立命館大学食マネジメント学部シリーズ
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食べ物のおいしさは味や匂いだけでは決まらない
「食」と「こころ」を考える
和田有史(立命館大学 食マネジメント学部 教授・大学院 食マネジメント研究科 教授)
おいしさの判断には、味覚だけではなく、視覚や嗅覚、また舌触り、温度、音などの感覚に加え、食事環境や食文化、心身の状態も関わってくる。立命館大学食マネジメント学部教授の和田有史氏が、具体的な事例を挙げながら、食と人間の感覚・認識の関係について解説する。
時間:13分54秒
収録日:2018年4月26日
追加日:2018年10月9日
カテゴリー:
≪全文≫

●食べ物をおいしそうに感じるかは、味や匂いだけでは決まらない


 立命館大学食マネジメント学部教授の和田有史です。今日は、「『食』と『こころ』を考える」というお話をします。食というと、食べ物のおいしさが気になると思います。しかし、この「おいしそう」というものは、味や匂いだけで決まるものでしょうか。

 例えば、こうした写真を見ているとき、どのような感じがするでしょうか。サンマの塩焼きは日本人が好む食べ物です。では、ウズラを同じように塩焼きにしたらどうでしょうか。ウズラの塩焼きは、頭がついているから気持ち悪いとおっしゃる方が多くいます。しかしよく考えてみると、サンマの塩焼きにも頭がついています。

 このように、食べ物が好きか嫌いか、あるいはおいしそうに見えるか否かというのは、人の経験によるところが非常に大きいのです。

 秋にその味と脂の乗りを楽しむサンマの塩焼きは、日本人に非常に人気な食べ物で、おいしそうに見えます。他方、ウズラの丸焼きは、日本ではあまり食べ慣れていない、あるいは見慣れていないものです。それ故、気持ち悪く、あるいはおいしくなさそうに見えてしまうこともあるのではないでしょうか。

 私たちは、イナゴの佃煮がどのように見えるかという実験をしてみました。日本でも昔は、内陸の方を中心に、イナゴの佃煮が広く楽しまれていました。この実験では、イナゴの他に、長野などでよく食べられている蜂の子、蚕のさなぎ、そして、東南アジア料理でたまに出てくるセミの炒め物、これらの写真を見ていただき、こういった昆虫食を「何か食べたことがあるか」と聞きました。

 上の図で、「よく食べたことがある」と答えた人が多い地域を濃い赤で示していますが、それは、日本では内陸地方に多いようです。図でグレーになっているところは、私たちのデータの不備で人数があまり取れなかった地域です。しかし、それを差し引いても、内陸に昆虫食経験者が多いことが分かります。年齢層で見ると、団塊ジュニア世代以上が35パーセント以上、つまり4割近くの人が食べた経験があります。しかし、それより若年の人たちは食べた経験が少ないようです。

 イナゴ、蜂の子、蚕...

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