「イスラムとアメリカ」再考~米国内のイスラム教徒
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「トランピズム」歴史的に前例のない事象が全米を覆う!
「イスラムとアメリカ」再考~米国内のイスラム教徒(6)トランピズムの衝撃
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
アメリカでは、モハメド・アリの死が悼まれているそのとき、同時に大統領選挙が進行している。その焦点が、共和党トランプ氏の台頭にあることは言うまでもない。その彼こそは、モハメド・アリが生涯戦い抜いた人種主義と差別の象徴である。今回は、歴史学者・山内昌之氏に、“トランピズム”をめぐる「イスラムとアメリカ」を解説していただく。(全8話中第6話)
時間:11分47秒
収録日:2016年6月9日
追加日:2016年7月28日
カテゴリー:
≪全文≫

●現代アメリカの問題を象徴するトランプ氏の台頭


 皆さん、こんにちは。前回は元世界ヘビー級チャンピオンボクサーであったモハメド・アリ(旧名カシアス・クレイ)の死について、アメリカとイスラムの文脈の中でお話ししました。

 アメリカでは現在、モハメド・アリが黒人やムスリムを代表する人物としてその死が悼まれていると同時に、大統領選挙が進行中です。その共和党候補者としてドナルド・トランプ氏が登場してきたことは、日本においてもすでに話題になっています。このモハメド・アリとトランプ候補の組み合わせほど、現在のアメリカ社会の抱える問題点を象徴するものもないと思われます。

 もともとトランプ氏は、共和党の必ずしも主流とはいえない中から台頭し、その人種主義的な発言と差別主義的な言動によって、アメリカ社会のとりわけ極右的な保守層の心をつかみ、かつ中間・中流層以下の白人たち全体の支持を受けるに至っています。

 彼は、アメリカに移住してくる中南米系の「ラティーノ」と総称される人々や移民全体、ひいてはイスラム教徒(ムスリム)もしくはイスラムの教義に対して、すこぶる差別的な言動を公然と行い、隠していません。すなわちトランプ氏こそは、前回お話ししたモハメド・アリことカシアス・クレイが、ブラックムスリムとしての生涯をかけて戦った相手と言えるでしょう。つまり、彼は白人による黒人差別、イスラムに対する偏見そのものを体現した人物といってもいいかと思います。


●歴史にも前例のない「トランピズム」


 またトランプ氏は、イスラエルに対する絶対的な支援と支持を表明しています。裏を返せば、パレスチナ人はもとよりアラブ人ひいては中東のイスラム教徒に対して積極的批判の立場を隠さず、イスラエル断固支持の点においても知られています。

 バラク・オバマ現大統領は、もしトランプ氏が合衆国大統領に選ばれるならば、アメリカは危機になると断じたことがあります。このトランプ氏によるアメリカのムスリム市民に対する敵意は人種主義そのものであり、まったく歴史に前例のないものだといっていいかと思います。

 トランプ候補は、ムスリム(イスラム教徒)を「アメリカには入国させない」あるいは「該当者を全てアメリカから追放する」といった極端な言辞を弄するだけではなく、「あらゆるムスリムを監視対象に置く」ということも公然と言...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(9)先人の知恵という友
本居宣長も白隠もハイデガーも友となる――大切なのは?
津崎良典
「進化」への誤解…本当は何か?(4)ダーウィンの進化論と自然淘汰の理論
『種の起源』…ダーウィンとウォレスの自然淘汰の理論
長谷川眞理子
「幸福とは何か」を考えてみよう(1)なぜ幸せになりたいのですか
「幸福」について語り合う「哲学カフェ」を再現
津崎良典
歌舞伎はスゴイ(2)市川團十郎の何がスゴイか(後編)
歌舞伎十八番を定めた七代目市川團十郎、一番モテた八代目
堀口茉純
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(6)秀吉との信頼関係と秀長の軍事能力
文武両道の名将…大大名たちを魅了した秀長の器量とは?
黒田基樹
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
「徳」から生まれる「感謝の人間関係」
「徳」の本質とは「自己の最善を他者に尽くしきる」こと
田口佳史
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
トランプ政権と過激化した米国…MAGA内戦、DSAの台頭
東秀敏
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文