トランプ政権の行方と日米関係
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
トランプ政権と対する民主党の今後の課題
トランプ政権の行方と日米関係(7)インフラ整備と雇用
ジェラルド・カーティス(政治学者/コロンビア大学名誉教授)
政治学者でコロンビア大学名誉教授のジェラルド・カーティス氏が、今後のアメリカ情勢を解説する。次の選挙まで民主党はトランプに反対し続ける姿勢だが、将来は明るくない。他方、トランプ政権はインフラ整備を掲げ、日本企業も巨額の投資を発表している。アメリカ人の雇用を重視するトランプ氏は4年間は持つだろうが、果たして。(2017年4月20日島田塾第145回勉強会ジェラルド・カーティス教授基調講演「トランプのアメリカと日米関係」 より全8話中第7話)
時間:8分38秒
収録日:2017年4月20日
追加日:2017年5月23日
カテゴリー:
≪全文≫

●民主党はあくまでトランプに反対する


 最後に、あと2~3つお話しします。よく聞かれるのは、ドナルド・トランプ大統領は、例えばオバマケアの改正で共和党の支持を得られないとすれば、今度は民主党と協調するのではないか、ということです。いわゆる超党派的(bipartisan)に民主党と組むのではないか。絶対にあり得ません。民主党はどんなことがあっても、トランプ氏を助けるようなことはしません。同じ政策を支持していても、トランプ氏がやるなら支持しません。要するに、トランプ氏にあくまでも反対する。昔の日本社会とそっくりです。反対をして、それで2年先の中間選挙で勝てると思っているのです。だから民主党はトランプ氏に協力しないでしょう。

 しかし、選挙区のことを考えると民主党が勝つのは困難でしょう。日本の衆議院では最近区割りを変えましたが、区割りを直すということは、どの国でも難しい問題です。アメリカにはゲリマンダーがあります。昔の日本でいうハトマンダーです。よほどのことがない限り、現職議員が落選することはありません。民主党と共和党が一緒になって、どちらかの政党の支持者ばかりが圧倒的に多い選挙区がつくられています。こうした区割りでは、現職議員が当選します。

 したがって2年先の下院選挙で、共和党が少し減ったとしても、よもや過半数を失うことはないでしょう。民主党はもっと反省をして、自分のルーツをもう一度考え、新しい世代のリーダーを探さなければ、将来は非常に暗いと思います。トランプの再選も十分あり得ると、私は思っています。


●トヨタはケンタッキー工場のリフォームに巨額の投資をする


 インフラストラクチャーの問題についても、付け加えておきます。トランプ大統領は、インフラストラクチャーの整備に本気で取り組むつもりでしょう。ただ、予算は使わず、プライベートセクターからの資金を望んでいます。したがって、官民パートナーシップでインフラストラクチャーを整備するのですが、どこまでうまくいくか分かりません。

 日本の企業は、今のところかなり上手に対応しています。例えば、トヨタは特にそうです。ケンタッキー工場のリフォームに約1,500億円(13.3億ドル)の投資をすると、先週発表がありました。昨日はマイク・ペンス副大統領に、インディアナ工場へ新たに6億ドルの投資を行うことを伝えています。他の日本企業も、例え...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
日本人が知らないアメリカ政治のしくみ(1)アメリカの大統領権限
権限の少ないアメリカ大統領は政治をどう動かしているのか
曽根泰教
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹

人気の講義ランキングTOP10
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(6)江戸時代の藩校レベルを分析
史料読解法…江戸時代の「全国の藩校ランキング」を探る
中村彰彦
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
片山杜秀
編集部ラジオ2025(29)歴史作家の舞台裏を学べる
歴史作家・中村彰彦先生に学ぶ歴史の探り方、活かし方
テンミニッツ・アカデミー編集部