テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録
テンミニッツTVは、有識者の生の声を10分間で伝える新しい教養動画メディアです。
すでにご登録済みの方は
このエントリーをはてなブックマークに追加

民主主義は、餌に食いつく民主主義者には決してわからない

民主主義の根源とは(6)絶対者なき民主主義は手前味噌

情報・テキスト
民主主義という制度を作り出した最初の1人である古代ギリシャの政治家・ソロンは、「我々は人間なのだから、人間のことを思わなければいけないと言う人たちに従ってはならない」という言葉を残したと言われる。自分たちで自分たちのために政治を行ったら「手前味噌」で際限がなくなってしまうのだ。かつて、ヒューマニズムや民主主義は「神中心の考え方」や「絶対王政」に対抗するものだったが、絶対者や王がいなくなった世界で、民主主義はまさに「烏合の衆による、自分たちのご都合主義」になってしまった。餌にありつこうとばかり考える人たちには、決して民主主義はわからないのだ。(全6話中第6話)
時間:11:09
収録日:2019/12/25
追加日:2020/05/01
キーワード:
≪全文≫

●「烏合の衆によるご都合主義」の民主主義


執行 ここで一つだけ思い出したのですが、民主主義を最初に主張して作った人の1人に、ソロンというギリシャ人がいます。ペリクレスと同じ時代のアテネの政治家で、民主主義政治を敷いた最も有名な人の1人です。この人の言葉に「人間のためだと言う人を決して信じてはならない」という言葉があります。ソロンの「断片集」45番に出てくる言葉で、我々は人間だから人間のためだということを信じてはならない、つまり「手前味噌」ということです。自分たちが人間なのだから、「人間のため」と言う人を決して信用してはならないと。

―― それは深いですね。

執行 これを僕が一番重要視しているのは、民主主義政治という手法を作り出した最初の1人であるギリシャのアテネのソロンが言っているからです。ソロンは、ギリシャの七賢人の1人です。

―― これは凄いですね。「我々は人間なのだから、人間のことを思わなければいけないと言う人たちに従ってはならない」。

執行 そうすると、最初の人(ソロン)は英知でそう言っているわけです。ところが、今の人は、みんな人間のためにやっています。言葉としては「ヒューマニズム」です。つまり、民主主義を生み出したギリシャの哲学者や政治家、ペリクレスやソロンのレベルから言えば、今の人は全部、嘘だということです。嘘でなくても、少なくとも手前味噌です。「人間のため」というヒューマニズムが出たときは、中心に神がいたわけです。神の命令こそが絶対でした。その中で人間の意見がどうかという話です。

 もう一つ、神から一段下がった状態が「絶対王制」です。王様がいて、王様の上に神がいる。議会政治ができたときは、庶民が議会を作りました。王様の命令に対して、庶民が議会で「それはやり過ぎだ」とか「それは横暴だ」とか、ちょっとした自由を求めるのがクロムウェルらの言う英国議会政治です。しかし、今は国王がいません。国王がいないということは、命令者がいないということです。命令者がいないところでは、実は民主主義は作動しないのです。

 命令者がいないところで作動している民主主義とは、要は烏合の衆による、自分たちのご都合主義です。悪いですが、今の選挙はそうなっています。これはある意味では、もう政治ではありません。

 国王がいるなら、まだわかります。議会とは本来、国王に対する対抗手段ですから。これは歴史を研究していただければ、すぐにわかります。国王がめちゃくちゃな命令を出すから、国民の代表が集まって、めちゃくちゃな命令を出した場合は国王を断罪できるようにしたのです。これが英国が議会を作った理由で、議会政治の始まりです。このことを忘れてはダメです。

―― 国王がいたのですね。

執行 そして国王は「絶対」という、心の中の神の代わりでした。だから神でもいいし、国王でもいいですが、絶対者がいたのです。これをプロテスタントは「心の中の良心」と言いました。彼らの心の中には、この良心が「絶対者」としていたのです。それがアメリカの独立革命を起こした。ワシントンやパトリック・ヘンリーといった人たちは、心の中に聖書から学んだ「絶対的良心」があったのです。

―― ジェファーソンにしても、みんなそうですね。

執行 そこでできたのが民主主義です。でも「絶対」というのは、絶対だから厳しいのです。だから「この辺は少し許してほしい」というのが民主主義です。ところが今は絶対がないのですから。「あれもいいじゃないか」「これもいいじゃないか」と際限がなくなっている。ましてや主客転倒が起きて、学校なら勉強ができないバカのほうがいばっています。勉強する人間が小さくなって、みんなに隠れて勉強しなければならない。

 これは勉強ができない人を切り捨てればいいといっているのではありません。学校制度は、勉強ができる人のほうが偉いという考えがなければ、成り立つわけがありません。存在する必要がなくなりますから。だから今の学校問題は、必要ないものになってしまっているのですから、もう解決不能です。勉強ができることに、誰も価値を持っていませんから。社会もそうです。先ほど嫌な話として言いましたが、敗残者、貧乏人、身体障害者のほうが、極端に言うと、権利的には偉くなっています。そのことに対して文句を言えば、もう終わりです。これは昔で言えば貴族です。

―― 確かにそうですね。生活保護者が貴族になってしまった。

執行 先日もありました。生活保護をもらいに行ったときの窓口の言い方が横柄だったと訴えたら、パワハラということで、そちらのほうが勝ちました。そういう時代です。しかし、これはやはり間違いです。もらうものは、頭下げてもらうのが当たり前のことです。


●権利や保障という薄汚い餌


―― やはり1回、どう...
テキスト全文を読む
(1カ月無料で登録)
会員登録すると資料をご覧いただくことができます。