知能と進化
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
人間の知性を超えた知性はあり得るのか?
知能と進化(5)人間の知性と限界
総合研究大学院大学長・長谷川眞理子氏と東京大学大学院工学系研究科特任准教授・松尾豊氏が次に議題に挙げたのは、人間の知性の限界についてである。両者の専門的見地からすると、その限界の外にはどのような知性があり得るのか。(全8話中第5話)
時間:10分10秒
収録日:2018年4月9日
追加日:2018年7月21日
カテゴリー:
≪全文≫

●意識プライヤーは、他者の発話も教師データにできる


松尾 先ほどのプライヤーの話にはもう少し続きがあります。最近ヨシュア・ベンジオ先生(モントリオール大学教授)が意識と言語をモデル化する「意識プライヤー」というものを提唱し始めているのです。

 少しややこしいのですが、この図の下部にある「観測状態」は、要するにセンサーとして入ってくる状態で、これがリカレントニューラルネットワークに入ると、もう少し高次元の、隠れ変数というか、隠れ層の状態になります。つまり、抽象化された状態になるのです。抽象化された状態、すなわちすごく高次元のベクトルに対して、アテンションという機構があり、そのベクトルの中のどこに注目するかを再び指定するようなネットワークがあります。それを「意識状態」と名付けていて、この一部が「発話」につながるというモデルを立てているのです。

 これのすごいところは、どの要素も今すでに提案されて使われているディープラーニングの要素技術で実現できるということです。こうすると何が良いのかというと、あるもの、例えば大きな犬がいたときに、誰かが「大きな犬」、「大きい」、「犬」といったことを言う確率が高いわけです。そうすると、そうした他者の発話も教師データにして、意識状態を学習し、「表現状態」を学習し、観測状態を学習し、といったように戻していけるのです。自分だけではなく、他者の発話も教師データに使うことができ学習が促進されるということです。

 そういう意味で、プライヤーは学習を速くする道具ということで、このように定式化をしようとしているのです。


●虚構を信じることができるのは、2つのRNNが独立だからである


松尾 また先ほどの話のように、認知運動系RNNと記号処理系RNNがあるわけですが、僕は、どこかの段階で記号処理系RNNが認知運動系RNNより単独で動けるようになったと考えています。これは、「虚構を信じる」ということとほとんど一緒なのだろうと思います。

長谷川 そこが、私としてはすごく面白いところだと思っています。虚構をつくって信じていくには、虚構を信じられた方が信じないよりも心が安寧であることが必要です。だから、説明ができることの方が、説明ができないより良いし、皆でうなずける方が、うなずけないよりも良いという、心の快楽の...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
性はなぜあるのか~進化生物学から見たLGBT(1)有性生殖と無性生殖
なぜ雄と雌の2つの性別があるのか…「性」の謎とLGBT
長谷川眞理子
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
知能と進化(1)知性と身体性
AI、ディープラーニングとは…知能と身体性は不可分か?
長谷川眞理子
IoTとは何か~モノのインターネットの本質(1)TRONは究極の「縁の下の力持ち」
坂村教授が開発したTRON―知られざる世界標準
坂村健
現在の宇宙の姿(1)星はなぜ自ら輝くのか
星はなぜ自ら輝くのか…宇宙と銀河の「現在の姿」を概観する
岡村定矩
知性の進化と科学技術文明の未来(1)ヒトは本当に賢いか
なぜ人類は進化できたか?…5つの環境要因と脳の発達
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(4)郡家の発掘と新田山を詠んだ東歌
「東歌」に刻印された奈良時代の真実とは?…地方に気をつかい地方のパワーを取り込んで中央政権はできていた
上野誠
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(1)会ってみたプーチン…その実像
ロシア人の見る「ロシアの歴史」を知るとロシアがよくわかる・・・実際に会ってみたプーチンの印象とは?
上月豊久
数学と音楽の不思議な関係(2)リズムと数の不思議と変拍子
童歌「あんたがたどこさ」は何拍子?変拍子の不思議な魅力
中島さち子
戦国武将の経済学(3)豊臣秀吉の経済政策
豊臣秀吉の驚愕の国内貿易…莫大な財力を生んだ経済政策
小和田哲男
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(6)認知症予防と健康寿命の延伸に向けて
フレイル・サイクルは回り出したら抜けられない!?負のスパイラルへの対処法
小川純人
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
クライン『ショック・ドクトリン』の真実(1)ショック・ドクトリンとは何か
100分de名著!?『ショック・ドクトリン』驚愕の印象操作
柿埜真吾