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5Gになると無線通信はどのように変わっていくのか

5Gとローカル5G(2)5Gにおける無線通信の変革

中尾彰宏
東京大学 大学院工学系研究科 教授
概要・テキスト
5Gの導入によって、無線通信はいろいろな点で変革される。とりわけ、大容量通信、低遅延通信、接続数デバイスの増加はさまざまなアプリケーションを可能にしている。また5Gの周波数が各事業者に割り当てられたが、周波数や波長の違いによって、データ送信スピードや送信可能容量が異なる点に特徴がある。(全9話中第2話)
時間:09:28
収録日:2019/11/20
追加日:2019/12/09
タグ:
≪全文≫

●5Gにおける無線通信の変革


 それでは次に、5Gになると、容量や通信の品質などについて、無線通信はどのように変革されるのかを見ていきましょう。

 「ITU-R(国際電気通信連合無線通信部門)」と呼ばれる国際機関によれば、大きく分けると、5つの特徴が挙げられます。それを示すのが、無線通信のKPIです。KPIとは、Key Performance Indicatorの略であり、通信の要件となる目標値のことです。

 5GにおけるKPIのうち、特徴的なものを挙げると、まずピークデータ帯域が、約25Gbpsであるというものがあります。これはピークについての目標値で、全体のユーザーが使っている帯域では、25Gbpsぐらいは出るだろうということです。次に、1人1人のユーザーの体感でいいますと、だいたい100Mbpsです。つまり、1秒間に100×10の6乗ビットが流れるということです。この100Mbpsという数字がどのような容量を表しているかについては、後でまたアプリケーションを使ってお話しします。

 次に、移動体の速度についてです。5Gはリニア新幹線の中でも使え、時速500キロメーターで移動するものの中でも使えます。さらに、遅延についてです。つまり「どれくらいの時間をかけてデータが端末に届くか」という点では関していうと、KPIは低遅延で無線区間が1ms(ミリセック)、つまり1000分の1秒でデータが届くという目標値になっています。

 最後に、単位面積当たりの接続数でいうと、1平方キロメートルあたりで100万デバイスがつながるとされています。これは単位が大きすぎて想像がしづらいのですが、端末というより、たくさんのセンサーをイメージしたほうが良いでしょう。皆さんお持ちの携帯というより、例えば、環境をモニタリングするセンサーが1平方キロメートルあたり100万デバイスあったとしても、通信をきちんとし、行えるようになるということです。これが5Gの、目標としての特徴です。


●ネットワーク要件に関する3つの代表的な通信クラス


 それでは次に、今ご紹介したKPIを、われわれはどうやって使っていくかというお話をします。その際にはまず、「ネットワーク要件」が重要です。これはネットワークに対して、アプリケーションが必要とする条件を指しています。これによって、今お話ししたKPIを少しブレイクダウンされます。...
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