「働き方改革」の課題と展望
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「40歳定年制」とは?『人生三毛作』で考える
「働き方改革」の課題と展望(4)40歳定年制と人生三毛作
柳川範之(東京大学大学院経済学研究科・経済学部 教授)
かつての日本企業は、いわゆる終身雇用制の下で手厚い社内教育を実践していた。しかし国際競争の激化によってスキルアップの機会は後退しつつある。その現状を踏まえ、東京大学大学院経済学研究科・経済学部教授の柳川範之氏は「40歳定年制」を提起した。一見すると突飛に見えるこの提案の真意とは何か。(全6話中第4話)
時間:10分02秒
収録日:2017年2月21日
追加日:2017年3月30日
≪全文≫

●誰が社員のスキルアップを実行するか


 働き方改革で大きな課題となってくるのは、(中長期的な課題としてのスキルアップを)どうやって進めていくかです。言い換えれば、誰がそれをやっていくかということです。社内でそれを担当する人が進めていくのが、今までの日本企業の仕組みだったと思います。

 しかし、必要とされるスキルが大きく変わっていくとなると、その新しい技能を教えられる人たちが、そもそも社内にいないという事態が起こり得ます。場合によると、社内だけではなく、その産業とは全く異なる産業の能力を身に付けなければいけないようなことが起こるかもしれません。そうすると、教えられるような先輩が周りにいないことにもなります。

 もう一つ問題があり、それは、国際競争力が激しい中で企業はなかなかそういうところにお金をつぎ込めない事情があることです。そうなってくると、やはりある程度は公的な支援も含めて、総合的な対策が必要になってくるだろうと思います。そういう意味で、公的にもそうした部分への支援に、ある程度のお金を使う必要が出てくるでしょう。

 また、取り組みを社内でやらないとすると、どこでそういうスキルを身に付けるのか、どこで学べるのかという課題も生じます。そのため、より高度な職業能力の開発や訓練ができるような教育機関を育てて、充実させていく必要性が高まってくると思います。


●スキルアップのための教育機関を、社会全体で作る


 教育機関といっても、必ずしも現在ある教育機関、例えば大学などである必要もないでしょう。また、教育機関というと、座学のように教室に座って授業を聞くということをすぐイメージしがちです。しかし、これから求められるような実践的な能力開発をしなければいけないとすれば、オン・ザ・ジョブ・トレーニングのように、実際に自分が現場でやってみるということを通して身に付けていく能力も、かなり必要になると思います。

 そこで、研修的なものも含めた教育機関を、社内につくっていかなければなりません。しかし、今の日本には、こうしたことに適した教育機関がなかなかありません。いわゆる技能訓練的な研修の場はありますが、そこは単純作業を身に付ける場所であることも多いのです。

 それよりも、社会や産業が大きく変わっていく中で、例えば40歳ぐらいの人が、これからの新しい20~30年を働いて...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
生き続ける松下幸之助の経営観(1)今も生きている幸之助
松下幸之助の考え方には今と昔を貫くものがある
江口克彦
ハラスメント防止に向けた風土づくり(1)ハラスメントの概要
増え続けるハラスメント…その背景としての職場の特徴
青島未佳
会社人生「50代の壁」(1)“9の坂”とまさかの坂
サラリーマン人生「50代の壁」を乗り越える生き方
江上剛
野獣の経営、家畜の経営(1)経営センスが育つ土壌
ファーストリテイリングで経営者が育つ理由
楠木建

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(2)MAGAの矛盾と内戦の現状
MAGA内戦勃発…なぜトランプがMAGAの敵になってしまうのか
東秀敏
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(4)信長の直臣、秀吉の与力としての秀長
最初は信長の直臣として活躍――武闘派・秀長の前半生は?
黒田基樹
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
平和の追求~哲学者たちの構想(5)カント『永遠平和のために』
カント『永遠平和のために』…国連やEUの起源とされる理由
川出良枝
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
ブレーキなき極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(2)プロテスタントと「予定説」
カトリックとプロテスタントの違いは?「救済予定説」とは?
橋爪大三郎
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
「なぜ人は部屋を片付けられないか」を行動分析学で考える
島宗理