社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
吉野屋が牛丼以外のメニューを増やしている理由とは?
吉野屋が、従来の牛丼以外のメニューを増やしているのをご存じでしょうか。
現在は、ベジ丼・ベジ牛といったヘルシーメニュー、牛すき鍋膳、鰻重などがあります。さらに、「吉呑み」というコンセプトでアルコールメニューやおつまみメニューを増やしています。
これは一言でいえば、すべて「客単価を上げる」試みです。先に紹介した新メニューはどれも牛丼より高級で、鰻重三枚盛は1650円もします(2016年4月現在)。また、吉呑みも、ひとりのお客様により多くのお金を使っていただこうとする工夫なのです。
それにしても、なぜ吉野屋は客単価を上げようとしているのでしょうか。
おそらくそれ以上に大きいのが、アルバイト賃金の上昇です。実はここ3年近く、3大都市圏のアルバイト・パートの平均時給は前年同月よりも上がり続けています(株式会社リクルートジョブズ「アルバイト・パート募集時平均時給調査」より)。吉野家のような飲食店はアルバイト・パート比率が高いですから、時給の上昇は経営に大きな影響があります。そのコストを稼ぐには、客単価アップが欠かせないのです。
一つ目は、2014年4月に消費税が8パーセントに上がり、少しずつですが物価が上がり始めていることです。二つ目は、「有効求人倍率」が高まっていることで、伊藤氏は、「過去23年で一番高い1992年の水準まできています」と話しています。さらに、少子高齢化で労働人口が減っていることが3つ目の理由です。2020年までに、労働供給は約6パーセント縮小すると言われているそうです。
これらの理由が重なって、アルバイト・パートの賃金が3大都市圏を中心に上がっていると考えられます。
これまでのように派遣やアルバイト比率を高め、人件費をカットするという方針ではビジネスが立ち行かなくなるでしょう。つまり、賃金とともに、価格と生産性も上がっていくことが、デフレを脱却してインフレに向かう道なのです。
現在は、ベジ丼・ベジ牛といったヘルシーメニュー、牛すき鍋膳、鰻重などがあります。さらに、「吉呑み」というコンセプトでアルコールメニューやおつまみメニューを増やしています。
これは一言でいえば、すべて「客単価を上げる」試みです。先に紹介した新メニューはどれも牛丼より高級で、鰻重三枚盛は1650円もします(2016年4月現在)。また、吉呑みも、ひとりのお客様により多くのお金を使っていただこうとする工夫なのです。
それにしても、なぜ吉野屋は客単価を上げようとしているのでしょうか。
アルバイトの賃金が上がっているからだ
吉野屋が客単価を上げようとする理由は、大きくふたつあります。ひとつは、人々の生活様式が変わりつつあるなどの理由で、低価格の飲食店から客足が離れているからです。最近のマクドナルドの苦境をご存知の方は多いでしょう。2014年度と2015年度の営業成績を見ると、吉野屋も同様に客数が減っています。それを補うのが客単価アップなのです。おそらくそれ以上に大きいのが、アルバイト賃金の上昇です。実はここ3年近く、3大都市圏のアルバイト・パートの平均時給は前年同月よりも上がり続けています(株式会社リクルートジョブズ「アルバイト・パート募集時平均時給調査」より)。吉野家のような飲食店はアルバイト・パート比率が高いですから、時給の上昇は経営に大きな影響があります。そのコストを稼ぐには、客単価アップが欠かせないのです。
インフレや有効求人倍率の高まりが賃金アップの理由
では、なぜアルバイト・パートの賃金が上がっているのでしょうか。そのあたりの状況について、学習院大学国際社会科学部教授・伊藤元重氏は、10MTVのなかで大きく3つの理由を挙げて解説しています。一つ目は、2014年4月に消費税が8パーセントに上がり、少しずつですが物価が上がり始めていることです。二つ目は、「有効求人倍率」が高まっていることで、伊藤氏は、「過去23年で一番高い1992年の水準まできています」と話しています。さらに、少子高齢化で労働人口が減っていることが3つ目の理由です。2020年までに、労働供給は約6パーセント縮小すると言われているそうです。
これらの理由が重なって、アルバイト・パートの賃金が3大都市圏を中心に上がっていると考えられます。
今後はどこも単価と生産性アップが欠かせなくなる
一方、厚生労働省の発表によれば、実質賃金は4年ほど上がっていないとのことです(日本経済新聞より)。ただ、アルバイト・パート賃金の上昇傾向を見ると、今後は実質賃金も上向く可能性があります。もしそうなったときに何が起こるかといえば、吉野家だけでなく、多くの企業が、価格か生産性を高めなくてはならなくなるということです。これまでのように派遣やアルバイト比率を高め、人件費をカットするという方針ではビジネスが立ち行かなくなるでしょう。つまり、賃金とともに、価格と生産性も上がっていくことが、デフレを脱却してインフレに向かう道なのです。
<参考文献・参考サイト>
・吉野家月次報告
http://www.yoshinoya-holdings.com/ir/report/yoshinoya.html
・株式会社リクルートジョブズ「アルバイト・パート募集時平均時給調査」
http://www.recruitjobs.co.jp/info/pr20160317_361.html
・15年通年の実質賃金0.9%減 4年連続マイナス、毎月勤労統計(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS23H03_T20C16A2EAF000/
・吉野家月次報告
http://www.yoshinoya-holdings.com/ir/report/yoshinoya.html
・株式会社リクルートジョブズ「アルバイト・パート募集時平均時給調査」
http://www.recruitjobs.co.jp/info/pr20160317_361.html
・15年通年の実質賃金0.9%減 4年連続マイナス、毎月勤労統計(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS23H03_T20C16A2EAF000/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
浮世絵を中心に日本画においてさまざまな絵画表現の礎を築いた葛飾北斎。『富嶽三十六景』の「神奈川沖浪裏」が特に有名だが、それを描いた70代に至るまでの変遷が実に興味深い。北斎とその娘・応為の作品そして彼らの生涯を深...
収録日:2025/10/29
追加日:2025/12/05
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和は、いかにすれば実現できるのか――古今東西さまざまに議論されてきた。リアリズム、強力な世界政府、国家連合・連邦制、国連主義……。さまざまな構想が生み出されてきたが、ここで考えなければならないのは「平和」だけで良...
収録日:2025/08/02
追加日:2025/12/08
熟睡できる習慣や環境は?西野精治先生に学ぶ眠りの本質
編集部ラジオ2025(30)西野精治先生に学ぶ「熟睡の習慣」
テンミニッツ・アカデミーで、様々な角度から「睡眠」についてお話しいただいている西野精治先生(スタンフォード大学医学部精神科教授)に「熟睡できる環境・習慣とは」というテーマで具体的な方法論をお話しいただいた講義を...
収録日:2025/10/17
追加日:2025/12/11
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
「熟睡とは健康な睡眠」だと西野氏はいうが、健康な睡眠のためには具体的にどうすればいいのか。睡眠とは壊れやすいもので、睡眠に影響を与える環境要因、内面的要因、身体的要因など、さまざまな要因を取り除いていくことが大...
収録日:2025/03/05
追加日:2025/11/23
スケジュール管理で重要な「クリティカル・パス法」とは
プロジェクトマネジメントの基本(4)スケジュール・マネジメント
スケジュール管理はプロジェクトマネジメント(PM)に強く要請される要素である。プロジェクトの有期性を保全するためには、スケジュールをどう分析するのか。また、一つのプロジェクトの所要期間はどう割り出され、どんな技法...
収録日:2025/09/10
追加日:2025/12/11


