過去から未来へ、京都学派の役割
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
ランケと京都学派は似ている? 西欧の「神」に替わるもの
過去から未来へ、京都学派の役割(5)過去から未来へ
髙坂節三(公益財団法人 日本漢字能力検定協会 顧問)
一神教に始まった西欧の思想は、科学万能の敗退を経た戦後、不条理の実存主義、脱構築のポスト・モダン、そしてリスク論へと迷走を続けているかに見える。「過去から未来へ」思索をつなげていくために日本が世界に問う「絶対無」の思想とは何かを、髙坂節三氏が解説する。(全5話中第5話目)
時間:14分26秒
収録日:2014年7月18日
追加日:2014年10月5日
≪全文≫

●21世紀の問題を提起していたトインビー

 
 最後に、「過去から未来へ」ということで考えます。21世紀を控え、ちょうど兄が亡くなる直前に二人で話していたのですが、多分あのときはもう立ち上がれなかったのでしょうか、ベッドに横になって話していました。

 トインビーの『世界と西欧』という本がありますが、その考え方の中心は「これからは西欧のチャレンジと世界のレスポンス」ということです。彼がBBCで6回ほど講義した放送をまとめた本で、第2次世界大戦後の世界のあり方を予想したものです。

 兄が「トインビーの考えは半分当たっているけど、半分は当たっていない。むしろこうした状況は21世紀に問題になるだろう」と言ったのが、私には印象に残っています。

 最近の中国の発展やBRICsの動き、あるいは南北格差の拡大や地球環境問題といったことを考えると、やはり21世紀に入って、このような問題がはっきりしてきたというように思います。


●現在の価値観に囚われずものを見るための試み


 鈴木成高さんが言われたランケの「全ての時代は神に直結する」ということで考えますと、京都学派は神の替わりに「絶対無」というものに直結すると言ってもよいのではないか。

 そうすると今の時代、歴史を知らずに現在だけしか知らないというのは、現在の価値観だけで日本や人間を見ることになる。いろいろな価値観があるという相対的なものの見方ができないわけで、それは危険だろうと思うのです。

 西谷啓治先生が書かれた『空と歴史』という本があります。そこで西谷さんはどう書いておられるか。

 「我々がどこから来て、どこへ去るのか。限りなく過去へ遡り、限りなく未来を追うても『私の存在』も『時』の始めも終わりも窮めがたい。だが『私が現に存在しているということは動かし難い事実である』『何処から何処へ』の問い、『時』自体の始めや終わりは『現在の直下にある』」

 ここまでは、ランケが「神につながる」というのと似ています。

 「過去に原因を求める科学の実証主義も、未来に目的を追う理想主義も、双方とも『時』のうちでのみ自己構築・自主化させ、『時』の底に『時』を超えた『もと』を忘却しているとして『永遠の今』を考えるのです」と、西谷先生はお書きになっています。


●西欧が作った「進歩の思想」に惑わされない


 そこで、先ほども言いました「歴史の...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
プラトンの哲学を読む(1)対話篇という形式の哲学
ヨーロッパ哲学の伝統はプラトン哲学の脚注だ
納富信留
神話の「世界観」~日本と世界(1)踊りと物語
世界の神話の中で異彩を放つ日本神話の世界観
鎌田東二
楽観は強い意志であり、悲観は人間の本性である
これからの時代をつくるのは、間違いなく「楽観主義」な人
小宮山宏
インド神話の基本を知る(1)インドの特性と神話の成り立ち
インド神話…『リグ・ヴェーダ』『マハーバーラタ』の壮絶な物語
鎌田東二
プラトン『ソクラテスの弁明』を読む(1)真実の創作
プラトンの『ソクラテスの弁明』は謎多き作品
納富信留
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎

人気の講義ランキングTOP10
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(4)日本人の仏教と先祖崇拝
実は日本人は「仏教」も「先祖崇拝」も真面目に考えなかった?
橋爪大三郎
日本の財政の真実を検証する(2)なぜ財政危機は起きていないか
なぜ財政危機は起きていないのか…国債の金利のトリックを読み解く
宮本弘曉
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
編集部ラジオ2026(30)AI時代の企業と道徳
【10minで考える】CPO(最高哲学責任者)…AI時代に必須の哲学とは
テンミニッツ・アカデミー編集部
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(1)AIに置き換わる仕事と人間がやる仕事
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か…人間がやるべきこととは?
橋爪大三郎
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(9)ユダヤ人の多様性
ユダヤ人は一枚岩ではない…米国ユダヤ人のイスラエルへの違和感
鶴見太郎
会社人生「50代の壁」(1)“9の坂”とまさかの坂
サラリーマン人生「50代の壁」を乗り越える生き方
江上剛
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博