立命館大学食マネジメント学部シリーズ
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
日本の食料供給の問題を考える
食料供給のジレンマと日本のINDUSTRIALIZATION
科学と技術
荒木一視(立命館大学食マネジメント学部 教授)
日本の産業化を支えたのは海外からの食料供給だが、その反面、生産者側に問題が起こっていたことも事実である。立命館大学食マネジメント学部教授の荒木一視氏が、日本の産業化と食料供給の歴史から、いかに食料供給のジレンマを解決すべきかを考える。
時間:19分12秒
収録日:2018年4月26日
追加日:2018年9月29日
カテゴリー:
≪全文≫

●日本のインダストリアリゼーションを、食料供給の観点から考える


 立命館大学食マネジメント学部の荒木一視と申します。

 今日のお話のテーマは、「食料供給のジレンマと日本のINDUSTRIALIZATION(インダストリアリゼーション)です。日本のインダストリアリゼーションは工業化や産業化などと訳されますが、これを労働者への食料供給という観点から読み解いていきます。

 これを考える際に押さえておきたいものに、「食料供給のジレンマ」という考え方があります。まず、食料を作っているのは、農村の生産者です。そして、それを食べているのは、都市の消費者ということになります。この際に、仮に食料価格が高い場合、生産者は潤いますが、消費者は少し苦しい立場に置かれます。逆に、食料価格が安い場合、生産者は苦しい立場に立ちますが、消費者は潤います。そこで、食料価格をどのくらいに設定すればいいのかが問題となりますが、生産者と消費者の両方の利益になるような価格設定は難しい。これを食料供給のジレンマとして捉えてみたいと思います。

 日本のインダストリアリゼーションを考える際に押さえておきたいのは、工業労働者が基本的には都市の消費者だということです。そして、その工業労働者にどうやって安価な食料を潤沢に供給することができるのか。これが日本のインダストリアリゼーションを支える上で重要なことになってきます。

 では、なぜそれができたのか。それを考える際に、もう少し付け加えていえば、食料価格の低下、すなわち食料供給量の増加あるいは安定は、経済成長と表裏の関係にある、といえるということです。


●日本における三つのインダストリアリゼーションと食料供給の在り方


 それでは、具体的に日本のインダストリアリゼーションと食料供給との関係を見ていきたいと思います。

 日本のインダストリアリゼーションの時期について、そもそもその一番最初の段階をどう見るかですが、明治の殖産興業、つまり明治初期の工業化の始まりが1つ目の時期ということができます。二つ目の時期は第二次世界大戦前で、日本は重化学工業化を進めていきます。三つ目は戦後の高度経済成長の時期です。これも1つのインダストリアリゼーションと...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎
2050年「プラチナ社会」実現への挑戦(1)「プラチナ社会」実現のルーツと現況
2025年頭所感~5つのプラチナ産業イニシアティブ創りへ
小宮山宏
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子
未来を知るための宇宙開発の歴史(1)宇宙開発の流れを概観する
宇宙開発の歴史、そして未来へ…6枚の写真で概観する
川口淳一郎
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
数学と音楽の不思議な関係(4)STEAM教育でつくる喜びを全ての人に
世界で最もクリエイティブな国は? STEAM教育が広がる理由
中島さち子
続・日本人の「所得の謎」徹底分析(2)政府債務と預金残高の背景
なぜ日本の所得水準は低いのに預金残高は大きいのか
養田功一郎
経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力
米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長
松尾睦
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
片山杜秀
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
未来を知るための宇宙開発の歴史(9)宇宙開発を継続するための国際月探査
「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味
川口淳一郎
第2の人生を明るくする労働市場改革(1)日本の労働市場が抱える問題
シニアの雇用、正規・非正規の格差…日本の労働市場の問題
宮本弘曉
戦前日本の「未完のファシズム」と現代(8)満州事変と世界大恐慌
「100年戦争」と考えて戦争に突入した日本の現実
片山杜秀
弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化(1)弥生時代はいつ始まったのか
なぜ弥生時代の始まりが600年も改まった?定説改訂の背景
藤尾慎一郎
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子