知能と進化
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テクノロジーが進歩すると、人間は死ななくなる?
知能と進化(7)人工知能の未来像
総合研究大学院大学長・長谷川眞理子氏は対談の終盤、東京大学大学院工学系研究科特任准教授・松尾豊氏に、人工知能の発展に伴い未来はどのような世界になるかを問うた。松尾氏によれば、それは死の消滅とそれがもたらす社会的リスクであるという。(全8話中第7話)
時間:8分30秒
収録日:2018年4月9日
追加日:2018年7月28日
≪全文≫

●人工知能が発展しても、世の中はそれほど変わらない


長谷川 最後に根本的な部分として、どうしてこのような人の働きや情報処理を代替する高度な人工知能をつくりたいのか、ということをお聞きしたい。

松尾 (つくりたいというより)知りたいということと近いですね。

長谷川 つくる可能性がある、つくることができる、つくりたい、というのは、われわれの側から出てくる要求ですよね。それでは、それができたときにどのような世界になり、そのときにどういう生き方になるかという将来像に関してはいかがでしょうか。

松尾 僕は、人間の生活はそんなに変わらないと思っています。例えば、今でも別に頭が良い人が一番偉いわけではありません。経営者は、自分よりも頭が良い人をお金で雇って使っているということでしょう。そういう感じだと思います。


●人間の価値は、今後劇的に変わっていくのではないか


長谷川 そうですか。私は「人間は全然変わらないだろう」というのは、とても人間を楽観的に見ていると思います。というのは、いろいろな技術が発達してきて、全体的に人間が楽な暮らしをするようになりました。それで、国家などによっては、昔の部族社会から急激に変わっていきました。私も、人間の根本の部分にある人間性は変わらないとも思うのですが、周辺の、そうではない可塑性の部分はものすごく変わっていると思うのです。

 例えば、今、私たちは時計があり、カレンダーがあり、仕事というものがあり、という世界に生きています。だから、うつになったり不適合も出てきたりするわけですが、狩猟採集社会にはそうしたうつのようなものはありません。ただ、本当にないわけではありません。うつを引き起こす脳機能は1番古くからあるそうで、ネズミにもうつはあります。ということはつまり、「やってもやってもうまくいかない」という経験が重なると落ち込んでやめてしまう、という脳の仕組みはかなり古く、哺乳類なら誰でも持っているものだということです。それは適応的だからです。

 狩猟採集民も、そのように嫌なことがあると、ずっと引っ込んでいるということはあったでしょう。しかし、うつ状態はあっても、それを全く社会病理だと思わないのです。カレンダーもなく、時計もないから、別に9時・5時でやらなければいけないというわけではありません。ですから、適当に皆で狩りに行くけれど、...

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