読書とは何か
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
和漢洋の知を複合的に捉えるための読書
読書とは何か(5)和漢洋の知を複合化し現代に活かす
山内昌之(東京大学名誉教授/歴史学者/武蔵野大学国際総合研究所客員教授)
江戸伝来の知の伝統を再び見直し始めたようにみえる現代日本。和漢洋の教養を身につけ、複合的な知のあり方を示してくれる先人を例にとり、読書とは何か、何を私たちにもたらしてくれるのかを読書の喜びとともに山内昌之氏が語る。(全6話中第5話目)
時間:12分21秒
収録日:2014年5月22日
追加日:2014年8月7日
≪全文≫

●私たちの文化のバックグラウンドを形成している古典


 今、私たちの教養や本の読み方というのは、実は日本人が気がつかないうちに、相当に偏ったものになっているのではないかというのが、私の不安でありました。

 今は教育カリキュラムのせいもありまして、小中学校や高校においては、ますます古文や漢文が軽視されるようになってきています。つまり、日本語の文化の世界をつくってきた私たちの古典というものに対する関心が、低まっているのです。

 英語などを通してアメリカの文化や食生活、あるいはバーボンやイギリスのスコッチ、フランスのシャンパン、そしてワイン、こうした普段私たちが接しているものとの関係で、英米仏などヨーロッパやアメリカとの関係が近くなったのは、大変喜ばしいことです。

 しかし、同時に、そして歴史的に、私たちの文化のバックグラウンドには、先人たちがこういう日本語の古い格調の高い文章、古文、あるいは中国に由来する漢文から多くを受けてきたという事実があることを、忘れてはなりません。


●大切なのは、正しい日本語を使おうとする努力


 私も中学校の頃に、現代語や現代文、あるいは国語という授業があったときに「なぜ日本人が自分たちの国語をそんなに勉強しなければいけないのか。普段こうやって話しているではないか」と、先生に聞いたこともありますし、何となく反発もしました。私と同じように、何かいつも文法を勉強したり、あるいは本を読むということを強制されるような感じがして、ちょっと瞬間的に嫌な気分になった経験を、かなりの人が持っているのではないでしょうか。文法の何段活用などは、あまり真面目に勉強しなかったような記憶をお持ちの方も多いと思うのです。

 しかし、文法をきちんと知って、書物などによって得られた正しい単語と正しい文法の活用から成る日本語と、普段から私たちが親しい友人や家族、あるいは気の置けない仲間たちとしゃべっている言葉は違うものです。普通、私たちは、官庁や企業の中で会話したり、仕事をしたり、外交交渉や商談をするときには、そういう言葉は使いません。

 ですから、私たちは、それなりに社会人になりましても、正しい日本語を話すという努力をどこかで持ち続ける必要があるのです。


●誇るべきは、和漢洋の教養に秀でた先人の文化的香り


 私は、20世紀後半の日本の現代文学などを...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
北欧神話の基本を知る(1)世界でもっとも悲観的な神話
世界滅亡を予言!?人類史上もっとも悲観的な北欧神話とは
鎌田東二
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
楽観は強い意志であり、悲観は人間の本性である
これからの時代をつくるのは、間違いなく「楽観主義」な人
小宮山宏
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
世界神話の中の古事記・日本書紀(1)人間の位置づけ
世界神話と日本神話の違いの特徴は「人間の格づけ」にある
鎌田東二
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(6)江戸時代の藩校レベルを分析
史料読解法…江戸時代の「全国の藩校ランキング」を探る
中村彰彦
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
「集権と分権」から考える日本の核心(1)日本の国家モデルと公の概念
日本は集権的か分権的か…地理と歴史が作る人間の性質とは
片山杜秀