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民主主義という「史上最低の宗教」に覆われた時代

民主主義の根源とは(2)人間が神になった社会の危険性

情報・テキスト
よく知られているようにアメリカ合衆国を生んだのはプロテスタント信仰だった。神の代理人たる教会から免罪符をもらえるカトリックと違い、プロテスタントは一人ひとりが神と対面する。そしてプロテスタントと同様の良心を持つのが武士道であった。このような道徳的基盤がある社会では民主主義は機能する。だが、最近の欧米人は良心を失い、その結果、民主主義の餌ばかり貪り食う人々ばかりになり、大衆迎合の民主主義になってしまった。(全6話中第2話)
※インタビュアー:神藏孝之(テンミニッツTV論説主幹)
時間:12:39
収録日:2019/12/25
追加日:2020/04/03
≪全文≫

●アメリカ合衆国はプロテスタント信仰から生まれた


―― 少しは自由があってもいいのでしょうか。

執行 あくまで「少し」です。最初のプロテスタントは、非常に厳しいものでした。このことは独立したときのアメリカ社会からわかります。当時のアメリカは、プロテスタント社会でした。たとえば(ナサニエル・)ホーソーンの『緋文字』などといった文学がありますが、みんなが本当の神の掟で生きている様子が描かれていて、読めばそのすごさや大変さがわかります。しかし、アメリカを生んだのもプロテスタントですから。われわれが民主主義の基本としているのはアメリカ文明ですが、アメリカ合衆国を生んだのはプロテスタント信仰であり、独立運動もプロテスタントが起こしたものですから。

―― 確かにそうですね。

執行 アメリカが独立した頃は、ご存じのように、ものすごいプロテスタントの社会でした。これは歴史記録においても、文学においても全部そうです。

―― 英国国教会から離脱した人たちが来たわけですからね。

執行 そうです。離脱してプロテスタント信仰に生きていた人間です。英国でクロムウェルがピューリタン革命を起こしたものの、やがて英国国教会に負け、プロテスタント信仰を守るためにピューリタンがアメリカに移民したわけです。そして、しばらくして独立戦争をしてアメリカを作りました。

 だからハーバード大学を中心にアメリカのアイビーリーグと呼ばれる大学は、全部プロテスタントの教派の大学です。日本人が思う学問ではないわけです。

―― 確かにそうですね。

執行 プロテスタントの信仰を研究するためにプロテスタントの各宗派がそれぞれ大学を作ったのです。

―― 確かに今でもハーバードは宗教、哲学、歴史、これらがすべての中の上位概念に来ますよね。

執行 今はだいぶ世俗化しましたが、19世紀まではプロテスタントの学理を学ぶのがアイビーリーグ8校の主力で、そのくらい大変だったのです。民主主義を作ったアメリカでさえ、アメリカはプロテスタントが作ったということを忘れてしまった。アメリカ人が忘れていますから、日本人も忘れてしまったのです。では、プロテスタントとは何かというと「聖書のとおりに生きる」ということです。

―― 聖書のとおり。

執行 プロテスタントはそうです。ものすごく厳しい。ヨーロッパにあったカトリックは神様の代理人であるローマ法王がいて、カトリック教会の言うことさえ聞いてれば全部許してくれます。免罪符をくれるわけです。告解に来たり、献金すれば。ところがプロテスタントはそこから独立しています。プロテスタントの何が「反抗」かというと、要するに神は心の中にいて、一人一人が神と対面すると考えるのです。

―― 一人一人が。

執行 一人一人が心の中で神と対面しなければいけないというのが、カルヴァンを中心とするプロテスタントの思想です。ここが西洋民主主義の根本だということです。だから心の中に神を持っている。つまり良心や道徳がない限り、民主主義の政策は何も機能しないのです。

―― なるほど。心の中に神を持つ。

執行 西洋人ですから、新約聖書のキリストがしゃべった道徳です。愛を中心として、平等も人権も、全部キリスト教から生まれています。研究すればわかりますが、平等や人権といったフランス革命の根幹となる思想は、全部キリスト教の思想なのです。

―― やはりキリスト教の思想なのですか。

執行 そう。民主主義の思想ではないのです。

―― そこがまず大きな違いですね。

執行 ここをわからなければダメです。


●心の中の良心を持つことが民主主義の根本


執行 われわれが今、民主主義の世の中で生きているのなら、本当はキリスト教を知らなければダメなのですが、われわれは、もう違います。このとき、いつも話しているように日本の場合は武士道があり、日本においては文化として定着しています。武士道はキリスト教のプロテスタントの道徳と、ほとんど同じものです。

 アメリカ合衆国ができたときや、あるいはフランス革命のころ以来のヨーロッパのプロテスタントの考え方は、もう日本の武士道と何も変わりません。明治人はヨーロッパに留学したとき、多くの人が向こうの人から大変な尊崇を受けました。あれは当たり前なのです。彼らは最高に素晴らしいクリスチャンの人と同じ道徳を持っているのです。

―― だから、ものすごく交流ができたわけですね。

執行 そうです。これはもう決まっていることです。歴史的にいうと、そういうことです。

―― ここは、すごく大きいポイントですね。

執行 大きいも何も、それを知らなければ本当は日本の民主主義も考えることはできません。今の民主主義は、武士道やキリスト教といった民主主義を生み出した根本になる人間の心を失っ...
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