トランプ政権の行方と日米関係
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
トランプ政権の重要人物と政策の一貫性のなさ
第2話へ進む
アメリカでのトランプ政権の現状とは?
トランプ政権の行方と日米関係(1)発足3カ月もなお混乱
ジェラルド・カーティス(政治学者/コロンビア大学名誉教授)
政治学者でコロンビア大学名誉教授のジェラルド・カーティス氏が、トランプ政権の現状について解説する。政権発足後3カ月たったが、法案はまだ議会を通っておらず、政治任用のスタッフもそろっていない。政策の決定過程が定まらず、混乱が続く状況だが、トランプ氏は自分の政策を大統領令で実行しており、焦りは見られない。(2017年4月20日島田塾第145回勉強会ジェラルド・カーティス教授基調講演「トランプのアメリカと日米関係」 より全8話中第1話)
時間:8分26秒
収録日:2017年4月20日
追加日:2017年5月12日
カテゴリー:
≪全文≫

●3カ月経ったが、トランプ政権は混乱状態のままである


 皆さんこんにちは、政治学者・コロンビア大学名誉教授のジェラルド・カーティスです。3月9日から東京に来ています。去年の選挙キャンペーンから大統領就任後、今年(2017年)の3月まで、アメリカでのトランプ現象を見ているのが嫌になってしまって、早く日本に逃げたいと思っていました。ニューヨークでは、トランプ大統領に対してほとんどの人が反対しています。トランプ大統領を支持する人に会うことはめったにありません。ところが、日本に来てみれば、トランプ大統領について話して欲しいと、ほとんど毎日のように言われており、結局、トランプ大統領から逃げられない状況になってしまいました。

 そこで今日は、トランプ政権の現状についてお話します。なぜドナルド・トランプという人が大統領になったのか、日本にとって、あるいは日米関係にとって、トランプ政権はどのような政権になるのか、こうしたこともお話します。

 トランプ氏が大統領に就任して、ちょうど今日で3カ月です。3カ月もたてば、政権が落ち着いてきて、方向性がはっきりしてくるだろうと思っていたのですが、しかし、逆にますます混乱状態になっています。


●政策の決定過程がものになっていないのが現状である


 まず、まだ法案が1つも議会を通っていません。オバマケアを廃止して新しいものつくるはずが、駄目になってしまったし、減税のための税改革をすると言いながら、法案はまだ何も出ていません。規制緩和についても同じです。また、3カ月たったにもかかわらず、政治任用(political appointee)の高官職、約550人のうち、まだ20数名しか指名されていません。つまり、スタッフがいないのです。

 昨日、一昨日と、副大統領のマイク・ペンス氏が来日していました。麻生太郎財務大臣と初めてのエコノミックダイアログ(経済対話)を行うためです。日本側はよく準備をして、スタッフがいろいろな資料をつくっていましたが、アメリカ側にはそうしたスタッフがいません。そもそも、ペンス氏は経済の担当ではないのです。来日しても、一般論で話が終わってしまい、具体的な内容に踏み込めませんでした。要するに、ペンス氏と麻生大臣のエコノミックダイアログは、問題を全部先送りにしてしまったのです。これは日本にとっては非常に良い結果となったわけですが、トランプ政権にとっ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(1)銀行がお金を生む仕組み
信用創造・預金創造とは?社会でお金が流通する仕組み
養田功一郎
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教

人気の講義ランキングTOP10
折口信夫が語った日本文化の核心(1)「まれびと」と日本の「おもてなし」
「まれびと」とは何か?折口信夫が考えた日本文化の根源
上野誠
編集部ラジオ2025(33)2025年を振り返る
2025年のテンミニッツ・アカデミーを振り返る
テンミニッツ・アカデミー編集部
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(3)DSA化した民主党と今後の展望
DSAの民主党乗っ取り工作…世代交代で大躍進の可能性
東秀敏
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(4)信長の直臣、秀吉の与力としての秀長
最初は信長の直臣として活躍――武闘派・秀長の前半生は?
黒田基樹
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑
世界哲学のすすめ(1)世界哲学プロジェクト
日本発!危機の時代に始動する世界哲学プロジェクトの意義
納富信留
経験学習を促すリーダーシップ(4)成功を振り返り、強みを伸ばす
なぜ強みが大事なのか?ドラッカー、西田幾多郎の答えは
松尾睦