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DATE/ 2019.05.28

QRコード決済と電子マネーはどう違う?

 Suicaに代表される交通系カードによる電子マネーから、今話題のQRコード決済まで、世の中、キャッシュレスに向かって様々なサービスが展開されています。実際に使っている人でも、電子マネーやQRコード決済についてどれだけ理解しているでしょうか?

 今回は、キャッシュレス決済の方法、電子マネー、QRコード決済の仕組みついておさらいしてみましょう。

最近よく聞くQRコード決済とは?

 QRコード決済とは、QRコードやバーコードを用いた電子決済システムになります。専用のアプリをスマートフォンにインストールすることが第一段階。次に、支払い方法を設定し、実際の買い物では、QRコードをスマートフォンのカメラで読み取って、支払いを完了させます。

 QRコード決済の方法は大きく2パターンに分けられます。一つ目が、利用者側が提示したQRコードを読み取るパターン、二つ目が、店舗側が提示したQRコードを読み取るパターン です。利用者は、QRコード決済アプリへ事前にお金をチャージしたり、クレジットカードや銀行口座を登録したりしておくことで、キャッシュレスでスマートフォンだけで買い物ができる仕組みです。

QRコード決済と電子マネー決裁との違い

 電子マネーの代表格としては、交通系のSuica、PASMO、kitacaなどがあり、商業系では楽天Edy、nanako、WAONなどがよく使われています。電子マネーは、専用のICチップに現金をチャージしたり、クレジットカードを登録して使用する仕組みです。

 QRコード決裁が、画像データを媒介するのに対して、これまでの電子マネーは専用のICチップを用いるのが大きな違いということができます。電子マネーの場合、お店側も専用の読み取り装置を導入する必要があります。

 電子マネーが専用のハードウェアに依存するのに対して、QRコード決裁は、双方スマホレベルのハードとアプリがあれば運用することができます。事業者サイドにとって、QRコード決裁は、電子マネーやクレジットカードよりも安価に決裁システムを導入できるというのがメリットになります。

 QRコード決裁のデメリットとしては、通信が担保されているスマホ無しでは成立し得ない決裁手段であるということです。電子マネーの場合は、専用のICチップだけで済むのに対して、スマホの充電が切れていたり、通信環境が悪かったりすると決裁できない可能性が否めません。なお、支払いのプロセスは圧倒的に電子マネーの方が速いです。

より安全かつ便利なのは?

 電子マネーは、そのメディアであるカードや、おサイフケータイとしてのスマホを盗まれてしまうと、そのまま使用されるリスクを伴うのに対して、QRコード決裁の場合は、そのリスクはなくなります。QRコードそのものが一定時間だけ有効であるため、時間が経った後では使用することはできないだけでなく、支払画面を出すアプリは、ログインが必要であるため、他者による不正利用は難しいと言うことができます。ただし、読み取りに偽のQRコードを差し替えられたり、QRコードを修正したりする機能を利用して送金先を変えるといったリスクがあることは忘れないようにしましょう。

 決裁の簡易さは現時点では電子マネーに利がありますが、導入コストが圧倒的に安価におさえられるため、QRコード決裁は今後さらに普及することでしょう。それぞれにメリット・デメリットがありますが、キャンペーンの恩恵を期待しつつリスクを回避して、賢く使うようにしましょう。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
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