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国力の衰えとは、「国民の魂や良心」の衰えである

民主主義の根源とは(4)傲慢さが民主主義を破壊する

概要・テキスト
日露戦争と昭和の戦争とでは、科学性や知性の基盤がまったく違う。そうなってしまったのは、日本人が謙虚さを失ったからであった。議会制民主主義の最盛期を築き上げた19世紀の大英帝国も、貴族であれ庶民であれ、誰もが負い目を持ち、幸福ではなかった。だが、それが議会制民主主義をうまく機能させることにつながったのである。イギリスの国力が衰えたのは大衆民主主義が行き過ぎ、さらにはキリスト教も失った結果である。(全6話中第4話)
時間:10:23
収録日:2019/12/25
追加日:2020/04/17
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≪全文≫

●人間に対する想像力が無くなった


―― ここは漁夫の利なのですね。第一次世界大戦で火事場泥棒みたいなことをした。あのとき初めて国家としての債務超過が解消した。

執行 そうです。

―― その結果、傲慢な人になり、暴走が始まるわけですね。

執行 そして知性を失った人間が天狗になって、世界に対して、いばりたいだけの国民になった。それで出てきたのが昭和の軍閥です。いばりたいけれど世界中がいうことを聞かないので、「あの野郎、ふざけるんじゃねえ」となった。昭和陸軍はみんなそうで、海軍もそうです。皆さんもご存じでしょうが、日露戦争のときの科学的な戦争と昭和の戦争はまるで違います。

―― およそ知性がある人とは思えません。

執行 日露戦争までの科学的な計算と知性は、司馬遼太郎の本を読んでもわかりますが、みんな謙虚さによるものです。まだわれわれは、それを持っていました。われわれの国は弱い、ロシアに比べてダメだと。その謙虚さから、あの知性が生まれてくるわけです。

―― 確かにそうですね。謙虚さ、必死さからあの知性が生まれてきたわけですね。なんとか6対4で勝ち、引き分けに持ち込んだ。

執行 勝とうとも思っていないのですから。ところが昭和になると、もう気違いです。昭和の気違い軍閥を生み出したのが大正デモクラシーです。

―― そう考えると腑に落ちます。非常に不思議だったのは、日本の陸軍のやったことは、要は弁当を持たせずにフィリピンに行かせて、50万人ぐらいの餓死者を出すというものです。

執行 弁当だけじゃない。弾もありません。

―― 北から南まで大砲を引っ張っていくうちに半分死んでいるわけです。

執行 あんなことは武士道があれば、やりません。ダメに決まってます。ダメに決まっているところで、みんな死んでいった。とんでもない話です。

―― その淵源が、傲慢になった大正デモクラシー以降、漁夫の利を得て、そこから始まっている。

執行 そして今の日本の現状は、バブルから始まっています。だから今の日本の無為無策は、バブルのときの傲慢さが払拭されていないのです。

―― 払拭されていないし、極めて知的なものを失ってしまった。

執行 もちろんそうです。一番は知性です。

―― そして生き方を見失ってしまった。

執行 そういうことです。

―― 今の日本には2万人のジェントルマンがいないわけ...
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