社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
「悩みごと」の多い都道府県は?
SDGsから見えてきた各都道府県の悩み
みなさんは「SDGs(Sustainable Development Goals)」をご存知でしょうか。これは2015年の国連サミットで定められた、2016年から2030年までにすべての国が目ざすべき17のゴールと169のターゲットのこと。もちろん日本も参加しており、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されます。少しわかりづらいですが、全世界がこれからも続いていくための条件をまとめたものといえるでしょう。地域ブランドなどの研究やコンサルティングを行うブランド総合研究所は、このSDGsをより日本の状況になじませた「地域版SDGs」を開発し、各都道府県の住民350人ずつ、計1万6千人にアンケートして、各地の住民が感じている悩み、満足度、定住意欲度などを集計しました。その結果わかった「悩みの多い都道府県」トップ10と悩みの数は以下の通り。カッコ内が悩みの数(単位・個)です。
1位:秋田県(4.26)
2位:茨城県(3.96)
3位:徳島県(3.95)
4位:岩手県(3.93)
4位:山形県(3.93)
6位:静岡県(3.90)
7位:福島県(3.80)
8位:宮崎県(3.75)
9位:青森県(3.74)
9位:鳥取県(3.74)
1位の秋田県をはじめ、岩手県、山形県、福島県、青森県と、東北地方勢が上位を占めました。秋田県は「低収入・低賃金」の悩みが46%にものぼり、半数近い人が悩んでいることが見て取れます。
住民の具体的な悩みとは
それでは、日本全体の住民は具体的にどんなことに悩んでいるのでしょうか。地域版SDGsに設定された48項目から選ばれたトップ10を見てみましょう。カッコ内がその項目を選んだ人の割合(単位・%)です。1位:低収入・低賃金(35.8)
2位:ストレス(28.7)
3位:貯蓄・投資(28.6)
4位:運動不足(23.4)
5位:税金・社会保険の負担(15.6)
6位:借金・ローン(15.2)
7位:体調不良(13.9)
8位:花粉症(12.2)
9位:持病・難病(11.4)
10位:物価上昇(10.9)
1位はやはり低収入・低賃金でした。秋田県の46%はかなり高いですが、日本全体で見ても35.8%と断然に高い数値になっています。選択した悩みの中で「特に深刻に感じている」ものでも、低収入・低賃金は23.8%で1位になっており、早急に解決すべき問題であることがわかります。
実は、トップ10はすべてSDGsのゴールで重要性が高い「1・貧困」と「3・健康・福祉」に関連する項目。SDGsは開発途上国の課題を解決するために2015年を達成期限としたMDGs(Millennium Development Goals)を引き継いで設定されたものですが、その中で重要性が高い項目に日本人が悩んでいる現状を見ると、日本は先進国とは言い難いのかもしれませんね。
もちろん悩みが少ない都道府県もある
しかし、地域版SDGsで「不安や悩みはない」と答えた人も全体で16.8%います。悩みが少ない都道府県にも特徴があるのでしょうか。先ほど挙げた「悩みの多い都道府県」は、下の順位になるほど悩みの数が少ないということになるので、この47位から43位までを見てみましょう。47位:愛知県(2.51)
46位:神奈川県(2.74)
45位:大阪府(2.82)
44位:山口県(2.86)
43位:兵庫県(2.87)
一番悩みが少ない都道府県は愛知県でした。愛知県は「不安や悩みはない」という回答が全国平均を上回る27.4%あり、全国で最も高い数値が出ています。愛知県といえば大都市・名古屋がすぐ浮かびますが、愛知県に続く神奈川県や大阪府、さらに41位に入っている東京都など、大都市圏を擁する都道府県ほど悩みが少ない傾向にあるようです。
また、満足度が最も高い都道府県は66.4%の千葉県、定住意欲度が最も高い都道府県は84.2%の北海道という結果に。これらの数値が低い都道府県は「電車やバスの路線廃止・減便」や「病院・医療機関の不足」に不満を抱いていることが多いです。特に日本は自然災害が多く、今後は高齢化がさらに進むことを考えれば、インフラや医療体制の充実も持続可能な社会の実現に重要ですよね。都市と地方の格差が埋められ、すべての都道府県の悩みが解消されることが期待されます。
<参考サイト>
・地域ブランドNEWS 貧困と健康・福祉が悩み。20%は生活に不満、13%が移住意向~地域版SDGs調査2019~
https://news.tiiki.jp/articles/4414
・外務省 SDGsとは?
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html
・World Vision 持続可能な開発目標(SDGs)
https://www.worldvision.jp/children/sdgs.html
・地域ブランドNEWS 貧困と健康・福祉が悩み。20%は生活に不満、13%が移住意向~地域版SDGs調査2019~
https://news.tiiki.jp/articles/4414
・外務省 SDGsとは?
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html
・World Vision 持続可能な開発目標(SDGs)
https://www.worldvision.jp/children/sdgs.html
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
グローバル主義が全ての元凶…トランプ政権がめざすのは?
米国システムの逆襲~解放の日と新世界秩序(1)米国システム「解放の日」
第二次トランプ政権は、その関税政策を発動させた日、4月2日を「解放の日」と称した。そこには、アメリカが各国の面倒を見るという第二次世界大戦以降の構図が、アメリカに損害をもたらしているという問題意識がある。「解放の...
収録日:2025/04/25
追加日:2025/05/20
「哲学・歴史」と「実証研究」の両立で広い視野をつかむ
デモクラシーの基盤とは何か(3)政治と経済を架橋するもの
「政治経済」と一口にいっても、両者を結びつけて思考することは簡単ではない。政治と経済を架橋するためには、その土台にある歴史や哲学、また実証的なデータを同時に検討する必要がある。これからの公共性を考えるための多角...
収録日:2024/09/11
追加日:2025/05/23
トランプ政治と民主主義の危機…カント哲学から考える
編集部ラジオ2025(9)デモクラシーの危機と「哲学」
いま、世界各国で「デモクラシーの危機」が高まっています。これまでの常識を超えたドラスティックな政策を次々と打ち出す第2次トランプ政権はもちろん、欧州各国の政治状況もポピュリズム的な面を強くしています。また、ロシア...
収録日:2025/04/03
追加日:2025/05/22
日本のインテリジェンスは大丈夫か…行政機関の対応に愕然
医療から考える国家安全保障上の脅威(4)国家インテリジェンスの課題
「日本のインテリジェンスは大丈夫なのか」という声が海外から聞かれるという。例えば北朝鮮のミサイルに搭載されている化学剤について、「エイジング」と呼ばれる拮抗薬投与までの制限時間の観点からはまったく見当違いの神経...
収録日:2024/09/20
追加日:2025/05/22
ブレーキなき極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
「第二次トランプ政権は、第一次政権とは全く別の政権である」――そう見たほうが良いのだと、柿埜氏は語る。ついつい「第1次は経済重視の政権だった」と考えてしまいがちだが、実は第2次政権では「経済」の優先順位は低いのだと...
収録日:2025/04/07
追加日:2025/05/10