が鍛えられるのも良い点だと思います。

この仕事の悪い点は?

 まず様々な責任が自分にのしかかる点です。もちろん会社は守ろうとはしてくれますが、重大な交通事故を起こした際は、刑事責任を負わなければなりません。そして、そういった事故を起こすと目立ってしまうので、世間からのイメージも悪いです。

 また、ドライバーの態度が悪いという声も聞きますが、あながち間違ってはいません。会社も教育に努めてはいますが、そもそも、タクシードライバーはクセ者揃いです。我が道を行く人も少なくありません。

 そして、交通面・接客面でも危険と隣り合わせです。精神的にも肉体的にも健康をしっかり管理できていないと、大きな失敗に繋がる仕事だと思います。一つの事故で自分自身や家族の人生が大きく変わってしまう可能性があります。実際そのような場面を何回も見てきました。決して安定した仕事とは言えないでしょう。

――――――――――

 「タクシードライバー」の仕事と年収、いかがでしたでしょうか?

 国税庁の平成28年度の民間給与実態統計調査では、30代前半男性の平均年収は457万円。この方の年収は400~500万円とのことなので、同世代の平均ぐらいのようです。最近は、タクシーの乗客によるトラブルの報道も増えてきました。こういったことを見ても、私たちが思っている以上に、大変なお仕事のようです。

<参考サイト>
・国税庁HP「民間給与実態統計調査」より
https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2016/pdf/001.pdf
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テンミニッツTV編集部
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