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DATE/ 2020.01.17

なぜ「国会議員」の給料は高額なのか?

 国会議員の資産や政治献金、政党助成金に関するニュースなど、政治とお金にまつわるニュースはいつもたくさん流れています。政治にはお金がかかるとよく聞きます。では実際に国会議員はどれくらいお金をもらっているのでしょうか。ここでは国会議員の年収に注目して少し詳しく見てみましょう。

国会議員の年収は平均2,200万円程度

 国会議員の報酬は「歳費法」という法律で、月額およそ130万円と決められています。つまり、およそ年間1,560万円。さらに「期末手当(ボーナス)」が年間500万円から640万円ほど支払われます。つまり、この計算でいけば国会議員の年収は2,060万円から2,200万円程度。また、国会議員の年収は完全に一律ではなく、任期によっても異なるようです。もちろん、選挙で毎回当選すると確約されているわけではないので、生涯年収は個人により大きく異なります。上記の年収をベースに衆議院で一期(4年)議員として活動した場合、2,200万円×4年で8,800万円、参議院だと任期は6年なので1億3,200万円となります。

 人事院によると、2019年の公務員(一般職)の平均月収は43歳で41万円程度、ボーナスの平均支給額は93万円程度なので、年収600万円弱となります。こう見ると国会議員はたくさんもらっている印象があります。しかし、ポイントはこの全てが政治家の個人収入になるわけではないという点です。

なぜこんなに高額なのか?

 実際にもっともお金がかかるのは人件費です。政治活動を行うために国会議員は事務所を設けますが、ここで働く秘書や事務員、アルバイトなどを合わせると少なくとも5人、多ければ20人以上を抱えています。国から給料が出る「公設秘書」は3人と決められているので、それ以外の人員に対しては議員自身の収入から支払う必要があります。人件費を一人あたり年間300万円で計算しても、5人に払えば年間1500万円。これにプラスしてさまざまな活動費や選挙資金まで賄うと考えれば、とても2,200万円では足りないでしょう。

 一方、国会議員には経費として文書通信交通滞在費(文通費)毎月100万円、議会雑費(正副委員長などの役職者のみ)日額6000円などが支払われたり、また移動はJR特殊乗車券で乗り放題、国内定期航空券で月に4往復までは無料となっていたりします。文通費だけでも、年間にすると1200万円です。しかし、それでも国会議員はお金が足りない場合も多いようです。このため、政治資金パーティを開いたり、政党や派閥から資金を援助してもらったりする必要が生まれます。

 また、貧富の差に関係なく誰もが政治に参加する権利を保証するためには、それなりの金額を確保しなければなりません。さらに、もし十分な収入が保証されなければ、賄賂や汚職が横行するかもしれません。このように、落ち着いてクリーンな政治活動をするためには、やはりある程度の経済的保証が必要になるということも確かです。

選挙に出馬すると2000万円必要?

 アメリカの国会議員の収入は1,400万円から1,600万円、カナダは1,100万円から1,300万円、ドイツ1000万円から1,150万円といったデータもあります。日本の2,200万円はこれらどの国よりも高額なようです。ではなぜこんなに高額なのでしょうか。ここまで見てきたものでは、人件費について触れました。それ以外にも、選挙にお金がかかりすぎるということも言えそうです。参議院議員の山田太郎氏は、実際に選挙に立候補して選挙活動を行うと「2000万円前後が必要」としています。これはもう少しうまくやる方法があるのではないでしょうか。このあたりの改革を今後どうしていくか、これからの課題かもしれません。

<参考サイト>
・国会議員の平均年収は2,200万円!?収入の名目や実態を徹底調査|Career Picks
https://career-picks.com/average-salary/kokkaigiin-nenshu/
・年収2100万円なのに、お金がない?!国会議員たちの懐事情を探ってみた|選挙ドットコム
https://go2senkyo.com/articles/2015/12/17/13070.html
・国会議員の給料はいくら?高すぎる?世界の議員と比較!|お金のカタチ
https://venture-finance.jp/archives/14227
・選挙費用は2000万円前後が相場? 政治活動の明細を大公開|logmi Biz
https://logmi.jp/business/articles/147661
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テンミニッツTV編集部
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