映像で考えるエチオピア
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
エチオピア正教会から邪教とされる憑依儀礼「ザール」
映像で考えるエチオピア(3)宗教儀礼「ザール」とは何か
川瀬慈(国立民族学博物館学術資源研究開発センター教授/総合研究大学院大学教授 /映像人類学者)
エチオピアの人々は実際に、どのように宗教を信仰しているのだろうか。国立民族学博物館人類基礎理論研究部准教授の川瀬慈氏は、エチオピア北部の「ザール」と呼ばれる憑依儀礼に着目する。霊媒者が精霊と人々のコミュニケーションを仲介し、独特の言語、音楽を用いて儀礼がなされるというのだ。映像を観ながら、その実態について川瀬氏の解説を聴こう。(全5話中第3話)
時間:15分59秒
収録日:2018年7月13日
追加日:2018年12月9日
≪全文≫

●「ザール」と呼ばれる儀礼がエチオピア北部に存在する


 エチオピアでは、キリスト教、イスラムが主要な宗教ですが、祖先崇拝、あるいは自然に霊が宿ると捉えるアニミズムなど、さまざまな在来宗教と信仰の形態が確認されています。その中でも精霊と人のコミュニケーションを仲介する霊媒者が、エチオピア地域社会の政治経済、社会の中で重要な役割を果たすケースも報告されています。

 エチオピア北部には「ザール」と呼ばれる儀礼があります。このザールは、北アフリカ、東アフリカから中近東に広く分布する憑依儀礼です。エチオピア北部はこの憑依儀礼の中心地として知られています。このザールという儀礼においては、「コレ」と呼ばれる精霊が憑依の媒体となる女性に憑依するとされています。憑依の媒体は、アラビア語起源の語で、馬を意味する「ファラス」という言葉を使い表現されます。すなわち精霊が霊媒を乗りこなし、彼あるいは彼女の口を通して人々へメッセージを与えると理解されるのです。

 ザールは儀礼の依頼者の要請によって開催される場合と、宗教に関わる祝祭日に開催される場合があります。依頼者の要請によってこのザールが開催される目的には、病気の治癒や、人間関係の改善、あるいは学業の成績の向上であるとか、失くしたものを探すなどの目的が挙げられます。宗教に関わる祝祭日には、代表的なものにエチオピア正教会の聖人をたたえる日などが挙げられます。これらの祝祭日とザールの開催が、なぜ関連するのかは定かではありませんが、エチオピアの霊媒たちの言説によれば、精霊の好むマメであるとか、あるいはお香であるとか、地酒などが、こういった祝祭日においてはたくさん各家庭に集まりやすいから、そういったものを求めて精霊たちがやってくるといわれています。


●エチオピア正教会は「ザール」を邪教とするが、参加する修道士もいる


 一方で、エチオピア北部の代表的な宗教である、エチオピア正教会はこのザールを邪教と認識しています。私が調査を行っているエチオピアの古都ゴンダールのある修道士は、このようにザールの起源伝承を語ります。

“神が12人の天使を創造した時のこと、暗闇がやってきて天使たちはとても不安になった。この12人の天使のうち、「ダビロス」という名の者が1人いた。彼は天使たちに、「私がお前たちを創造したのだ、私に付いてきなさい」と言った。天...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
グローバル環境の変化と日本の課題(1)世界の貿易・投資の構造変化
トランプ大統領を止められるのは?グローバル環境の現在地
石黒憲彦
「次世代地熱発電」の可能性~地熱革命が拓く未来
地熱革命が世界を変える――次世代地熱の可能性に迫る
片瀬裕文
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
教養としての「人口減少問題と社会保障」(1)急速に人口減少する日本の現実
毎年100万人ずつ減少…急降下する日本の人口問題を考える
森田朗
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
トランプの誤謬…米国製造業を壊した犯人は米国の経営者
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
「幸福とは何か」を考えてみよう(1)なぜ幸せになりたいのですか
「幸福」について語り合う「哲学カフェ」を再現
津崎良典
逆境に対峙する哲学(10)遺産を交換する
ナイチンゲールの怒りから学ぶこと…逆境の中で考えるとは
津崎良典
「進化」への誤解…本当は何か?(4)ダーウィンの進化論と自然淘汰の理論
『種の起源』…ダーウィンとウォレスの自然淘汰の理論
長谷川眞理子
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(1)ルーズベルトに与ふる書
奇跡の史実…硫黄島の戦いと「ルーズベルトに与ふる書」
門田隆将
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
「徳」から生まれる「感謝の人間関係」
「徳」の本質とは「自己の最善を他者に尽くしきる」こと
田口佳史
歌舞伎はスゴイ(1)市川團十郎の何がスゴイか(前編)
市川團十郎の歴史…圧倒的才能の初代から六代目までの奮闘
堀口茉純
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
トランプ政権と過激化した米国…MAGA内戦、DSAの台頭
東秀敏