立命館大学食マネジメント学部シリーズ
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
大航海時代の「コロンブスの交換」が食文化に与えた影響
「食」から世界史を考える
南直人(立命館大学食マネジメント学部 教授)
世界における現在の食文化は、「コロンブスの交換」の影響を大きく受けているという。「コロンブスの交換」は大航海時代に起こった事象を指すが、そこからどのようなことが世界中に広まっていったのか。立命館大学食マネジメント学部教授の南直人氏が、「食」という観点から世界史を考える重要性について語る。
時間:12分35秒
収録日:2018年4月26日
追加日:2018年10月7日
カテゴリー:
≪全文≫

●世界史教育の重要性と困難


 立命館大学食マネジメント学部教授の南直人です。今日は、「食」から世界史を考えるというテーマでお話をさせていただきたいと思います。

 高等学校のカリキュラムに必修の「世界史」という科目があります。この科目は、自国以外の国や諸地域の歴史を包括的に学習することを内容とする科目です。実は、中等教育段階でこのような科目がカリキュラムの中に組み込まれているのは、世界的に見れば珍しいことです。

 こうした科目が設定されたのは、戦前のわが国の姿を深く反省した上で、そういった過ちを繰り返さないように、グローバルな視野を持った人を育てるためです。少なくとも社会科学系の学問を勉強する上では、世界史、特に欧米の近代史の知識は不可欠です。現在のようにグローバル化が進んでいる状況では、世界史の知識はますます求められるようになっていきます。このことは、第1線で活躍している皆さんも実感できることだと思います。

 しかし、世界全体の歴史を見渡すというのは、至難の業です。現在、高校の世界史の学習は、知識を詰め込む内容になっています。そのこともあり、世界史嫌いの生徒が数多く存在するという、困った傾向が存在します。


●「食」という視点から世界史を読み解く


 そこで私が提案したいのが、「食」という視点から世界史を読み解くことです。「食」というのは、人間の生存の基本であり、食をめぐる人間のさまざまな活動が歴史をつくってきたといっても過言ではありません。その意味で、あらゆる歴史的事象は、「食」と結び付いています。しかも他方で、「食」は日常的で身近なものであり、多くの人にとって関心を寄せやすいテーマです。

 最近では、世界史の教科書の中でも、「食」に関する記述が増えています。最新版の『詳説 世界史B』(山川出版社)では、冒頭の世界史の扉という部分で、4つの話題が取り上げられています。そのうちの2つが「食」に関連するものです。1つは、気候変動が人類の歴史に大きな影響を与えてきたという話の中で、17世紀の寒冷化による食糧不足とその下でのジャガイモの普及という話題が取り上げられています。もう一つは、砂糖から見た世界史であり、世界商品である砂糖を中心に、中南米の植民地化や奴隷制プランテーションが生み出される歴史の展開が説明されています。

 さらに、こうした「食」の歴史は、...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
性はなぜあるのか~進化生物学から見たLGBT(1)有性生殖と無性生殖
なぜ雄と雌の2つの性別があるのか…「性」の謎とLGBT
長谷川眞理子
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
断熱から考える一年中快適で健康な住環境(1)日本の住宅の実態と問題点
なぜ日本は夏暑く、冬寒いのか…断熱から考える住宅の問題
前真之
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
岡朋治
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(1)生成AIとは何か
10年で劇的な進歩を遂げた生成AIと日本の開発事情
岡野原大輔

人気の講義ランキングTOP10
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』、秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
平和の追求~哲学者たちの構想(4)ルソーが考える平和と自由
ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
川出良枝
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(4)葛飾応為の芸術と人生
親娘で進歩させた芸術…葛飾応為の絵の特徴と北斎との比較
堀口茉純
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
編集部ラジオ2025(31)絵で語る葛飾北斎と応為
葛飾北斎と応為の見事な「画狂人生」を絵と解説で辿る
テンミニッツ・アカデミー編集部
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子