テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2022.04.01

世界の汚職度ランキング…日本の順位は?

 世界の汚職度ランキングというものを知っていますか。最近、日本でも疑惑がいろいろと取り沙汰されていますが、日本の汚職度は世界で何位くらいなのでしょう。また、世界で最もクリーンな国、最も腐敗した国は、どこの国だと思いますか。

汚職はどんなイメージ?

 みなさんは、汚職というとどんなことをイメージしますか。政治とカネの問題は日本だけに限ったことではありません。世界中どこにでもあります。例えば、お隣の韓国でも、朴槿恵前大統領は汚職疑惑で罷免され、逮捕されました。

 ちなみに「日本大百科全書」(ニッポニカ)を引いてみると、汚職とは、「公務員が地位や職務上の権限を濫用して私的利益を図る行為」。これは分かりますね。汚職という言葉は、戦前の日本では「涜職(とくしょく)」と言われていたそうです。それが「第二次世界大戦後、漢字制限のため汚職と書くのが一般的になり、1995年の刑法改正で涜職から汚職に改められた」のだとか。

 話がそれましたが、汚職が世界中どこにでもあると言っても、その汚職度には差がありますね。例えば、日本とブラジルの汚職度はおそらく異なるでしょう。汚職度がひどい国もあれば、清潔度が高い国もあるというわけです。そうしたことを数値化して世界の汚職度ランキングを発表している団体があります。

腐敗のない世界の実現を目指して

 それが国際NGOのトランスペアレンシー・インターナショナル(Transparency International)です。日本では「国際透明性機構」とも言われており、トランスペアレンシー・ジャパンという日本支部もあります。

 トランスペアレンシー・インターナショナルの目的は明確で、ホームページによると、「国内・国外において、汚職や腐敗の防止を促す社会システムを構築、腐敗との闘いをリードする市民社会組織として腐敗のない世界の実現を目指しています」。

 1993年、世界銀行のアフリカ担当局長だったピーター・アイゲンが故郷ドイツ・ベルリンで創設しました。世銀職員としてアフリカ開発援助の携わる中で、多額のお金が現地での賄賂に消えたことを憂いたためです。

 もともとドイツはかつてヒトラーのファシズム台頭を許した反省から、多様な価値観を尊重する理念が根づいています。そのため、市民団体を手厚く支援しているのです。そして今日では、日本を含めて世界の110か国に支部を持つ大きな組織に成長しました。

クリーンな国と腐敗している国

 さて前説はこのくらいにして、ランキングを見ていきましょう。日本はいったい何位なのでしょうか。まずは腐敗が少ないクリーンな国々、ベスト5を紹介します。

1位:デンマーク 88点
1位:ニュージーランド 88点
1位:フィンランド 88点
4位:スウェーデン 85点
4位:シンガポール 85点
4位:ノルウェー 85点

 さすが北欧です。デンマーク、フィンランド 、スウェーデン、ノルウェーと北欧から4つの国がランクインしました。北欧といえば、教育や福祉が充実していて幸福度も高いことでよく知られていますね。

 ニュージーランドもすでに女性首相が3人も誕生していおり、男女平等で報道の自由度も高く、北欧と同じく教育が充実した国として知られています。残念ながら、日本はランクインしませんでしたね。

 次にワースト5を発表します。どうか日本がランクインしていませんように。

1位:南スーダン 11点
2位:ソマリア 13点
2位:シリア 13点
4位:ベネズエラ 14点
5位:イエメン 16点
5位:北朝鮮 16点
5位:アフガニスタン 16点

 ワースト5は、戦争状態にあったり、国民が人道危機にさらされていたり、飢餓に苦しんでいる国ばかりです。これではクリーンな政治とかけ離れていても仕方ありません。

日本は何位?

 ベスト5にもワースト5にも日本の名前はありませんでした。日本は何位なのでしょう。また、日本と関係の深いアメリカや中国、韓国は何位なのでしょうか。ランキングの上から順に発表します。

18位:日本 73点
27位:米国 67点
32位:韓国 62点
66位:中国 45点

 このような結果になりました。日本は18位。愕然とするような結果ではありませんが、これを素直に喜んでいいのか、どう受け止めればいいのか、悩ましいところです。みなさんは、どのように考えますか。

<参考サイト>
・CORRUPTION PERCEPTIONS INDEX│Transparency International
https://www.transparency.org/en/cpi/2021/results
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
自分を豊かにする“教養の自己投資”始めてみませんか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,500本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

単なる不況に非ず…破壊規模は「台風か気候変動か?」

単なる不況に非ず…破壊規模は「台風か気候変動か?」

[深掘り]世界を壊すトランプ関税(2)米国の自爆と中国の思惑

トランプ政権が発表した関税政策は、世界を大きな混乱に落とし込んでいる。はたして、トランプ大統領の「動機」や「思考」の淵源とはいかなるものなのか。そして世界はどうなってしまうのか。

島田晴雄先生には、...
収録日:2025/04/15
追加日:2025/04/26
2

危機の10年…2つのサイクルが初交差する2020年代の意味

危機の10年…2つのサイクルが初交差する2020年代の意味

トランプ2.0~アメリカ第一主義の逆襲(2)交差する2つのサイクル

アメリカには、80年周期の制度サイクルと50年周期の社会経済サイクルがあり、その2つの周期が初めて重なるのが2020年代なのだ。「危機の10年」ともいわれており、そのタイミングで始動したトランプ第二次政権。その動きの舵取り...
収録日:2025/03/21
追加日:2025/04/26
東秀敏
米国安全保障企画研究員
3

共生への道…ジョン・ロールズが説く「合理性と道理性」

共生への道…ジョン・ロールズが説く「合理性と道理性」

危機のデモクラシー…公共哲学から考える(5)共存・共生のための理性

フェイクが含まれた情報や陰謀論が跋扈する一方、多様性が尊重されるようになり多元化する人々の価値観。そうした現代社会で、いかにして私たちはともに公共性を保って生きていけるのか。多様でありながらいかに共存・共生でき...
収録日:2024/09/11
追加日:2025/04/25
齋藤純一
早稲田大学政治経済学術院政治経済学部教授
4

『風と共に去りぬ』で表現されたアイルランド移民の精神史

『風と共に去りぬ』で表現されたアイルランド移民の精神史

アメリカの理念と本質(5)アメリカのアイルランド問題

アイルランド本国で始まったアングロ・サクソンからの差別は大西洋を越えても消えず、逆にアメリカへ移民するアイルランド人たちに不撓不屈の精神を植え付けた。名作『風と共に去りぬ』には、その姿がビビッドに描かれている。...
収録日:2024/06/14
追加日:2024/09/17
中西輝政
京都大学名誉教授
5

水にビジネスチャンス!?水道事業に官民連携の可能性

水にビジネスチャンス!?水道事業に官民連携の可能性

水から考える「持続可能」な未来(8)人材育成と水道事業の課題

日本企業の水資源に関するリスク開示の現状はどうなっているか。革新的な「超越人材」を生み育てるために必要な心構えとは何か。老朽化する水道インフラの更新について、海外のように日本も水道事業に民間資本が入る可能性はあ...
収録日:2024/09/14
追加日:2025/04/24
沖大幹
東京大学大学院工学系研究科 教授