創造的な場を支える仕組みを研究する
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ダイバーシティとブレークスルーには相関がある
創造的な場を支える仕組みを研究する(6)共創と協業
江渡浩一郎(産業技術総合研究所 主任研究員/デジタルハリウッド大学大学院 特任教授)
多様性のあるチームが、各々の方法で一つの大きな目標に取り組んだ際に、ブレークスルーは生まれる。メディアアーティストで国立研究開発法人産業技術総合研究所知能システム研究部門主任研究員の江渡浩一郎氏が、「七人の侍」に例えて、共創がイノベーションを生む仕組みを解説する。(全10話中第6話)
時間:15分41秒
収録日:2018年4月19日
追加日:2018年11月9日
≪全文≫

●ダイバーシティとブレークスルーの創出には相関がある


 前回お伝えしたように、「共創」という考え方を重視していますが、その共創の中でさまざまな人を交えて仕事をすることについて説明します。

 ダイバーシティとブレークスルーの創出に相関があるという話ですが、まずスライドの図の見方をご説明します。左側に点がありますが、これはある商品(この場合は特許)によって得られた利益とそのダイバーシティの相関関係を表しています。左側に点があるのはダイバーシティが少ないということです。例えば、エンジニアだけが集まって作ったチームがある商品(つまり特許)を生み出して、それが利益を出した、つまり手堅く成功する、あるいはそこそこ成功するということです。

 ところが、ダイバーシティが高くなる、例えば、あるチームの中にいろいろな人たちが含まれるとメンバーが多様化し、そこで商品を作る場合、得られる結果の平均値は下がります。つまり、失敗する可能性が高まるということです。よって、多様性の高いチームの場合、平均を取ると得られる利益率は下がります。

 ただ、このグラフが面白いのは、右側に「ブレークスルー」と呼ばれる、思ってもみなかったような大成功があることです。それは、ダイバーシティが高いチームからしか生まれていないということです。逆に、ダイバーシティの少ないチームからは、手堅い成功は生まれてくるけれども爆発的な成功はまず生まれてこない、あるいはほぼ生まれてこないということが分かります。

 しかし、ダイバーシティの高いチームの場合、平均値だけで見ると得られる利益率が下がる、つまり失敗する可能性が高まりますが、思ってもみなかったような大成功がある。つまり、ブレークスルーはそこからしか出てこないということです。ですので、ここからいえるのは、成功するための方法論としてダイバーシティを考えると良くないことも起こるが、普通の方法では絶対生まれないようなブレークスルーを生み出したいときには、平均値は下がってもいいからダイバーシティを高める手法を取り入れるということです。

 よく共創によって生まれる手法を説明するための事例があります。Facebookに「いいね!」ボタンが付いていますが、この「いいね!」ボタンはFacebookの社内ハッカソンから生まれたアイデアです。ハッ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
認知バイアス~その仕組みと可能性(1)認知バイアス入門
誰もが陥る「認知バイアス」…その例とメカニズム
鈴木宏昭
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
バブル世代の現実とこれからの生き方
バブル世代は「バブル崩壊世代」、苦労の先に見えるものがある
江上剛
会社人生「50代の壁」(1)“9の坂”とまさかの坂
サラリーマン人生「50代の壁」を乗り越える生き方
江上剛
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
運と歴史~人は運で決まるか(1)ソクラテスが見舞われた「運」
歴史における「運」とは?ソクラテスの「運」から考える
山内昌之

人気の講義ランキングTOP10
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
編集部ラジオ2025(30)西野精治先生に学ぶ「熟睡の習慣」
熟睡できる習慣や環境は?西野精治先生に学ぶ眠りの本質
テンミニッツ・アカデミー編集部
プロジェクトマネジメントの基本(3)プロジェクトのすすめ方
PDCAサイクルを回すための5つのプロセスとそのすすめ方
大塚有希子
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎