社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
「プレミアムフライデー」はその後どうなった?
みなさんは「プレミアムフライデー」という言葉を覚えていますか? 毎月最終金曜日は早めに仕事を切り上げてプライベートの時間を増やす、ライフスタイル改革のために始まったキャンペーンですが、「そういえばそんなものもあったね」と思う方も多いのではないでしょうか。2017年に始まったプレミアムフライデーは、いまどうなっているのでしょうか。
飲食店や百貨店はこの動きに連動し、開店時間を早めたり、早く仕事を切り上げた人が楽しめる期間限定のカフェを展開したり、セールを実施するなど盛り上がりを見せ、多くの売り上げが見込まれることを期待しました。しかし、思惑通りにはいかなかったのです。
その理由は、キャンペーンがスタートしても企業での導入が伸び悩んだこと。2年が経った2019年時点でプレミアムフライデーを導入した企業はなんと全体の約1割程度。ただでさえ忙しい月末の週の最終日に、早く仕事を切り上げることは難しいと判断する会社がほとんどだったのです。その結果、初めは話題となったプレミアムフライデーも下火になっていき、現在もキャンペーンは続いていますが、キャンペーンの存在自体忘れられているのが現状となっているのです。
プレミアムフライデーは必ず月末金曜日でなければいけないとは明記されておらず、柔軟に日付をずらすことができます。働く時と休む時のメリハリをきちんとつける、そうした習慣を作るきっかけとして、プレミアムフライデーの制度が当たり前のように活用される社会になっていくと良いですね。
そもそもどんなキャンペーンだったのか
プレミアムフライデーは経済産業省と経団連など官民が連携して、2017年2月24日にスタートしたキャンペーンです。毎月最終金曜日は15時に仕事を切り上げ、そのあとのプライベートの時間を充実させて個人消費の底上げをはかろうとはじまったものでした。飲食店や百貨店はこの動きに連動し、開店時間を早めたり、早く仕事を切り上げた人が楽しめる期間限定のカフェを展開したり、セールを実施するなど盛り上がりを見せ、多くの売り上げが見込まれることを期待しました。しかし、思惑通りにはいかなかったのです。
その理由は、キャンペーンがスタートしても企業での導入が伸び悩んだこと。2年が経った2019年時点でプレミアムフライデーを導入した企業はなんと全体の約1割程度。ただでさえ忙しい月末の週の最終日に、早く仕事を切り上げることは難しいと判断する会社がほとんどだったのです。その結果、初めは話題となったプレミアムフライデーも下火になっていき、現在もキャンペーンは続いていますが、キャンペーンの存在自体忘れられているのが現状となっているのです。
引き続き導入している企業も
プレミアムフライデー公式HPなどの更新も止まってしまっていて、今や形骸化してしまったプレミアムフライデーですが、キャンペーン自体が終了しているわけではありません。携帯電話大手のソフトバンクでは現在もプレミアムフライデーを呼びかけ、年次有給休暇の推奨取得日、または早めの終業を呼びかけています。月末金曜日にこだわらず、それぞれの業務に合わせて別日の利用も合わせて推奨し、多い時では1万2000人が利用する制度となっているようです。メリットにも目を向けたい
多くの人は「プレミアムフライデーは失敗に終わった」と思ってしまうかもしれません。しかし、プレミアムフライデーが導入された2017年よりも、仕事とオフの時間をどうバランスをとっていくのかは重要視されるようになったのではないでしょうか。実際、プレミアムフライデーを導入しているソフトバンクでも上司が積極的に制度を利用することで、部下も働き方を見直す良い機会になったというという声もありました。プレミアムフライデーは必ず月末金曜日でなければいけないとは明記されておらず、柔軟に日付をずらすことができます。働く時と休む時のメリハリをきちんとつける、そうした習慣を作るきっかけとして、プレミアムフライデーの制度が当たり前のように活用される社会になっていくと良いですね。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,300本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
“死の終りに冥し”…詩に託された『十住心論』の教えとは
空海と詩(4)詩で読む『秘蔵宝鑰』
“悠々たり悠々たり”にはじまる空海『秘蔵宝鑰』序文の詩文。まことにリズミカルな連呼で、たたみかけていく文章である。このリフレインで彼岸へ連れ去られそうな魂は、選べる道の多様さと迷える世界での認識の誤りに出会い、“死...
収録日:2024/08/26
追加日:2024/11/23
国家は助けてくれない…「三田会」誕生への大きな経験
独立と在野を支える中間団体(6)慶應義塾大学「三田会」の起源
中間集団として象徴的な存在である慶應義塾大学「三田会」について考える今回。三田会は単に同窓会組織として存在しているわけではなく、「公」に頼れない場合に重要な役割を果たすものだった。その三田会の起源について解説す...
収録日:2024/06/08
追加日:2024/11/22
日本の根源はダイナミックでエネルギッシュな縄文文化
日本文化を学び直す(1)忘れてはいけない縄文文化
大転換期の真っ只中にいるわれわれにとって、日本の特性を強みとして生かしていくために忘れてはいけないことが二つある。一つは日本が森林山岳海洋島国国家であるというその地理的特性。もう一つは、日本文化の根源としての縄...
収録日:2020/02/05
追加日:2020/09/16
国の借金は誰が払う?人口減少による社会保障負担増の問題
教養としての「人口減少問題と社会保障」(4)増え続ける社会保障負担
人口減少が社会にどのような影響を与えるのか。それは政府支出、特に社会保障給付費の増加という形で現れる。ではどれくらい増えているのか。日本の一般会計の収支の推移、社会保障費の推移、一生のうちに人間一人がどれほど行...
収録日:2024/07/13
追加日:2024/11/19
謎多き紫式部の半生…教養深い「女房」の役割とその実像
日本語と英語で味わう『源氏物語』(1)紫式部の人物像と女房文学
日本を代表する古典文学『源氏物語』と、その著者である紫式部は、NHKの大河ドラマ『光る君へ』の放映をきっかけに注目が集まっている。紫式部の名前は誰もが知っているが、実はその半生や人となりには謎が多い。いったいどのよ...
収録日:2024/02/18
追加日:2024/10/14
対談 | 林望/ロバート キャンベル